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赤き竜のための協奏曲  作者: 烏合衆国
第二章 ヤチルテルビナ
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2-2 大帝賞②


 下見所パドックに、出翔する竜たちが騎手に引かれて現れる。




〖――晴天に恵まれました、第68回、春の大帝賞。出翔竜を紹介いたします。


 二十二年振りの聖三冠を含む、四冠を達成した世代最強、1番マーファハーブ、ベレー・ハイジン=ハスト様。


 雪原ステークス二連覇竜、2番ヴィーランティフ、リフマ・ロラン様。


 つるぎを携え辿り着きました、3番セーレーサガット、アルガ・オテュール様。


 ゲネズ家の悲願を果たせるか、4番キャサーナ、カッサ=テスト・ゲネズ様――〗




 出翔竜の紹介が場内に拡声アナウンスされている。ベレー様の騎乗されるマーファハーブ号は、今回は1番、最内さいうちを取っている。飛翔距離としては最も短くなる位置だが、逃げの戦術で飛び出さない限りは、他の竜もできる限り最短を飛ぼうとするはずなので、前が塞がれやすいという面もある。マーファハーブ号は差す戦術が多いため、やや不利という見方もあるだろう。


 恐らくマーファハーブ号と激突マッチアップすることになるであろう、二冠竜エルダーフェス号とアウカタイデサー号は、それぞれ9番と11番だ。外枠で、二頭とも持久力のある竜なので、外から詰めてこられたら苦しい展開になるかも知れない。

 観客席から見る限りは、マーファハーブ号に普段と異なる点はない。ベレー様も真剣なご様子で、情熱を湛えた瞳をぎらつかせておられた。




〖――魔力提出が完了いたしました。各竜のゲート入りが完了するまで今しばらくお待ち下さい――〗




 ゲートを作るための魔力提出は、下見所パドックで行われるのだが、実際、今まで替え玉が行われた例はほとんどない。なぜなら競争レースとは、騎士の栄誉を懸けて争われるからだ。各竜は、角を薄く削られ魔力を供出し、発翔スタート位置につく。


 発翔ゲートは、地面から横に伸びた、細長い銀の台の上に作られる。最内から最外までの各竜の、入線までの飛翔距離の差を縮めるために、翔路コースの直線に対して垂直ではなく、外へ行くほど前に出るように傾いており、また、傾斜も少しついている。

 十二頭立てともなると、観客席に台が喰い込むことになるため、観客席はあらかじめ、楕円形に繋がっているのではなく、発翔位置のところに少し隙間がある形になっている。


 ちなみに、僕たち三人がいるのは、右回りの翔路コースで、楕円に入っている切れ込みの、中心に向かって少し左側、発翔スタートがよく見える位置取りだ。




〖――三年間の戦いを終え、十二頭の優龑ゆうえんが大帝の御前に今、参集しました。萌芽月の帝立第二競竜場、春の大帝賞、16フェレン。――発翔スタートしました!


〖さァ先頭に躍り出たのは8番ゲッサモンガ! 外から一気に内へ詰めていきます! 二番手には10番イェスハマー、続いて9番エルダーフェス! 4番キャサーナは前が塞がれてこの位置、2番ヴィーランティフと6番ブルカモンガが追います! 飛調ペースが早いか1番マーファハーブ、続く12番マックバテル、3番セーレーサガット、ここまで固まっています! 11番アウカタイデサーは十番手に控えている! そして7番メガザッシュ、出遅れてしまったか5番マカアルトン!


〖マカアルトンいつもより後方での競争レース運びです! 先頭変わらず8番ゲッサモンガ、3竜身ほど開いてイェスハマーとエルダーフェスは横並び、4番キャサーナは先団との距離を詰めます! 6番ブルカモンガ、2番ヴィーランティフが外から睨みを利かせています! 六番手には12番マックバテル、マーファハーブは少し下がってセーレーサガットと並んでいる!


〖16フェレンの長丁場、競争レースは抑えた展開だ、第3コーナーを回ってゲッサモンガは飛調ペースを落とす! 二番手にはエルダーフェスが上がってくる、イェスハマーは潜り気味にキャサーナの後ろにつけた! 続いて2番ヴィーランティフ、6番ブルカモンガは少し下がって12番マックバテルと並びます! ここで3番セーレーサガット、マーファハーブの空を取る動きか! 11番アウカタイデサーは低空の運び、7番メガザッシュと並んで5番マカアルトンは巻き返せるか!〗


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