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女子会を開く、レンジャー

本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」のep.20 アイサイドB までをお読みいただいている前提で書かれております。


未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。

その知らせはアークタルラとの激闘が終わった日の夕方、菊先輩を通じて届いた。


「女子会、ですか?」

「うんうん、°˖✧はぴ✧˖°さんから『おめでとう&お疲れ様』ってことで、頑張ってくれた花図鑑さんたちも一緒にどうにゃすか(=`ω ´ =)って」


普通そこは、火属性選抜チームだけでやりそうなものだけど、まさかアタシたちまで誘ってくれるとは……。

花図鑑としての活躍を評価してくれる人がいるんだなって思うと、嬉しいわね!


「それはいいけど、火属性選抜チームのおめでとう&お疲れ様会なのに、照輝さんを仲間外れにしていいのかい?」

「あのチームは照輝さんしか性別1がいないから、一緒に騒ぐには居心地悪いみたいにゃ。それに兄貴って呼ぶファンから別途お誘いされてるからってことで、断ったみたいにゃよヾ(⌒(_*Φ ﻌ Φ*)_」


なるほど、花図鑑も今のところ性別2しかいないから、意図せず女子会になったわけね。


「そういうことなら、ええんやない?」

「うんうん、いっしょに……いこ~……?」

「ミートゥー!!」

「でもその場合、花図鑑として参加するポン?」


梅先輩の指摘に、アタシたちはハッとする。


「にゃんですと!?Σ(艸ωΦ) 今は花図鑑として保留回答してるけど……」

「そういやそうだね」

「ふえぇ……騒ぐなら、素のままが楽しいけどぉ~……」

「素のうちらを知られるのが、得策かどうかやね」

「難しいところでース!」


というわけで話し合った結果、アタシだけ普段通りで、先輩たちは花図鑑としての話し方を崩さずに騒ぐことになった。

まあ、アタシだけ普段通りなのは、元々花図鑑特有の話し方をまだしてないからってだけだけど。


早速参加する旨を、菊先輩は°˖✧はぴ✧˖°さんの個人チャットに回答した。


「そうそう、うっかり余計な情報を漏らさないよう注意だよ! 逆にこっちは仲良くなって、情報もらいやすくなるように夜露死苦!」


そっか、人脈ができるこういう会は、花図鑑としては歓迎なのね。アタシも色んな人と交流しないと。


「そうだ。その前にアタシから報告することが……」


アタシは昨日の報告会以降にあったことを先輩たちに話して、情報共有をする。それが終わると丁度女子会の時間になったので、アタシたちは指定された適性者ギルドの一角に向かった。


どこでやるのかな~って思ってたけど、なるほどね。ここなら椅子やテーブルが元々あるし、職業が違ってても誰でも来れるわね!

しかもよく見たら、アタシたち以外にも祝勝会してるっぽいところがあるわ。


「こっちこっちーっ☆ もうみんな揃ってるよーっ♪」


ちょっと早いかと思ってたのに、もうみんな揃ってるってことは、みんな楽しみにしてたのかな。

テーブルの上に所狭しと並べられた、花や食べ物の形をした魔導具から、°˖✧はぴ✧˖°さんの本気度がうかがえた。


「あれぇ? そっちの子は、はじめましてかなぁ?」


あ、そっか。アタシだけまだ、チョコケーキさんとしか顔を合わせてないんだっけ。


「ええ、新米花図鑑のペンタスよ! ボス戦の情報分析をしてる間はずっと、救護室に待機して戦闘不能者の回復を担当してたから、はじめましてで合ってるわ」

「ああーそれでかぁ! じゃあ次回以降のボス戦の情報分析の時は、よろしくにゃーん♪」


というわけで、全員が椅子に座ったところで、


「じゃあみんな、乾杯しよっかーっ☆」


彼女がそう声をかけると、Miyabiさん、チョコケーキさん、花図鑑の先輩たちが一斉にビールジョッキの形をした魔導具を手に持つ。アタシもそれに倣って、同じ魔導具を手に持った。


この魔導具は昨夜投げたクリームたっぷりのパイ同様、ただのアバター用で実践には使えないから、デフォルトで全員持ってるのよね。


「あっ……私はまだお酒飲めないけど……どうしたらいいのかしら……?」

「えーっ、くろんさん未成年なのぉ? 昼間に『ジャスティアさんと学校の同期』って言ってたから、『同期』って表現なら大学生かなーって、勝手に思ってたけどぉ」

「ええ、高校生よ。……普通は、『同学年』って言うのかしら……?」

「じゃあ前作のサ終当時は、まだ中学生ってこと!? 若ーい!」


まあアバターじゃ実際の年齢なんて、分かりようがないもんね。


「でもゲーム内なのに、真面目すぎ( _•ㅅ•)_」

「どうせ飲んでも酔わないから、別にいいんじゃない?」

「あーでも、プラシーボ効果があれば、酔えるかもぉ???」


それで酔えるとしたら、かなり思い込みが激しい気もするけど、くろんさんだけは念のため、グラスの形をした魔導具を持った。


「じゃあアーク……っと、タラバガニ戦の勝利を祝してぇ~、かんぱーいっ♪」

『かんぱーいっ!』


こうして女子会が開始した。

まあ現実世界のそれと違って、飲み食いを楽しみようがない世界だから、もっぱらおしゃべりになりそうね。


アタシたちの楽しそうな雰囲気を察したようで、いつの間にかノリの良い曲が流れ始めてた。こういう時だけ、この仕様は便利ねぇ……。


「そう言えばMiyabiさん、マジシャングループのマスターって聞いたけどぉ、やっぱり大変?」

「凄いわ……マスターしてるのね……」

「うーん、マスターって言っても今のところ、話し合いの時の議長くらいしかしてないから、そうでもないかな? 戦略関連の質問は、蛍さんがまとめて対応してくれてるから、かなり助かってるよ!」


そう言えばアタシ、各職のグループマスターまだ把握してないや。花図鑑は選抜メンバー対象外で、話し合いに参加しないもんだから……いけない、いけない。


「そう言えばプリのマスターは熾天使セラフィムさんだけど、話し合いの途中から『こんな方法は時間の無駄だ。今の時点で蘇生武器と属性耐性付与武器両方持ってる奴だけ前に出ろ』って言った人がいたから、超早かったわꉂ(•ㅅ•*)ケラケラ」

「あー分かる! 戦う上での必須武器って、やっぱりあるもんね!

私は話し合いの時、自分からマスターのたろ吉さんに、『火属性の支援武器色々持ってるよー☆』って言ったから、比較的早く終わったもん♪」


うーん、°˖✧はぴ✧˖°さんって話題振るのも、相槌打つのも上手ねぇ。


「そうなのぉ? 今回は私より火属性の攻撃武器持ってる人いなさそうだったから早く終われたけど、次から私も、それ真似しよっと!」

「私もそれ、レフィアンさんに提案してみようかしら……? あっ、レフィアンさんは……ファイターグループのマスターなの……」

「そう言えば……ナイトグループってマスター誰なんだろ? 百合さん、知ってるよねぇ?」


アタシたちのことも気にかけてくれてるし……。


「是。ナイトグループマスター、真珠さん」

「そっかー、良かった♪ Rockさんが全体のまとめしてくれてるから、兼任だとしたら大変かなって思ってたけど、それなら安心だねっ☆」


そして心配りまで完璧。アタシも見習おっと。

それに重要情報も満載だから、これは聞いておいて損はないわねっ!


「ねえねえ、それよりさ! 現実世界よりゲーム内の方がいい男性いると思わない?」

「それはやっぱりぃ~、理想の姿をアバターにする人が多いからじゃないかなぁ?」

「んでねっ、そういう人といい関係になったりしないかなーって! まあお菓子より甘い話だけどっ」


おっと、ここで女子会定番の恋バナかぁ。


「でも、照輝さんの恋人はきっと筋肉だよね(「 •ㅅ•)「」

「ああ~」

「私はねー、マジシャンなら蛍さんがカッコいいと思うんだけど、なんか『みんなのお兄さん』って感じなのよねぇ」

「そうだねぇ~、レンジャーならU-berryさんもカッコいい系かなぁ♪」

「くろんさんはどう?」

「えっ? 私……?」

「いいなーって思う人とか、気になる人とか、いない?」

「えっと……その……気になる人……が、いないわけじゃない、けど……。でも……それが恋かは、よく……分からないわ……」


何となくそういうの鈍そうだなって思ってたけど、これはかなりなんじゃ……。


「みんなは……どこで恋って、分かるのかしら……?」

「ある意味難しい質問だねヾ(*•ᆺ•)ノ」


確かに、その答えは結構人によりそうね。


「……極論、そういう関係になっていいと思えるかどうか?」

「そういう……関係……?」

「ちょ、ちょっとMiyabiさん、まだくろんさん高校生だよぉ!」

「ああっ、そっか! ううーピュアだなぁ。でもそれがまたよし!」

「じゃあ、一緒に遊んで楽しい人、とか?( * •ㅅ•)و 」

「ん~、それだとぉ、お友達との区別が結構難しいねぇ~。ペンタスさんはどう思う?」

「えっ、アタシ!?」


聞き専のつもりだったところに話題を振られて、ちょっと驚いたけど、全く話さないのもアレか。


「そうねぇ……他人に取られたくない人、とかかな?」

「……おおー! それはバッチリな答えかもっ!」

「うんうん~☆」

「他人に……取られたくない人……。でも、いつも1人なのよね……」


まだピンとこないかぁ。なかなか難しいわね。


「あらぁ? なになに、女子会? 楽しそうねぇ♡」


野太い声でそう話しかけられ、振り返ると、いつの間にか大柄なプリーストさんがそこに立ってた。


「あ、マスターΣ(゜∀´(ㅅ• )ガブッ」


ああ、この人がさっき話に出てた、プリーストのマスター・熾天使セラフィムさんかぁ!

……オネェだったのね……。


「はじめまして……よろしく」

「よ、ろ、し、く♡」

「そうそう私、一度熾天使セラフィムさんとも、恋バナしてみたかったのよねぇ!」

「えーっ♡ オネェの恋バナ? 聞きたい?♡」


確かに……ちょっと興味ある!


「熾天使セラフィムさんの好みって、どんな人?」

「私はやっぱり高身長でぇ、綺麗系よりワイルド系のメンズが好みよ♡ 照輝さんは中身長だから、惜しいのよねぇ♡

他だと……Rockさんとか、レフィアンさんとかかしらぁ♡ あ、あとあの子、ジャスティアさん♡」

「えっ…………ティアを……!?」


……この時、くろんさんが無意識に胸に手をあてて、悲しそうな声でそう言ったのを見て、「熾天使セラフィムさん、グッジョブ!」と思ったのは、多分アタシだけじゃないわね。


「でもジャスティアさんには、『誤解されたくねぇから絶対嫌だ』って、相互フレンド登録断られちゃったぁ♡ んもう、勘がいいんだからぁ♡」

「あ~、その人高校生らしいから、それでよかったかもぉ……」

「ええーっ! あんなしっかりしてて高校生なのぉ? ああん、それは危なかったわ♡

……まあどのみちオネェの勘だと、心に決めた子がいるみたいだったから、諦めちゃったけど♡」

「……心に決めた、子…………」


アークタルラとの激闘が終わった後のアレを見た人なら、「いやいやもう確定じゃない?」って感じなのに、当の本人はその自覚がないんだぁ……。


Miyabiさん、°˖✧はぴ✧˖°さん、チョコケーキさん、そしてアタシたち花図鑑のメンバーは無言で視線を交わし、くろんさんの今後を温かく見守る会が密かに結成された。


「あれ、皆さんまだ起きてたんですか? 明日は1日かけて山岳地帯(昼)で装備集めだから 皆さんもそろそろ休まないと」

「わっ、もうそんな時間!?」


たまたま通りかかったユウさんにそう声をかけられ、女子会はお開きとなった。


「みんな、今日は集まってくれてありがとにゃん♪ また一緒に集まろうねーっ☆」


この時の様子を、予想外の存在に目撃されていたことを知る者は……ゲーム内には、いない。

ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。


もしよろしければ、


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をしたうえで、本作を読み進めていただけますと、大変励みになります。

どうぞよろしくお願いいたします。

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