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サ終ゲームのリスタート side story ~新米花図鑑の人物分析結果録~  作者: 橋 みさと
第3章 キングドロセラに勝つまでの記録
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優雅に過ごす、プリースト

本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第2章ep.29 アイサイドC、D までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。


未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。

「おはよう!」


女子会から一夜明け、アタシはその日のデイリーガチャを終えると、花図鑑部屋に揃っていた先輩たちに挨拶した。


「ペンタスちゃんも、おはようやで」


この時間に集まってるのには、勿論理由があるわけで……。


「うぅ……ねみゅいよぉ……」

「藤ちゃんは朝が苦手だもんにゃヾ(⌒(_*Φ ﻌ Φ*)_」

「そういえば今日は、藤先輩が当番でしたっけ?」


実は一部の人が朝早くから何かをしていることが分かったから、今朝から念のため、当番制で見回りすることになったのよね。これからその、報告会ってわけ。


「じゃあ気合い注入やっぞ!」

「ふえぇ……」


あまりに眠そうだったので、向日葵先輩が背中を叩いて目を覚まさせると、藤先輩はこれ以上叩かれてはかなわないと思ったのか、報告を始めた。


「今朝もねぇ~……ペンタスちゃんに聞いてた通り、照輝さんがトレーニングしてたよぉ~……。

あとぉ~……、1人で森林地帯(昼)に向かう子を見つけたから、追いかけてみたのぉ~……」


◆◇◆◇◆


念のため普段とは全く違う、男の子のアバターに変えたあたしは、その子に気づかれないように、少し距離を置いて追いかけた。


頑張りすぎる人を抑制する目的で、「指定時間外にクエストクリアを目指すのは禁止」ってことになってるから、念のため見てたけど、この子はクエスト持ってなかったなぁ~……。


すると意外なことに、その子は普段みんなが進む方とは真逆の道に進んでいったので、ますます目的がわかんなくなった。


「ここは……」


知る人ぞ知る、とても小さな花畑。小さすぎて敵も設置されていないこの場所の端に、忘れられたように置かれた切り株に座ると、その子……Ruyさんは目を閉じ、日光浴を楽しんでるようだった。


すぐ近くを流れる小川のせせらぎを聞きながら、のんびり過ごす時間。

考えてみたら、こんな時間の過ごし方は、とても贅沢になっているのかもしれないなぁ~……。


と、5分程度経ったところで何かを思いついたようで、Ruyさんはおもむろに管楽器の形をした風属性の武器を取り出した。

1音1音、確かめるように吹く。意外にも、ちゃんと音が出てる。


調整が終わったのか、大きく息を吸い込んでから、Ruyさんは演奏を始めた。


「この音楽……スカイオーシャンのテーマソングだぁ~……」


早朝にふさわしく、ゆっくりとしたテンポでの演奏に、つい耳を傾ける。

上手ぅ~……、しゅっごいよねぇ……。


音楽が2周したところで演奏が終わったので、思わず拍手してた。そこで初めてあたしの存在に気づいたRuyさんは、


「あ、ありがとなんだぞっ」


恥ずかしそうに顔を赤らめながら、そう言った。


「いつもここで演奏を?」

「ここにはいつも来てるけど、演奏は今日が初めてだぞっ。戦うばっかりだと、気が滅入るだろっ? ここなら敵が来ないから、1人でものんびりできるしっ!」


なるほど、気分転換のために来てたんだ。よかったぁ~……。


「1人で討伐エリアに向かうの見つけて、つい追いかけてしまったけど、ちょっと得した気分です」

「ほ、褒めても何も出ないんだぞっ! 別に私の腕じゃないしっ」

「えっ? でも……上手でしたよ?」


謙遜してるのかと思ったけど、Ruyさん的にはそうじゃなかったらしい。


「えっとなー、武器ってどれも使うと勝手に、事前に決められた動作をしてくれるだろ?」

「そうですね?」

「これも武器だからだと思うけど、『こんな音を出したいっ』て思って吹いたら、その通りに音が出たぞっ!」


知らなかったぁ~……。まあ、試そうとも思わなかったから、当たり前だけどぉ~……。


「ということは、僕もできるかな?」


試しに、楽器を模した武器を探してみる。丁度ハンドベルの形をした魔導具があったので振ってみたら、確かに普通ならあり得ないことに、1つのベルで音階が出せた。


「これ、面白いですね」

「なーっ!」


ただ、さすがに通常と違う使い方だからか、あたしには綺麗な音楽を奏でられなかった。

使うタイミングくらいは気を付けないと、うまくいかないっぽいなぁ~……。


しばらく男の子の姿のまま、Ruyさんと色んな楽器型武器の使い方を試してみる。


「これ、もしかして琴を模した武器を、バイオリンの弓みたいなものでこすったら、バイオリンっぽい音出るかな?」

「持ってる人に試してもらいたいですね、それ」

「うんうん」


こうして優雅な時間は過ぎ、クエスト取得が可能な指定時間間近になったので、あたしたちは適性者ギルドに戻った……。


◆◇◆◇◆


「って感じだよぉ~……」

「じゃあ、心配してたことはなさそうだポン!」

「あ、それはねぇ~……、まだ分からないかもぉ~……」

「他にも何かあるのかい?」


藤先輩は何かを思い出すように視線を左上あたりに向け、続けた。


「丁度適性者ギルドに戻ったところでぇ~……、一瞬だけ、事前に聞いてた子を見たのぉ~……」

「場所はどこやったん?」

「んとねぇ~……、救護室の近くぅ~……?」

「ワーオ!」


ということは、やっぱりアタシの懸念は当たってるかもしれないんだわ。


「藤ぃ~! バリバリすれ違ってるじゃんよ!」

「うぅ……ごめんねぇ」


とはいえ、こればかりは仕方ない。次回以降も警戒を続けることで、その日の早朝報告会は終了となった。

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