戦略を突き詰める、ファイター
本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第2章ep.29 アイサイドC、D までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。
未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。
「ふう、やっと落ち着いたかしら?」
キングドロセラの行動を分析するための戦いに挑み、救護室に飛ばされてきた人を癒し続けてたアタシは、ようやく全員の回復を終えたことを確認する。
全滅経験があって、かつプリーストのアタシがここに待機するのが適任ってわけで任されたけど、さすがにこの人数を1人で癒すのは大変ね……。
とはいえ、行動分析戦闘に参加するのは2回目って人が多いし、私が事前に待機してることは周知済だから、精神的に危険な状態でここに飛ばされる人がいないのは幸いかな。
後は風属性選抜チームの活躍を信じて待つだけなので、アタシは観戦エリアに移動した。
……って、先輩たちから聞いてはいたけど、ホントにゴールデンウパぺんがいるんだ……。
おっと、風属性選抜チームはまだ話し合い中かな? どんな話をするのか、興味あったのよね……。
というわけで、アタシは先輩たちに分析結果を教わりつつ、邪魔にならない位置でその様子を観察することにした。
「……というわけで、いかに縄跳び部分で足止めされずに、行動できるかが鍵だと思うんだけど……みんなの意見はどうだい?」
「よく分かんないから、任せる……寝てていい?」
「あってると思うぞっ! そして寝たら駄目だぞっ!」
「僕も戦略は苦手……。鷹影お兄ちゃんは得意そうだけど」
そう話を振られた鷹影さんは、しばらく1人で何かを考えてから発言した。
「大筋はその通りですが、そのために『どんな行動をするか』が、此度の戦の肝だと考えております。
敵にダメージが通りやすくなるようなバフやデバフをかけるのは勿論ですが、それ以外も……」
「それ以外って何、鷹影お兄ちゃん?」
「特に今回は、状態異常で継続的にHPが削られてしまいますので、まずは味方の行動が阻害されないようにする必要がありますよね?」
へええ、ファイターさんでそこに気が回る人って、珍しいなぁ。鷹影さんはボイスが「策士」だし、そういうの普段から意識してるのかしら?
「確かに自傷があるファイターさんととレンジャーさんには、特に動きにくい敵だよなっ!」
「僕は武器の再使用可能時間にも気を付けて移動しないとだ……」
「そこで、ファイター以外のことに私は詳しくないので、皆さんに教えていただきたいのですが、あの状態異常のダメージを減らすとか、味方のHPを自動回復するとかいった方法はありませんか?」
他の職業のこと分からなくても、そういうこと聞いてみようって思いつくってのが凄いわねぇ。
「あ、あるぞっ! 行動時回復ってやつが! でも魔法攻撃力参照の回復だから、前作ではあまり使われてなかったぞっ?」
「状態異常のダメージを減らす方法か……あるねぇ。状態異常を付与される前に敵の物理与ダメージをDOWNさせるか、味方の物理被ダメージをDOWNさせればいいよ。
ただ味方の物理被ダメージをさらにDOWNさせるのは、現実的じゃないかなぁ?」
しかもあるんだ、そんな方法……。聞いてても理解するので精一杯だわ。
「まずRuyさんですが、the 2ndでその戦略が現実的か、念のため確認をお願いします。
また全員で、物理与ダメージをDOWNさせる武器を持っていないか確認しましょう。物理与ダメージをDOWNできる時間が長ければ、他のキングドロセラの攻撃も弱めて、より回復の負担を減らせますよね?」
「そして回復の負担が減れば、その分他のことができるってわけか。目の付け所がいいねぇ」
ホント、言われてみれば納得だわ。何ていうかこう……視野が広いわねぇ。
「あっ、行動時回復の武器見たら、魔法防御力依存回復に修正されてたぞっ! これなら普通に使えるなっ!」
「物理与ダメージDOWNの武器はいくつかあるけど、今回の敵に合わせてお父さんが使うとしたら……1手で1分効果がある、これかな……」
「すー……すー……」
「ちょ、ラガマフィンお姉ちゃん頑張って! 僕もあんまり分かってないけどっ!」
「なぁ、この魔導具はどうだ? 効果時間40秒だぞっ!」
「何と……Rockさんの武器と合わせて、Ruyさんがその魔導具を使えば、より敵の物理与ダメージをDOWNできるので効果的ですよ。誠に素晴らしい!」
そんな感じでどんどん戦略が決まっていくのを、アタシは感心しながら見てた。
「それともう1つ。敵の回復行動のところなのですか……これを妨害する手段はありますか?」
「えっと……何のためにだ?」
「それができれば、ダメージを与えてHPを削るのと同等の功績をあげられます。内容によっては、普通にダメージを与えるより大きな功績が得られるかもしれません」
えっ、そういう発想!?
「妨害……妨害か……」
「でも敵に行動させない方法は、このゲームにはないぞっ?」
「石化も麻痺もないもんね」
「いや……与HP回復量か、被HP回復量にデバフをかければいけるぞっ! 鷹影さん、いいアイディアだよ! そしてお父さん、丁度与HP回復量にデバフをかけられる魔導具を持ってるぞっ!」
ひええ、鷹影さんのアイディアも凄いけど、それを実現するための知識がすぐ出てくるRockさんも凄いわ。このコンビ、相性がいいわね。
こうして最終的な方針が決まったところで、ラガマフィンさんは起こされて、Dylicaさんと共に分かりやすい説明を受ける。
「ゴールデンウパぺんさん。私たちの雄姿、とくとご覧くださいね」
最後に鷹影さんは、ちゃっかりゴールデンウパぺんにアピールしてから、観戦エリアを後にした。




