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サ終ゲームのリスタート side story ~新米花図鑑の人物分析結果録~  作者: 橋 みさと
第9章 アクアム・アクアスに勝つまでの記録
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学び続ける、マジシャン

本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第5章ep.91 水の加護 までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。


未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。

アタシがその様子を目撃したのは、山岳地帯(夜)での合成素材集め初日が終わった夜……いつもの見回りをしてた時のことだった。


「ウペウペペ?」

「ウペ!」

「ウッペー!」


LiEさんが……ウパぺんに向かって、ウパぺん語(?)で話しかけてる!?

しかもウパぺん、返事してるの!?


驚きすぎて固まってたら、LiEさんがアタシの存在に気づいて、挨拶してくれた。


「ペンタスさん、こんばんは。今夜は綺麗な夜ですね」

「え? あ、こんばんわ!?」

「? そんなに驚かれなくてもよろしいのに」

「いや、驚くでしょ! 今のは何、ウパぺん語!?」


そう聞くと、LiEさんは一瞬きょとんとしたけど、ウパぺんと顔を見合わせると……エリアチャットに書き込まれたスカオー語に目を走らせ、微笑んで答えた。


「うふふふ、そうなんですの。実はやっと、簡単な会話ならウパぺん語でできるようになりまして」

「ほ、ホントに!?」

「ええ」

「ウペウペ」


他の人がこんなこと言っても、冗談だと思うところだけど……スカオー語検定自称準2級を自称するLiEさんが言うと、すんなり信じられるから不思議よね。

ウパぺんも何か、頷いてるし。


「本当はスカオー語での会話をしてみたかったのですが、ウパぺんの身体ではそもそも、スカオー語の発音ができないとのことでしたので……代わりにウパぺん語を習ってみましたわ」

「なるほど、ペンギンに人語は難しいと。そらそうよね、身体の構造が違うんだもん」


ゲーム世界にもそれが適用されるなら、だけど。


「つかウパぺんからどうやって、ウパぺん語習ってるの……? ウパぺん語しか話せないわけでしょ?」

「それは勿論、チャットを介して意味を教わりながら、ですわ」


いやいやいや、サラッと言うけどそれってさ……。


「ウパぺんとのチャットってつまり……スカオー語よね……?」

「そうですわね。日本語で質問すれば、スカオー語で返してくださるので、とても助かっておりますわ!」


こともなげに言われたわ。

お互いが日本語・スカオー語を完全に理解してるから、できる芸当ってことかぁ。


「LiEさん、凄すぎるでしょ……。ちなみにさっきの会話、何て話してたの?」

「『そうなんですか?』、『はい』、『凄い!』といったところですわね。ウパぺん語は同じ言葉でも、文脈によって意味が複数あるそうで、とても大変ですが……」

「ええっ!? 聞いてるだけで、頭が混乱しそう……」


それでも学び続けようとするLiEさんって、ほんと凄いわ。もうそれしか言えないわ。

そんなことを考えてたらLiEさんから、


「うふふふ、嘘ですわ♪」


ふいにそう言われて、アタシはさらに混乱した。


「……え、嘘!? どこから!?」

「『簡単な会話ならウパぺん語でできるようになりまして』からですわ」

「それって全部じゃん!?」

「ウパぺんに、『勘違いしてるみたいだから、そういう悪戯をしよう』とスカオー語で提案されましたので。騙して申し訳ございません……」


あの時のエリアチャット!?

慌ててウパぺんの方を見ると、どうやら本当らしくって、ウパぺんはおどけた仕草を見せた。


「LiEさんは冗談言わないイメージだったから、完全に騙されたわ……」

「わたくしも、こんなに簡単に信じていただけるとは思いませんでしたわ」

「ウペ」

「ああでも、ウパぺん語を習おうとしたのは、本当ですわ」


……待って。今とんでもなくサラリと言われたけど、何回目の爆弾発言なのそれ!?


「今から!? 習おうとしてたの!?」

「そうですわね」

「それも冗談よね!?」

「本当ですわ」


ああ……開いた口が塞がらないって、こういう時に使うんだなぁ。


「ただ残念なことに、ウパぺん語については未完成すぎて、言葉の法則もないそうで」

「んん? つまりウパぺんっていつも、適当って言うか、雰囲気で喋ってるってこと?」

「公式で意味が決まっているウパぺん語が『ウパペ ウパペペ ウパペペンッ』の他は、はい・いいえくらいしかないそうですので、そうなりますわね。

ちなみに、『I love you』とか『I like you』の意味だそうですわ」


まあ、ウパぺんってただのマスコットだし……それで足りてたんでしょうね。


「じゃあ最初のも、雰囲気で会話っぽく話してただけなのね?」

「うふふふ。それらしく見えたのでしたら、とても……嬉しいですわ……」


まあ別に、いいんだけどねアタシは。ウパぺん好きの数人が、残念な顔するのは想像できるけど。


「ていうかさ、一番やりたいのはスカオー語での会話でしょ? そんなにウパぺんと仲がいいんなら、ウパぺんに頼んで、NPCの1人くらいスカオー語で話せるようにできないのかしら?」

「なるほど……仰る通りですね。どうでしょうか? アルファベット1文字ずつの発音が分かるだけでも、助かりますわ」


2人で同時にウパぺんの顔を見ると……少しだけ考えてから、ウパぺんは胸をドンと叩く仕草を見せた。


「任せろって言いたそうね」

「本当……ですの? 楽しみにしておりますわ!」


このお願いが聞き入れられたようで数日後、スカオー語講座をしてくれるNPCが密かに追加されたのは……ここだけの話。

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