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サ終ゲームのリスタート side story ~新米花図鑑の人物分析結果録~  作者: 橋 みさと
第9章 アクアム・アクアスに勝つまでの記録
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夢を叶える、ナイト

本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第5章ep.91 水の加護 までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。


未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。

次の日の夕方……地属性選抜メンバーは、5人中4人も戦闘不能者を出しながら、アクアム・アクアスとの戦いを制した。


「いけない、アタシも早く向かわなきゃ!」


ユウさんの職業特性のお陰で、クエストクリアフラグが立ったのを確かめてから、アタシは急いで観戦エリアの出入口に向かう。

精神にかなりダメージを受けてるはずだから、急いでみんなを回復してあげないと……!


「ごめん、そこ通して!」


アタシは何とか人ごみをかき分けて、みんなのところへと走る。


幸いなことに、ようやく辿り着いた時にはもう、熾天使セラフィムさんによって全員のHPが満タンになってたので、少しだけ安心した。


「熾天使セラフィムさん、あんがとねー! 後はアタシが見てるわ」

「オッケぇ~♡ じゃあ慣れてるペンタスちゃんに、お任せするわぁ~♡」


というわけで、アタシは後を引き継ぐことに。


「そうですか。じゃあ……全員温かいところに移動した方がいいですよね? ……温泉とか?」

「そう願えますか?」


そっか、みんな寒そうだったから……確かにそれが一番よね。

ユウさんとたろ吉さんの会話を聞いて、アタシもそれに納得する。


ただ問題は……どう運ぶかなのよねぇ。まだLiEさんと有紗さんの2人、意識が戻ってないし。

……あ、そうだ!


「ねぇウパぺんたち、今の聞いてたでしょ? 手伝ってもらってもいい?」


前回手伝ってくれたから、今回もしてくれる気がして、アタシはすぐに声を掛ける。

幸いウパぺんたちに元々、その気があったみたいで、


「ウペ!」

「ウッペン!」


すぐに集まって、早速LiEさんと有紗さんを持ち上げてくれた。


「できれば俺も運んでほしいっス……」

「私も、まだ自分で歩くのはキツイかもぉ~」

「あ~、そりゃそうよね」


というかどう見ても、みんな自力で歩ける状態じゃないわ。だけど……


「LiEさんと有紗さんを運ぶのにウパぺん50匹中、半分くらい使ってるから……あと半分で3人を運ぶのは、さすがに無理よねぇ? 増援ってお願いできる?」


一応聞いてみたけど、ウパぺんに首を横に振られた。


「大丈夫です……先生が自力で移動します」

「ちょ、ちょっとタンマ! いくら何でも、まだ無理よ!」


それでも立ち上がろうとしてできず、その場で倒れそうになったたろ吉さんを、慌てて支える。

早く相互フレンドの人を探さなきゃって考えてたら……人ごみをかき分けて、救世主が来た。


「大丈夫、お父さんに任せなさい!」

「あ、Rockさん! たろ吉さんが……」

「意地張ってるんだろう? こういう時くらい、人を頼ってもいいのにねぇ」


さすがRockさん、何もかも分かってるって感じね。

そして彼は有無を言わせず……


「それ、どっこいしょ」


たろ吉さんをひょいと抱き上げた。

こ、こ、これは……お姫様抱っこ!!!


「な、なん……!?」


すぐに状況を把握したたろ吉さんは、あっという間に真っ赤になり、


「お、おろ、降ろしてください……!」


Rockさんの頭を、何度も平手で叩く。でもさすがに力が入らないみたいで、


「おおっ、今日のママの攻撃は、全然痛くないぞ!」


Rockさんはやたら、嬉しそうだった。

どう見ても「ペチペチ」って感じだから、じゃれ合ってるように見えるしね。


この間に(≧▽≦)さんと紅央さんもそれぞれ、ウパぺんたちに持ち上げられたので、アタシたちは一緒に歩き始めた。


「いや~、一度やってみたかったんだよねぇ、これ。やっとパパの夢が叶ったよ。ゲーム世界だと結構簡単にできるんだなぁ」

「簡単!? いてて……マジっすか?」


何故かやたら食いつく(≧▽≦)さん。

え、何? もしかしてお姫様抱っこって、男性の憧れか何かなの?


「ママが低身長設定で、パパが高身長設定だからかもだけど……現実世界より、明らかに軽くて楽だよ」

「いや、お互い性別1設定ですから! 恥ずかしいですよ、いくら何でも!」


今度は足をバタつかせて、抵抗を試みるたろ吉さんだけど……これも全然、効果なさそう。


「何? じゃあパパが性別2に変更すれば、恥ずかしくない?」

「どうしてそうなるんですか!!」

「だって同性に見えるのが嫌なら、それで解決するだろ?

 ……そうだ! 『先に保健室で待っています』とか言ってたし、2人だけでそっち行く?」

「そんな意味で言ってません!! 謹んでお断り申し上げます!!」


2人の掛け合いに、紅央さんは必死で笑いを堪えて、肩を震わせ始めた。

(≧▽≦)さんもニヤニヤしてるわね。


「たろ吉さん、もう諦めたら? それだけRockさんが心配してるってことじゃない」


さすがにそろそろ止めた方がいいと思って、アタシは声を掛けた。


「あと、身長差だけで言えば、(≧▽≦)さんがお姫様抱っこされてもいいけど……たろ吉さんはそれでいいの?」

「そ、それは……ああもう、分かりましたよ!」


ようやく観念したようで、たろ吉さんは自分の顔を両手で覆い隠して、


「早く運んでください……」


小さな声でそう呟く。

Rockさんは満足そうに、たろ吉さんを抱え直した。

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