ウパぺんと遊びたい、レンジャー
本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第5章ep.72 風の加護 までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。
未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。
「ふう……やっと一息つけた……」
精魂尽き果ててたアタシは、イベントエリア「温泉」で湯を堪能し、いつもの服に着替えた。
朝から爆速でパーティ編成し直して、そのまま合成素材集めに入ったもんだから、やたら1日が長く感じたわ……。
そうそう、今度こそスイーツを、ゆっくり味わって食べないとねっ!
というわけでアタシは、イベントエリア「花畑」に向かう。今朝ドーナツを急いで食べたせいで、あまり味わえなかったので、今度はクッキーとドリンクを手に、空いてる席を探していたら……
「へぇ……珍しい組み合わせじゃん」
Dylica君が武士ウパぺん、桜ウパぺんと一緒にいるところまではまあ、普通かなと思ったんだけど、そこにくろんさんが加わってたから、意外な気がした。
「……で、こんな感じでさ、ジャスティアお兄ちゃんがユウお兄ちゃんの武器編成、ささっと終わらせてたんだ。そんなことできるって見つけられるの、凄いよね!」
「そう……ティアがそんなことを……。教えてくれて、ありがとう……」
何だかよく分かんないけど、Dylica君が椅子に座ってる武士ウパぺんの後ろに立って、2人羽織りみたいな感じで武士ウパぺんの右羽を持って動かしてる様子を見て、くろんさんは複雑そうな反応を見せた。
そしてそのまま、くろんさんはどこかにワープしてしまう。
そうなると追いかけようがないから、アタシはDylica君に話しかけることにした。
丁度、気になってたこともあったしね!
「Dylica君、お疲れ! 今日の合成素材集めは大丈夫だった?」
「お疲れさま! ペンタスお姉ちゃんも、ぼくのこと心配だったの?」
「まあね~、パーティ編成は花図鑑でやってるから。……って今、ペンタスお姉ちゃん『も』って言った?」
「言ったよ! くろんお姉ちゃんにも、同じこと聞かれたもん!」
なるほどね。つまりくろんさんもアタシと同じ心配してて、さっきのはその話ってわけか。
「それで、何て答えたの?」
「えっとね……」
というわけでDylica君から、くろんさんにしたのと同じ話を聞いた。
何となく、くろんさんの態度の原因が分かったけど……その感情そのものは好ましいのかな? 行き過ぎないようにだけ注意しとこ。
さり気なく花図鑑部屋のチャットにその報告を送りつつ、アタシはDylica君との会話を続けた。
「それにしても、武士ウパぺんや桜ウパぺんとも仲良くなったの?」
「うん、これから遊ぶ約束してたんだ!」
「ええっ、会話できないのにどうやって!?」
「え? えっと……何となく?」
それが本当だとしたら、凄すぎるわ。どうやってコミュニケーションしてるのかしら……?
「折角だから、ペンタスお姉ちゃんも一緒に遊ぶ? もうすぐゴールデンウパぺんと、サマーウパぺんも来るよ!」
そう言ってDylica君も席に着いたので、
「そうね、そうしよっかなっ!」
アタシもその席に混ぜてもらうことにした。
「どんな遊びするの?」
クッキーを1つ口に入れて聞くと、Dylica君はすんごくいい笑顔で、嬉々として応えてくれた。
「昨日はボール遊びとか、鬼ごっことか……あと武士ウパぺんと、チャンバラごっこしたんだ! 武士ウパぺんの戦い方、すっごくカッコいいんだよ!!
それで今日はね~、桜ウパぺんがカードゲームしようって誘ってくれたんだ」
「カードゲーム……」
すると武士ウパぺんが「えっへん」というような仕草をし、桜ウパぺんは、アタシたちにカードの束を見せる。武士ウパぺんと桜ウパぺんがそれぞれ何枚かのカードをもって、桜ウパぺんが武士ウパぺんの持つカードから1枚引いて……ペアになったら捨てると。
それで……ああ、そういうことねっ!
「ババ抜きしようってことみたいね」
「ねっ、何となく分かるでしょ?」
確かにこれなら、言葉はいらないみたいね。
ババ抜きで駆け引き楽しむなら、人数がそこそこいる方が面白いだろうし。
程なくしてゴールデンウパぺんと、サマーウパぺんが合流したので、まずは席決めのために各自1枚カードを引いて、数が小さい順に並ぶことに。
結果、サマーウパぺん、Dylica君、武士ウパぺん、ゴールデンウパぺん、アタシ、桜ウパぺんの順になった。
「あ、アタシがカード配ってあげるわ」
「ウペ? ウペー♪」
さすがにウパぺんたちが、カード切るのは大変そうだもんね。
桜ウパぺんから受け取ったカードを念入りにシャッフルし、席順にカードを配った。どれどれ……。
あ、ジョーカーきてた。さすがにこの人数だと、ペアになりにくいわね。
アタシは何食わぬ顔で、1組だけ揃ったカードをテーブルに捨てて、手札が7枚になった。
「えっ、武士ウパぺんもうそんなに揃ったの!?」
何と3組揃ってたらしく、武士ウパぺんの手札は早くも3枚。
逆にサマーウパぺんは全く揃わなかったらしくて、いつもの不機嫌そうな表情のまま、9枚の手札を見つめてた。
そう言えばウパぺんたち、あの羽でどうやってカード持ってるのかしら……? 某未来型ロボットと同じ仕様???
人数の関係で、配られた手札が1枚少なかった桜ウパぺんが、サマーウパぺんからカードを引くところからスタート。
早速揃ったらしく、はにかみながら2枚捨てて手札が5枚になる。
……ちょっとこの光景、滅茶苦茶可愛いくて癒されるんだけどっ!
たまたま居合わせた人たちもそう思ったらしく、いつの間にか周囲の席は見物人で埋まってた。
Dylica君から引いたカードが早速揃ったらしく、サマーウパぺんは「どうだ!」とばかりにカードを捨てて7枚に。
「うーん、だめだよ……」
Dylica君は武士ウパぺんから引いたカードでは揃わなかったらしくて、5枚のカードを見つめ、あからさまに残念そうな表情を見せた。
自分の番が来る間、アタシはクッキーとドリンクを楽しむことに。
するとゴールデンウパぺんから引いたカードを見、ニヤリとした武士ウパぺんが、カードを捨てる。
「ウッペー!」
「ええっ!?」
「待って! 早すぎるよ!」
早くも手札が1枚になってた。
おっと、アタシがカード引かせる番だっけ。
「はい、どーぞ」
ドリンクを飲みつつ、何食わぬ顔でゴールデンウパぺんにカードを見せるアタシ。しばらく悩んでたゴールデンウパぺんは、見事にジョーカーを引いてくれた。バレないよう、ゆっくり7枚のカードをシャッフルしてるわね。
アタシは桜ウパぺんから引いたカードがペアになったから、これで残り5枚っと。
最初不利に思われたサマーウパぺんは、またペアカードを引き当てたので5枚に。次で武士ウパぺんの1枚しかないカードをDylica君が引いたので、武士ウパぺんが一抜けした。
「いいなー!」
ペアが揃ったので、Dylica君はこれで3枚に。
今度はゴールデンウパぺんのカードが揃って6枚に。アタシもペアが揃って3枚になったけど、続く桜ウパぺんは揃わず5枚のまま。
サマーウパぺんはさらにペアを引き当て、これで3枚になった。
武士ウパぺんが勝ち抜けてるので、Dylica君はゴールデンウパぺんからカードを引くことに……。
「えっと……これっ!」
満面の笑みでカードを引いたDylica君は次の瞬間、
「……あっ……。あー……」
引いたカードを見て固まった。これは……ジョーカー引いたわね。
ゴールデンウパぺんとアタシのカードが、それぞれ4枚と1枚になったところでようやく、Dylica君ははっとし、慌てて3枚のカードをシャッフルする。
桜ウパぺんも順調に減らして、残り3枚に。
「……どど、どれにする??」
ポーカーフェイスって何だっけ状態で、Dylica君はサマーウパぺんにカードを向けた。サマーウパぺんはニヤリとし、カードの上にゆっくり羽をかざす。
Dylica君の顔色で安全なカードを判別し、揃ったペアカードを勝ち誇った表情で捨て、残る1枚を見せつけた。
サマーウパぺん、大人げない!!
こんな感じでどんどん進み……最終的にDylica君とゴールデンウパぺんの一騎打ちに。
周りの観客も、微笑ましく見てるわね。
「うう……」
Dylica君は泣きそうな表情で、残り2枚になった手札を、目をつぶったままシャッフルする。
「よし、どうだ!」
そしてそのまま、ゴールデンウパぺんに2枚のカードを向けたんだけど……まさかのジョーカーがゴールデンウパぺんのほうを向いてた。
えええっ!?
周りの観客は笑いをこらえてたけど、Dylica君だけが気付いていないので、目を固く閉じたままカードが引かれるのを待ってる状態。
ゴールデンウパぺんも最初どうしていいか分からず、あたふたしてたけど……最終的にジョーカーを引く。
まじでっ!? ゴールデンウパぺん優しっ!!
「……やったぁ!」
まさかの大人対応に気づくことなく、大喜びするDylica君。次にゴールデンウパぺんの巧みな誘導で、見事ペアカードを引き当てて勝ち抜けた。
「ふー、どきどきしたけど面白かった! また明日も遊ぼうねっ!」
まあでも、この笑顔を見られるなら、アタシもわざと負けてたかもね。




