色気たっぷりの、ファイター
本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第4章ep.61 休暇C までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。
未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。
黒妖狼を倒し、速攻「珊瑚等級昇格」を済ませたアタシは、急いで花図鑑部屋に向かい、
「さあお前たち、最終集会やっぞ!」
「よっしゃ! いったるで!」
花図鑑で出し合ったアイディアに、ユウさんの意見を加え、いよいよ実現できる段取りとなった「秘密計画」の最終チェックをしつつ、笑みを浮かべた。
いや、笑みを浮かべてるのはアタシだけじゃなくて、花図鑑全員かな。
「準備デキータ!?」
「いい……よぉ~……。みんな……だぁいすき……」
「♡(´ Pゝω・)ニャンニャン」
うん、最終チェックも問題なし!
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Rock:光属性選抜チームのみんな ここまで頑張ってくれた他の人も お疲れ様!
約束通り 明日は丸一日休暇にするよ!
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Rockさんがワールドチャットで休暇を宣言したのをきっかけに、アタシたちは円陣を組む。
「行くよお前たち! 生半可な覚悟でみんなの前に立つんじゃないよ!」
「もちろんにゃ(=^・^=)」
「頑張るポン!」
「お願いしマス!」
「ほないくで?」
「よろしくでしゅう……」
「おっしゃ、気張ってこう!」
これで気合もばっちりね!
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Rock:お父さんにも詳細はまだ秘密ってことだけど 人によってはイベント参加のオファーが入るらしいから もしオファー来た人は 良かったら参加してね
じゃあクエスト報告忘れずに 解散!
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Rockさんの宣言が終わったのをきっかけに、アタシたちはそれぞれ個人チャットページを開く。
そして各自がオファーを伝えるため、準備していた文面を次々送信した。
お、早速返信も。どれどれ……。
「向日葵先輩、予想通りあいつ、『ヒーローショーなんて恥ずかしいものに出るわけないだろ!』って言ってきたわ」
「じゃあ計画通り、楽団のソロ奏者に再オファーで夜露死苦! あの子の参加はもう決定してて、共演パートがあるって付けときな!」
「あっははは! それいいねぇ!」
ちなみにこの方法、「絶対に了承させたいなら、わざと1つ目で嫌がる提案して、2つ目の提案を魅力的にしたらいいですよ」ってアドバイスを、真珠さんに事前にもらってやってるわ!
早速2通目のオファーを送信したら、まあまあ早いタイミングで了承の返事が届いた。
なるほど、性格を把握してやるとチョロいわね!
他の人からも次々と了承の返事が届く。幸い、全員が了承してくれた。
おっと、これは……?
「ねえみんな! ZEROさんから了承の返事と一緒に、『できれば少し練習しておきたい』って届いたんだけど、どうする?」
ちょっと予想してなかったことなので、アタシはみんなの意見を求める。アタシとしてはOKだけど、1人じゃ決められないもんね。
「ふえぇ……。ZEROさんって、何担当だっけぇ……」
「真珠さんとペアで、ライブコンサートのボーカルやね」
「いいと思うポン! ボーカル担当だけ、本物の歌になるから」
みんなも同じ意見だったので、絶対にバレないよう、見張り付きでの練習許可ということになった。
「さすがにこんな時に討伐エリアに行く人はいないだろうから、森林地帯(昼)の目立たなくて安全な場所でやってもらおうか」
「じゃあ、アタシが見張り役するわ!」
「真珠さんにも聞いてみるにゃ|ωΦ)ฅ」
「楽団担当で練習希望者がいるかも、確認するポン!」
というわけで急遽、ボーカル練習と演奏練習が決定。ただし秘密保持の関係で、演奏練習は別の場所での練習になった。
真珠さんからも練習歓迎の返事があったので、3人で先輩たちに教わった目立たない場所に移動し、パーティを組む。
ちなみにパーティ組んだのは、パーティチャットで練習してもらうためよ! これならもし誰かに見つかっても、音は届かないもんね!
早速1人で発声練習を開始した真珠さんを横目に、ZEROさんは歌詞の確認に入る。
「感謝するわ」
「こっちこそ大変な役どころを引き受けてくれて、あんがとねー!」
ちなみに見張りはもう1人百合先輩がいて、こちらは森林地帯(昼)の入り口を見張ってるわ。
ここを通る人がいたら即、アタシに連絡が来るから、そうなったら隠れて一旦中断する手はずよ!
「それにしても、ZEROさんが練習を申し出るとは思わなかったわ」
「フフッ、折角の機会だから、良いものにしたいのよ。こんな状況だからこそ、こういう女性らしいことをしてみたかったのよね」
誰よりも普段から色気たっぷりのZEROさんが、女性らしいことをって……すでに女性らしいのに???
「ところでこれ、メロディーも確認させてくれる? 覚えてはいるけれど、一応聞きたいわ」
「あ、そっか。歌詞だけじゃ分かりにくいわよね! 歌詞入りとカラオケ版の2つあるから、まず歌詞入りを流すわ!」
というわけでアタシは、ウパぺんたちから預かっていたその練習用音楽を、パーティチャットだけで聞けるように流す。2人とも真剣に耳を傾け、自分のパートを確認してた。
「どう? 早速カラオケ版で合わせてみる?」
「お願い出来る?」
「オッケー!」
というわけで、今度はカラオケ版を流す。1回目だっていうのに、2人ともかなり上手く歌えてて驚いた。
「やるじゃんアンタたち!」
「サンキュー! 私は好きな歌だから、元々覚えてましたしねっ!」
「実は私もよ。一緒にやれて嬉しいわ」
3回ほどカラオケ版を繰り返したら、もう歌合わせはバッチリになった。
さらに真珠さんの提案で、予定になかった手振りだけのダンスが追加され、これまたバッチリ合わせちゃうあたり、ZEROさんも只者じゃないわね。
「もうこれ、完璧なんじゃない?」
予想以上のパフォーマンスを見せてくれたからそう言ったんだけど、意外にもZEROさんは、まだ満足してなかった。
「歌とダンスはそうかもしれないけれど、折角ならこう……もっとライブらしいことをしてみたいわ」
「ライブらしいこと?」
うーん、アタシはライブって実際に見たことないけど、1度だけ友人とDVDで見たことならあるわね。
「あー、もしかして、『観客と一体になる』みたいなやつ?」
「ええ、どうかしら?」
「確かに! それやりたいですね!」
ZEROさんがそれを提案するとは思わなかったけど、真珠さんもノリノリだし、先輩たち含めて驚かせるにはいいかも……!
「まず観客に、ライブ用ペンライトを用意してもらうのはどうかしら?」
「いいですね! 楽団が準備する時間があるはずだから、そこで準備してもらうように声かけすれば、場繋ぎにもいいと思います!」
うんうん、その方が盛り上がるっ!
「じゃあ当日の司会担当はアタシだから、MCでそれ言うわ!」
「あと、この部分の間奏が長いから、ここで何かしたいわね」
「えーっとぉ……じゃあ、観客を巻き込むようなことしましょうか!」
とまあこんな感じで、どんどん予定外の要素が付け加えられ、これ以上ないくらい完璧なものができた。
後は個人練習が可能なくらいになったので、パーティは解散となる。
「それにしてもZEROさんってほんと、舞台で映えそうね。真珠さんは可愛らしいって感じだけど、ZEROさんは色香で悩殺って感じ」
解散後も熱心にその場で練習を続けるZEROさんに、そう声をかけたら、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべてアタシを見る。
「あら、もしそう見えてるなら、嬉しいわ。だって私……リアル世界では男だもの」
一瞬、何て言われたか分かんなかった。
「………………え? えぇぇええぇぇえ!?!?」
「フフッ、青いわね。当日を楽しみにしてるわ」
みんなを驚かせるつもりで、これまで色々準備してきたのに、まさかこっちが驚かされるなんて……。先輩たちは知ってるのかしら?
温泉、混浴にして良かったなと、ちらっと思った。




