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サ終ゲームのリスタート side story ~新米花図鑑の人物分析結果録~  作者: 橋 みさと
第5章 ラーヴァゴーレムに勝つまでの記録
26/27

妹思いの、マジシャン

本エピソードは「サ終ゲームのリスタート」の第3章ep.43 銀等級昇格 までを、すでにお読みいただいている前提で書かれております。


未読の方にはネタバレが含まれますので、ご注意の上お進みください。

早速キングドロセラと戦えるクエストを受託したアタシたちは、それぞれが観戦エリアを作成した。


ようやく1人座れる程度の広さの部屋に、普通のパソコン用モニターくらいの大きさの画面があるのを見て、アタシは絶句する。通常の観戦エリアって、こんなに狭かったのね……。


さすがに急なことすぎて、ユウさんが捕まらなかったから仕方ないんだけど、普段いかに快適に観戦できてたかが、これでよく分かったわ……。

ユウさんって何気に普段から、色んな人の訓練のために観戦エリア作ってくれてて、忙しいのよね。


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向日葵:花図鑑 準備状況

菖蒲:完了

梅:完了

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さすがにワールドチャットだと迷惑がかかりすぎちゃうので、今回はわざと花図鑑部屋のグループチャットで連絡を取ってる。


花図鑑部屋なんだから、普通の話し方でもいいんだけど、それだと戦闘に参加する3人の先輩たちが釣られて、うっかり普通の話し方をしちゃうかもしれないから、みんなわざと花図鑑としての話し方をしてるわ。


っと、いい機会だし、アタシもそろそろ練習しないとね。

戦闘開始エリアに揃った5人に注目しつつ、アタシはチャット画面に文字を打ち込む。


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ペンタス:完了

向日葵:全員完了を確認 戦闘開始指示

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当然このチャットは、花図鑑以外の人には見えないから、花図鑑部屋のグループチャットを見た先輩たちが、戦闘開始エリアにいる蛍さんと天尚さんに、戦闘開始指示を口頭で伝えることになってるわ!


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「花図鑑全員の準備完了を確認。戦闘開始指示」

「了解した。キングドロセラの攻撃パターンは把握しているか?」

「はい、大丈夫です!」

「じゃあ、お前のタイミングで始めてくれ」

「……よろしくお願いします!」

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覚悟を決めた天尚さんは、1つ深呼吸してから杖でベルを破壊する。戦闘エリアへと移行し、キングドロセラがBOSS表記と共に出現した。


蛍さんは戦闘エリアにいるけど、今回はわざと動かずに天尚さんの行動を間近で見るつもりみたいね。


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「まずは永続デバフ付与のために必殺技準備……」

「…………」

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天尚さんが初手となる大鎌の詠唱に入った瞬間、蛍さんの目が鋭くなる。それはいつもの、妹を見守る優しい兄じゃなくて、人を厳しく指導する者の目だった。


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「今の大鎌2手は、逆順がいい。たとえ1手でも、無駄にしてはダメだ」

「……そっか、その方がより多くのデバフが長く続くんですね! 次からそうします!」

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なるほど~、側にいるのはこうして即、駄目なところを修正させるためでもあるのね。チャットだと、どうしても時間かかるし。


「キングドロセラへの魔法被ダメージUP永続付与を確認」


天尚さんが必殺技ゲージを使って、永続デバフを付与したのを見て、アタシも報告を呟く。

誰も聞いてないからある意味、アタシの練習にももってこいね、これ。


「味方全員に〈状態異常〉溶解20%付与を確認」


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「次が死の縄跳び……!」

「そうだ、焦らず見極めてから行動するんだ」

キングドロセラ「$iΓЙ-Σ」

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えっと、これは後列から攻撃が来るから……。


「前列移動指示」


ううっ、これホント大変ね。先輩たち毎回よくやってるなぁ。


アタシの練習だから、この指示は蛍さんたちには見えてないし、今回はわざと戦闘エリアで指示する人もいないんだけど、全員正しく列移動して攻撃を避けた。


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「そう、それだ! えらいぞ」

「ありがとうございます!」

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この後は回復行動と単体攻撃だから、火力職の攻撃チャンスね。


安全に準備を終えた天尚さんは、必殺技ゲージを使用し、光属性の杖で空中に星形を描く。そこから生き物のようにうねる光線が発せられ、キングドロセラにぶち当たった。


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「やった、できました!」

「そこで気を抜いてはダメだ。敵の攻撃はまだ続くぞ!」

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喜びのあまり気が抜けそうになってたところで、すかさず蛍さんが指摘する。う~ん、ホントいい指導者ね。


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「ごめんなさい……もう1回お願いします!」

「お前ならできる! 頑張れ」

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こうしてもう1度必殺技を叩き込んだところで、天尚さんの練習は終わりとなり、全員が戦闘エリアから撤退したことで強制終了になった。


この世界、パーティ内の誰か1人でも撤退が成功した場合は、全滅扱いにならないから、HPが減ったまま「戦闘中以外でも回復可能なエリア」に自動で送られることになってるのよね。


「お疲れ! 天尚さん、イイ感じだったわよ!」


観戦エリアを解除したアタシは、すぐにそこに向かって、回復を開始した。


「つっかれたあ~」

「よく頑張ったな」


半分くらい気疲れだろうけど、天尚さんは大きく息をつき、言葉を漏らした。

ちなみに勿論、先輩たちも凄かったわ!


藤先輩も百合先輩も与ダメージDOWNができる武器持ってないから、菊先輩が双剣で物理与ダメージDOWNしたところ、しびれちゃった♪

やっぱり先輩たちも、デバフ付与弓や蘇生メイス、耐性付与盾を持ってないってだけで、戦闘技術は凄いのね!


「でも本番は、あんなもんじゃないですよね……」

「……きっとそうだ。俺もこれからだがな」

「じゃあ私、もう1つお願いができました」


天尚さんはそう言って、蛍さんに向き直った。


「私、蛍さんに守られ続ける妹じゃなくて、蛍さんの弟子になりたいです! いつか2人で、肩を並べて戦えるように!

だからこれからも、厳しいご指導をお願いします!」


彼女のお願いに、蛍さんは驚いてたけど……。


「……そうか。じゃあ俺ももっと、頑張らないとだ。

俺はお前の師匠だからな……」


最終的にそう了承した。

あらあら? これってノーマークだったけど、結構いい雰囲気じゃない?


「やったっ!」


1人喜ぶ天尚さんに気づかれないように、


「お前のような弟子に会えて嬉しいよ」


蛍さんがそう呟いたのを、アタシは聞き逃さなかった。

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