ようやく納品!
ネイムル牧場ダンジョンの諸々がついに届いたということなので戸中山ダンジョンに向かうことにした。眠ってしまったロゼのことは親分とカルーアに任せておく。
「よっす」
「オッス」
「ドウモー」
早速通されたいつもの応接室。そこではすでに武道さんが待機しており、彼が座っている椅子と俺達が座る予定の椅子の間にある机の上には例の届いたものであろうものが並べられていた。
一つはレギオン・ハルニクスからドロップした宝箱に入っていたものなので見覚えがあるが、その他については見覚えがない。これらはレギオン・ハルニクスの素材で作られたアイテムなのだろう。
「ほなちゃっちゃと進めていこか。紹介してくから座ってな」
「あいよ」
武道さんは詳細について書かれているであろう書類とアイテムを見比べて――まずは宝箱に入っていたアイテムからのようだ。宝箱から見つけたままの姿のそれを掴んで俺の目の前へと移動させる。黒い金属質の輪っかの形をしたアイテム。おそらく装備するものなんだろうが、どこにつけるんだろうか。……足環とか?
「これは"レヴィテイト・アームレット"っちゅうアイテムやな」
「……アームレット?」
「ジョージ?」
はて、アームレットは聞いたことのない単語だな。
名前にピンとこず首を傾げているとオーロラから解説が入った。どうやら二の腕につけるブレスレットのことをアームレットと言うらしい。はぇーオーロラさん物知りー。あ、武道さんも一緒になって「はぇー」って言ってた。だよな、わからないよな!?
「えー、話を戻すとな?このアームレットは任意で、装着者の重力を軽減できるようになるっちゅうもんや」
詳細な効果としては、アームレットに魔力を込めることで装着者にかかる重力が大きく緩和される。これにより跳躍力が飛躍的に向上し、落下速度も大きく抑えられるようだ。また、空中での姿勢制御も容易になり、踏み込みや回避の挙動にも影響を与えるらしい。それを差し引いたとしても――
「有用性はありそうだな」
「ダネ!」
「一応うちで買い取るならコレくらいやな」
効果を聞いた時点で引き取ることは自分の中で決まっていたのだが、それはそれとして買取価格も気になったので見てみると、想像以上に「0」の数が多かった。冒険者もそうだが、高所での作業での安全対策としても求められるのだそうな。
「ほな、次にいこうか」
そんな言葉とともに目の前に差し出されたのは――指が出ているタイプの手袋一組だ。質の良さそうな皮でできているそれの手の甲の指の付け根に当たる部分には見覚えのある色をした金属が埋め込まれているのが分かる。
「これは譲二さんリクエストのフォートレスマンモの皮とレギオン・ハルニクスの”追撃”のスキルを持った手甲で作った制作者命名――"双震の手甲"やそうや」
「格好いい名前だな……おっ、結構ズシッとくるな」
試しに持ってみたが、フォートレスマンモの皮を使っているからか見た目とは裏腹に結構な重さのようだ。いや、レギオン・ハルニクスの手甲の重さもあるのか?どちらにしても普通の人だと装備しただけでもその重さに苦心しそうだな。硨磲の盾のように重さ軽減の効果は無さそうだし。
ちなみにフォートレスマンモの皮は須藤さんと交渉(グラキエル・ペンギオスの肉)の末、一部譲ってもらったのだ。
俺には"魔力溢出体質"から来る保護機能があるにはあるが、万が一に備えてね。
「スキルについてはどうにか"追撃"を残すことはできたそうなんやけど――威力が8割方だったのが1~2割になったそうや。あとちゃんと手甲で殴らなアカンて」
「オッケ。まぁおまけ程度に考えとくさ」
そもそも直接殴る戦い方はしないしね。それでもいざという時は隠し玉として不意をつくことはできるだろう。そんな場面が来るかどうかは不明なところではあるが。
そういえば、"追撃"のスキルを持ったレギオン・ハルニクスの手甲は柊が率いる"薫風"が最初に討伐した部位だったが、俺が討伐した"遠距離攻撃吸引"の胴部分と交換する流れとなったのだ。
俺、基本避ける戦法なのに吸引する装備を持っていちゃあねぇ……薫風はタンクのメンバーの鎧に胴部分を素材として利用するそうだ。
「んで、最後がこれやな」
アームレット、手甲と続きいよいよネイムル牧場ダンジョンの最後の報酬の番となった。その残されたアイテムは手甲同様に2つで1組となっているのだが――見た目が面白い。
なんせ、パッと見先っぽしか無いスリッパみたいだからだ。




