進捗いかがですか?
すっかり日が昇るのが早くなり夏を感じさせる気温になってきた今日このごろ。いや、昨今は春でも普通に暑いけども。ただ、俺には優秀なベルトがあるから基本的に暑さでダウンになることは無いんだよな。
さて、今現在俺は縁側でただひたすらにボーッとしていた。胡座をかき、その組んだ足の隙間にオーロラ on ロゼを乗せて玄米茶を啜っている。暑くなってきた頃に飲む熱い玄米茶は最高だぜぇ……
誰に弁解するわけでもないが、別に何もすることがなくこうしているわけではない。今こうしているのは以前俺と同じジュエルグリフォンを飼育している魔女の庵鬼林さんに教えてもらったロゼの成長のためだ。
普段生活する中でくっついているだけでも俺の"魔力溢出体質"を感じ取ることは出来るそうなのだが、多分何もしていない時が一番感じ取りやすいだろうということでね、1日に1回はこういうのんびりとした時間を取るようにしている。
「ピギー」
「お、どうした親分」
「ピ」
そんな感じでボーッとしているとマンドラゴラの親分が何やら話しかけてきた。正確に何を行っているかは理解できていないが……手に当たる部分で何かを指し示している。その先を見てみると……庭の一角に草が滅茶苦茶生い茂っていた。
「……あんなのあったか?いや、あれもしかしてこの前渡したじゃがいもか?」
「ピギ」
俺の言葉を肯定するように頷く親分。いや、確かにあの辺りで育ててもらっていたのは覚えているのだが、最後に意識してみた時はまだそんな葉の枚数も無かったはずだ。それがいつの間にやらあんな成長を……?うぅむ、状況からして考えられる要因としては……
「やはり親分、野菜を育てる天才だったのか」
「ピギー」
「ヨセヤイって言ってる」
ロゼの上でまったりとしていたオーロラが通訳をしてくれたが、まぁそう言ってるでしょうね。自慢げに手で生物的に見れば鼻があるであろう箇所をこすっている。子供が鼻の下を人差し指でゴシゴシする的なアレ。
ふーむ、しかし見れば見るほど立派に成長したなぁ。……もう食べること出来るのか?
「ピギピギ!」
「マダだめだってー」
「あ、そうなのね」
「ピギー」
「今日はカオアワセさせたかったんだって」
「……顔合わせ?」
どういうこと?俺達とじゃがいもとで顔合わせ?オーロラの翻訳に首を傾げ、再び育ったじゃがいもの方へ視線を向けると……葉っぱ全体がわさわさと動いた気がした。おかしいな、風なんて吹いていないはずなのにな?まぁ、そういうこともある……のか?
・
・
・
「ぴぁ?」
「ウワァッ」
「おいおい、大丈夫かオーロラ。んでどうしたロゼ」
じゃがいもとの顔合わせ?が終わった後またのんびりしていると足の隙間で丸まっていたロゼが不意に顔を上げた。急に体が傾いたことでロゼの上に乗っていたオーロラは飛ぶことすら出来ずコロコロと転がり落ちて、俺の太股に不時着した。とりあえず怪我はなさそう。
さてロゼだが胡座から抜け出すと、俺に向き合うように座った。俗に言う猫のエジプト座りというやつだな。えーっと……何?
「ぴぁ!」
「……オーロラ?」
「ナデテほしいんじゃない?」
「ほう?」
意を決しているようだが、すまねぇジュエルグリフォン語はさっぱりなんだということでオーロラに確認を取ってみたらそういうことらしい。撫でてほしいのか?でもさっきも撫でていたと思うんだが……と思いつつも減るもんじゃないので撫でます。
うん、相も変わらずいい撫で心地だ。ふわりと柔らかな感触にじんわりとした体温の温もりが手のひらに伝わる。よーしよしよしよし、撫でたろ撫でたろ。しかしどうしていきなり体勢変えて撫でを要求したんだろうか。そういう気分とか?グリフォンの獅子要素ここで出てきたか?で、これで満足かー?
「……ぴぁー?」
「なんで撫でを要求してそんな声……お、おぉ?」
俺の手のひらの下でなんだか不思議そうな声を上げているロゼにツッコんでいると、手に違和感が襲う。と言っても痛みがあるわけではなく……手のひらには先程まで感じていたふわふわな感触はなく、見えない壁で押し返されているような感覚がある。これはまさか……
「発動できたのか!?」
「ホントウ!?」
まさかの事態に俺もオーロラも声を上げる。正直、力を込めればあっさり突破できそうなほどのものだったが、間違いなく防御する力が発動した瞬間だった。おそらくロゼの反応からして俺の手のひらが頭に届く前に発動させるつもりだったのが発動しなくて困惑していたのだろう。
鬼林さんと出会ってから1か月も経過しないうちにここまで漕ぎ着けるとは……ロゼもまた天才じゃったか。そんな天才のロゼはと言うと――ヘソ天して目を回していた。
「ぴぁー……」
「ダウンしてんな……」
「ハジメテ使えたから疲れちゃったんじゃない?ホラ体のホウセキも」
「あらほんと」
オーロラの言う通り、見て見ればロゼの体に生えていた真紅の魔宝石のほとんどが色を失い、無色透明となっていた。流石に全部使い切ることは無かったようだが……そこのところは要改善だな。
とりあえずロゼはベッドにでも寝かしておいてやるか。んでお祝いに今日のご飯は好きなもの食わせてやるかね……おや?武道さんからメッセージだ。――お、ついに届いたか!




