表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君のものは僕のもの  作者: ユメオニ
13/23

その13

その時、突然家の電話が鳴った。両親は共働きで今日は2人とも仕事で、僕には兄弟もいないから、家の中には僕1人だけだった。昼間のこんな時間にかかってくる電話はセールスの電話であることが多く、普段は居留守を決め込むことが多いのだけど、この時は出てみようという気になった。

「……もしもし、もしかして、安城くん?」

受話器を取り名前を告げると、聞こえた声は葉月さんの声だった。電話線にのって響く彼女の声は、いつもの声より少しくぐもって聞こえた。

「うん、僕だけど……」

突然の彼女からの電話に、緊張してうまく言葉を発することができなかった。それまでこたつの中に入り浸りすぎて、喉が渇ききっていた。

「あの、突然、電話かけてごめんなさい」

「いや、別に、全然いいけど……」

「……変なこと聞いていい?」

葉月さんが何を言おうとしているのか、聞かれる前から分かっていた。

「私の本、そっちに行っていない? 水色のブックカバーの本なんだけど」

どう答えようか迷ったが、結局は本当のことを答えるしかなかった。

「……うん、来てる。さっき気付いた」

そう言えばさっき机の上に見慣れない本があったけど、え、あれ君のなの、みたいな言葉が頭の中に浮かんだけど、実際に口から出たのはそんな短い言葉だけだった。僕は基本的に長い言葉を話すのが苦手だ。

沈黙が空いた。

「……まさかとは思ったけど、凄いね」

「……うん、凄い」

「あの本、ちょうど今読んでいた所で、ちょっと目を離したらなくなってて、もしかしてと思ったんだ。続きが気になるから、今から取りに行っていいかな?」

「家まで?」

「家じゃまずい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ