7-8 秘策
何と、ディック様が王国に攻め込んできた。いつかこういう日がくるかも、と思っていたことが当たってしまった。やっぱり女の勘は当たる。だけど何で今なの?子育てに忙しいのにまったく、あの馬鹿弟め!
でもずいぶんメラニア様とお会いしていない。夫のカンタからの話では神の元へは召されていないそうだけど、今はどこにいるのかしら?メラニア様の居場所をカンタに聞いたことはあるけどいつも「クリス様しかご存じない」という答えしか返ってこない。
クリス様と直接お会いしたことはないけどカンタの話を聞く限り、私とは相当に相性が悪い。だって目的のためなら手段を選ばないって、怖すぎよ。私にはカンタのような「怖いことは考えられるけど臆病だからできない」くらいの人がちょうどいいわ。
でもディック様も思い切ったことをするわね。いくらメラニア様の事が好きでもわざわざ大軍を連れて奪いに来る?まあ人の恋路を邪魔はしませんけど。でもそれを知っている人はいないのかしら。知っている人が王国軍にいればメラニア様をヘンタイ弟に渡して終わり、なのにね。
「あなた、ディック様を幼少のころより存じ上げております私に良い考えがありますわ」
「ほう、伺おう」
「メラニア様をディック様へお渡しすればいいんです」
「話がよくわからぬが」
「何でよ、簡単な話でしょ!」
「どうしてメラニア殿がでてくる?」
「これだから男って駄目ね」
「いや、話が分からないから」
「まあそうでしょうね。あなたはずっと私からの求婚がわからなかったお人ですもんね!」
「ん?何の話に?」
「もういいですわ!」
まったく、男は本当に鈍い。軍は私を総大将にすればいいのに!




