敏感と鈍感
すみちゃんと同時に席に着くと、白葉ちゃんが他の子との会話を切り上げて寄ってきた。
「おはよういぶっちゃん。もう平気?」
「うん、大丈夫。ありがとう白葉ちゃん。連絡事項とか色々。あと、アドバイスしてくれてありがとう」
「いいよいいよ。綺麗にまとめられたみたいで何より」
白葉ちゃんは小夏がまだ来ていない事を確認すると、少しおいでって手招きする。
トイレを過ぎ、音楽室に行く人しか来ない奥まった廊下までやって来た。
「どうしたの白葉ちゃん?」
「んー、ただ、これから色々悩みとか出てくると思うけど、あたしに少しくらいは相談していいよってこと。誰に話したりもしないし。まあ、力になれるかは分からないけど。すっちゃんと別れたんでしょ」
私は白葉ちゃんの隣に行き、白葉ちゃんと同じように窓辺に寄りかかって外を見る。
窓に薄く反射するお互いの顔を見ながら会話を続ける。
「いつから知ってたの?」
「二人が目腫らしてきた時あったでしょ。あそこで何らかの繋がりがあるのかなって。いぶっちゃん、幼馴染の事話してくれたじゃん。すっちゃんだったのかなってそこで思った感じ。そしたらなんかまあ、ボーリングの時のこととか思い出して。いぶっちゃん、グーしか出さないとか言ってたじゃん。本当はね、いぶっちゃんにパーを出してもらって、まあ、盛り上げ役達で動いて上手いこと瀬野とくっつける流れ作ろうって、いぶっちゃんとこなっちゃん以外で計画立ててたんだよ。こなっちゃんが出す手を縛るはずないし、そうなると、瀬野とくっつけるのが嫌で、かつ自分と同じグルに入れていぶっちゃんと遊びたい子がいるってなるじゃん。すっちゃんが幼馴染ならすっちゃんなのかなって。よくよく思い返してみると、すっちゃん割と、いぶっちゃんと距離取っているのに、周りに牽制したりしてたから。いぶっちゃんの事好きで、いぶっちゃんと付き合ってたの、すっちゃんかなって。まあ、そういうわけで昨日すっちゃんに聞いたら、教えてくれたってわけ」
白葉ちゃんはやっぱり鋭いなって思ってしまう。鋭いからこそ、白葉ちゃん自身の問題に決着がつかないのだろう。あっさりと許されて納得できるほど、自分の事を許せていないんだと思う。
「私とすみちゃんの関係知ってるの白葉ちゃんだけ?」
「そうだよ。まあ、日南あたりは違和感持ってそうだけどね。すっちゃん何も話さないから、尻尾掴めないんだろうけど。いやー改めて思うけど、いぶっちゃんといる時すっちゃんの事ちょっと怖かったの、あれ独占欲漏れ出して牽制してたって思うと笑っちゃうよね」
白葉ちゃんは肩を揺らして笑っている。
「私は全然気づかなかったよ。白葉ちゃんが人一倍敏感なのか、それとも私が鈍感なのか……」
「どっちもあるんじゃないかな。あたしはハブられてた時期あったから人一倍人の視線に敏感だし、いぶっちゃんはいぶっちゃんで、昔からの先入観があるから鈍感だったんだと思う」
「今はどれだけ先入観を振り払えるかってところだよね」
「そうだね。まあ、すっちゃんはすっちゃんなりになんかスッキリしたみたいだから、それなりにストレートにぶつけるんじゃないかな。すっちゃん結構小賢しいから、全然進展なかったら何かしらアクション起こしそうだし。ほんと、面倒な女の子に好かれちゃったね」
「そこまで面倒じゃ──」
「客観的に見たら十分面倒そうだよ。さて、そろそろ戻らないと。こなっちゃん泣かせちゃうよ」
白葉ちゃんは笑いながら私の肩を叩いて、さっさと歩いていってしまった。




