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訪問

 すみちゃんからの連絡はなかった。休みが明けてもすみちゃんは学校に来なかった。今日も来なかった。昨日も来なかった。一昨日も来なかった。

 誰の連絡にも既読すら付けず、返信もなかった。

 もちろん私は何も送っていない。だから、何もくるはずがない。


「どうしたんだろうね、純蓮」


 あゆちゃんが先生に聞きにいっても、体調不良としか返ってこなかった。

 すみちゃんの住所を知らないか、あゆちゃんは皆に聞き回っている。

 小夏も随分と心配していて、授業中もずっとすみちゃんのトーク画面を開いていた。

 すみちゃんにはよく勉強のことを聞いていたのか、小夏の分からないに対して、解き方の書かれたノートの画像が送られているのがたくさん見えた。


 別に小夏のことを嫌っているでもなく、裏でちゃんと交流を持っていたことが、小夏とすみちゃんのやり取りの量から伺えた。

 ならどうして、余計に私と小夏が仲良くしているのが気に食わないのか分からなくなる。


「いぶっちゃん」


 白葉ちゃんに呼ばれて大人しくついていく。

 今日は天気がいいから散歩ついでに外に出て歩きながら話す。


「すっちゃんしばらく来てないけど、何かあった?」

「しばらく距離置きたいって言ったから、それじゃないかな」

「そっか」


 白葉ちゃんはまるでその選択を取るのが分かっていたかのように、特に深追いする事なく流していく。


「すっちゃん、学校に来れそう?」

「どうだろう。多分私がどうこうしても意味ないと思うし。むしろ余計な刺激を与えるだけだし、それに私は今接触を控えているから。気にはなるけど、それで会いたいと思うほどあの決断は軽くない。白葉ちゃん会いにいってみる?」

「冗談。より悪化するだけだよ。そもそもあたし、まだすっちゃんとのわだかまり解消してないし。いぶっちゃんのその選択の事で、逆にあたしが責められるかもしれない。立ち上る火に突っ込むほどあたしは愚かじゃないよ」


 情緒不安定なすみちゃんならそうなってもおかしくはないと思うし、白葉ちゃんも言い返すからより一層悪化するだろう。

 かといってこのままにしたところですみちゃんが学校に来るとも思えない。来たとしてもずっと塞ぎ込んでいるだろうし。

 だから私は頼る事にした。


「大澤さん、今日部活ある?」

「あるよ」

「あ、そうなんだ」


 ならまた後日でもいいかなと、帰る為に鞄を肩に掛けると、その鞄を引っ張られる。


「何? どうしたの?」

「住所教えるからすみちゃんの様子を見に行ってほしいなって思ったの」

「藍川が行った方が喜ぶんじゃない?」

「私今すみちゃんと距離取ってて。だから直接会えないの」

「ふーん。いいよ、部活サボっても。どうせ今皆やる気ないし。先輩も引退したし」

「ほ、ほんと?」

「連絡も取れないしね」

「ありがとう大澤さん」


◇◆◇◆◇


 そういうわけで、藍川の案内で純蓮の家にまでやってきた。


「本当にありがとう大澤さん。じゃあ私はこれで」


 藍川は手を振りながら頭を下げる忙しい動きをしながら去っていく。


「さて」


 インターホンを押す。音は鳴るけど何の反応もない。

 もう一度押しても何の変化もない。とりあえず親はいないのは確定っぽくて少し安心。

 純蓮も出かけてる可能性あるけど、あの純蓮が一人でどっか行くとも思えないし、一部屋だけカーテン閉まってるのも怪し過ぎるから、とりあえずインターホンを連打する。

 それでも何の気配もないから、門を勝手に開けて入って、一芝居打つことにする。


「すーみれ〜! 藍川が持たせてくれたお菓子、全部食べるよ〜! 手作りだってー! 五ー四ー三ー二ー──」


 家の中からドタドタと音が響いているのを聞いて、そんなに藍川が好きなのかと思う。

寝巻きで髪ボサボサの純蓮が顔を出したので、開いたドアにすかさず足を入れて、無理矢理中に入る。


「はーい、久しぶり〜。死んでなくてなにより」

「何しにきたの」


 カッスカスの声で、不機嫌に睨むように見てくる。これの相手するのすごく面倒そうだなってすぐに分かって、部活行ってれば良かったと後悔した。それかもう一人くらい欲しかった。


「いくら連絡しても反応ないから様子見にきてあげたんだよ。ほら、藍川がくれたお見舞い品。残念ながら手作りじゃないよ」


 道中薬局に寄って、藍川が買ったものを渡す。


「そ。ありがと。じゃあもう帰っていいよ」

「うち今日わざわざ部活休んできたんだけど。しばらくはいさせてもらうよ。どうやら病気ではないらしいし」

「迷惑なんだけど」

「返信しなかった純蓮が悪い」


 後をついてくる純蓮に文句を言われながらも、手洗いうがいを済ませて、カーテンが閉まっていた部屋目指して二階に上がる。


「まじで帰らないつもり?」

「そうだよ」


 純蓮の部屋に入って、適当にリュック下ろして、クッション取り出して座る。

 純蓮のベッドには大量にぬいぐるみが置かれているのに、この前藍川が純蓮に買ったぬいぐるみがどこにも置かれていないから、渡さなかった──渡せなかったんだろうなって事が分かる。

 まじで何が起こっているのやら。面倒なことに巻き込まれてる気がしてならない。

カクヨムの方が進んでいるので、そちらで先を読むのもアリです。

なろうはさらに修正して投稿することにしたので、進み遅くなってます。

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