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エイムの魔法植物学  作者: izumo_3D
ー封鎖された町編ー
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グラビティ・フォール

シラセは落下していく最中、霞む視界の中でぼんやりと思った。

――このまま地面に叩きつけられて、俺は死ぬ。

もう体は、まともには動かない。


バジリスクの体に突き刺さっている大剣が、ちらちらと粒子となって崩れはじめていた。シラセからのマナの供給が途絶えかけているせいだ。


――もう、駄目だ。

諦めかけたその瞬間だった。


「まだだよ!!」


耳を裂くように、エイムの叫び声が響く。

次の瞬間、落下するシラセの体は、空高く跳躍したエイムに抱きとめられていた。


「エ…エイム…!」

呻くように名を呼ぶシラセ。


二人はそのまま地面に着地した。

砂煙の中、エイムは強い眼差しでシラセに問いかける。


「シラセ、頑張ってくれて本当にありがとう! もう少しだけでいい、魔法を維持できる!?」


「…でも、俺は、あいつを倒せなかった……」


かすれた声で答えるシラセ。

だがエイムは迷いなく言葉を返す。


「確かに、まだバジリスクは倒せてない! でも!!

私たちには相棒がいる。あの子と力を合わせれば、まだ戦える!」


「相棒…?」


「忘れたの!? ピーちゃんっていう、とっても頼りになる相棒がいるでしょ!

だから、もう一度だけ――力を貸して!」


「ピー助……わかった。あいつに…託す……!」


シラセが踏ん張った瞬間、崩れかけていた大剣の粒子化が止まる。

その光景を確認すると、エイムは声を張り上げた。


「ピーちゃん! 最後の大仕事だよ! 大剣の真上へ飛んで!」


「ピィィィィ!!」


ピーちゃんは全力で舞い上がり、大剣の真上へと急上昇する。

地上ではバジリスクが巨体をのたうち回し、大地を揺るがしながら暴れ狂っていた。大剣が抜け落ちるのも、もはや時間の問題だった。


「いくよ、ピーちゃん!!

今までため込んだ――『重力』を、全解放!!!!」


「ピィィィィィィ!!!!!」


ピーちゃんはエネルギーを蓄えることができる。風、陽光、そして常に体にかかり続けていた「重力」すら、その例外ではない。

生まれてから数年。積み重ねてきた膨大な力の結晶を、この一瞬にすべて解き放つ。


周囲の景色が、あまりの重力にぐにゃりと歪む。

黒に近い紫の光がピーちゃんの体を包み込み――


そして目で追えぬ速度で、急降下した。


その機械仕掛けの体が、大剣の柄頭に激突する。


ガァァアアアアン!!!!


凄絶な衝撃音。爆風が広がり、周囲の岩が砕け散って無数の弾丸のように飛び交う。

恐るべき重力の奔流に押し込まれ、大剣はさらに深く、バジリスクの体を貫いた。


ズドォッ!!


ついにその鋼鉄の骨が断ち切られる。

大剣はバジリスクの頭部と胴を完全に切り離し、刀身は地面へと深々と突き刺さっていた。


「ギィィヤァァァァァァァァァァ!!!!」


地面を転がった怪物の頭は、断末魔を響かせる。

だが次第に、魔眼の魔法陣は消え失せ、その目から光が失われていった。

そしてその巨体は小蛇もろとも、ガルムの時と同じように無数の塵となり、大気に溶けて消えていった――。


あたりにはただ、静寂だけが、広がっていた。

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