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エイムの魔法植物学  作者: izumo_3D
ー亡霊の家編ー
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35/67

次なる戦いへ

数日後。

エイムとシラセは休息ののち、旅の準備を整えて、いよいよ旅立ちの時を迎えていた。


「二人とも、元気でね! 体に気をつけて!」


「ありがとう、エリシアもね!」


村の小道に立ち、エイムとシラセは笑顔で手を振るエリシアと、見送りに集まった村人たちに別れを告げた。

春風が草の香りを運び、旅立ちにはふさわしい快晴の日だった。


亡霊の家での出来事、そしてエリシアから語られた“魔法をもたらした存在”の話。

それらが心に余韻を残す中、二人と一匹は再び旅路に身を投じていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なあ、エイム。次に立ち寄る場所はもう決めてあるのか?」


歩きながら、シラセが空を仰ぎつつ問いかける。


「うーん、特には……今のところ、最終目的地は“魔法都市フィオルナ”だから、最短ルートを辿っていくつもりだよ」


「そうか、了解。途中に村があったら、また様子を見てみる感じだな」


「うん」


しばしの沈黙。吹き抜ける風が草原を波立たせる中、シラセが少し声を落として言った。


「……ところでさ、エリシアの話……どう思った?」


「……うん」


エイムは足を止めずに、空を見つめた。


「私は……魔法をもたらした存在がいたとしても、不思議じゃないと思ってる。

そもそも魔法って、何なのか全然わかってないしね」


「たしかにな。魔法植物が人間から魔力を吸い取ってるって説も……何か関係があるんじゃないかな…」


「うん。きっと、無関係じゃないよ。

この世界そのものが、ずっと前から大きな“うねり”の中にある……そんな感じがするの」


エイムの言葉に、シラセは黙ってうなずいた。


――得体の知れない“何か”が、この世界のどこかで脈打っている。

二人には、不気味な緊張感が這い上がってくるようだった。


「エイム、あのさ……」


急に、シラセが低くつぶやいた。


「ん?」


「……いや、何でもない…」


「…?…うん…」


エイムは不思議そうに首をかしげたが、それ以上は問いたださなかった。

シラセは何かを口にしかけて、やがて黙り込んだまま、俯いて歩を進めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから数日間、二人は野営を繰り返しながらフィオルナへと続く道を進んでいた。


やがて、地平線の向こうに小さな町が見えてきた。


「お、町があるぞエイム! やっと休めそうだな!」


「ほんとだ……! あそこなら、ひとまず安心して眠れそう!おいしいもの食べたいし!」


「ったくエイムはそればっかりだな!」


心なしか、二人の足取りにも軽さが戻る。


しかし――近づくにつれ、その町の異様さに気づくのは時間の問題だった。


町の外周には、粗雑だが頑丈そうな木製の塀が築かれ、出入り口は閉ざされていた。周囲を警戒するかのように、数名の兵士たちが巡回している。


「……様子がおかしいな」


「封鎖されてる? 何か、あったのかな……」


休息の期待が、わずかに緊張へと変わる。


彼らはまだ知らなかった。

この町で待ち受ける“新たなる戦い”が、大きな喪失をもたらすことを。


― 亡霊の家編、完 ―

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