次なる戦いへ
数日後。
エイムとシラセは休息ののち、旅の準備を整えて、いよいよ旅立ちの時を迎えていた。
「二人とも、元気でね! 体に気をつけて!」
「ありがとう、エリシアもね!」
村の小道に立ち、エイムとシラセは笑顔で手を振るエリシアと、見送りに集まった村人たちに別れを告げた。
春風が草の香りを運び、旅立ちにはふさわしい快晴の日だった。
亡霊の家での出来事、そしてエリシアから語られた“魔法をもたらした存在”の話。
それらが心に余韻を残す中、二人と一匹は再び旅路に身を投じていた。
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「なあ、エイム。次に立ち寄る場所はもう決めてあるのか?」
歩きながら、シラセが空を仰ぎつつ問いかける。
「うーん、特には……今のところ、最終目的地は“魔法都市フィオルナ”だから、最短ルートを辿っていくつもりだよ」
「そうか、了解。途中に村があったら、また様子を見てみる感じだな」
「うん」
しばしの沈黙。吹き抜ける風が草原を波立たせる中、シラセが少し声を落として言った。
「……ところでさ、エリシアの話……どう思った?」
「……うん」
エイムは足を止めずに、空を見つめた。
「私は……魔法をもたらした存在がいたとしても、不思議じゃないと思ってる。
そもそも魔法って、何なのか全然わかってないしね」
「たしかにな。魔法植物が人間から魔力を吸い取ってるって説も……何か関係があるんじゃないかな…」
「うん。きっと、無関係じゃないよ。
この世界そのものが、ずっと前から大きな“うねり”の中にある……そんな感じがするの」
エイムの言葉に、シラセは黙ってうなずいた。
――得体の知れない“何か”が、この世界のどこかで脈打っている。
二人には、不気味な緊張感が這い上がってくるようだった。
「エイム、あのさ……」
急に、シラセが低くつぶやいた。
「ん?」
「……いや、何でもない…」
「…?…うん…」
エイムは不思議そうに首をかしげたが、それ以上は問いたださなかった。
シラセは何かを口にしかけて、やがて黙り込んだまま、俯いて歩を進めた。
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それから数日間、二人は野営を繰り返しながらフィオルナへと続く道を進んでいた。
やがて、地平線の向こうに小さな町が見えてきた。
「お、町があるぞエイム! やっと休めそうだな!」
「ほんとだ……! あそこなら、ひとまず安心して眠れそう!おいしいもの食べたいし!」
「ったくエイムはそればっかりだな!」
心なしか、二人の足取りにも軽さが戻る。
しかし――近づくにつれ、その町の異様さに気づくのは時間の問題だった。
町の外周には、粗雑だが頑丈そうな木製の塀が築かれ、出入り口は閉ざされていた。周囲を警戒するかのように、数名の兵士たちが巡回している。
「……様子がおかしいな」
「封鎖されてる? 何か、あったのかな……」
休息の期待が、わずかに緊張へと変わる。
彼らはまだ知らなかった。
この町で待ち受ける“新たなる戦い”が、大きな喪失をもたらすことを。
― 亡霊の家編、完 ―
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