歩き出す、再び光の中へ。
「…ん…まぶしい…」
まぶた越しに差し込む朝日に、エイムはゆっくりと目を覚ました。
温もりの残る床の感触。
視線を横に向けると、そこにはエリシアが眠っていた。
彼女もまた、エイムの声に反応して目をこすりながら、静かに身を起こす。
どうやら二人は昨夜、そのまま泣き疲れて床で眠ってしまったようだった。
いつの間にか、体には毛布が掛けられている。
「…ふぁ~…お、やっと起きたか」
壁に背を預け、片膝を立てて座っていたシラセが、疲れた顔で声をかけてくる。
「シラセ…もしかして、ずっと見ててくれたの?」
「ま、まあな。二人ともぐっすりだったし、まだ安心できる状況でもなかったからな。
それに、俺…今回、何もできなかったし…」
シラセは苦笑混じりに言いながら、目を伏せた。
「ありがとう、シラセ!」
エイムの真っ直ぐな言葉に、彼は照れくさそうに頬を赤らめる。
「…べ、別に大したことじゃねぇよ…」
「ピー!」
その時、シラセの肩に乗っていたピーちゃんが、ひょいとエイムの肩に飛び移り、誇らしげに胸を張って鳴いた。
「ああ、そうだ。ピー助も一緒に見張ってくれてたんだ。
というか、俺も少しウトウトしちまってたしな。感謝するなら、ピー助にな」
「うふふ、ピーちゃんも、いつもありがとう!」
「ピッ!」
その時だった。
「…エイムに…シラセ…それに、ピーちゃん…」
かすれた声が、静かに部屋に響く。
振り返ると、エリシアが弱々しくも微笑みながら、こちらを見つめていた。
「エリシア! 大丈夫? 気分はどう?」
エイムは心配そうに彼女へと駆け寄り、顔を覗き込む。
「みんな、ありがとう…おかげで……私が誰なのか、どんな状況だったのか……全部、思い出せたの」
顔色はまだ優れず、頬もこけていたが、必死に笑顔を作っているのが分かった。
「エリシア。もう一人じゃないよ。私たちがいる。
きっと村の人たちも助けてくれるはず。だから……これからは、前を向いて生きていこう」
エイムの言葉に、エリシアは涙をにじませながら、ゆっくりとうなずいた。
「……うん」
その場に、柔らかな空気が満ちていく。安心と、希望と、確かな絆。
だが、次の瞬間。
「グゥゥウウウ!」「グゥゥウウ…」
沈黙を破ったのは、二人のお腹の音だった。エイムのは特大で、エリシアのは少し控えめ。
二人は顔を見合わせ、思わず吹き出す。
「…あはは……どんな時でも、お腹って空くんだね…」
恥ずかしそうに目を伏せながら、けれどどこか嬉しそうに、エリシアはつぶやいた。
「うん! それが、生きてるってこと!
それじゃあさ…」
エイムは勢いよく立ち上がると、エリシアの手をそっと取って引き上げた。
「みんなで、お腹いっぱい朝ご飯を食べよう!」
「ったく、エイムはほんと食い意地張ってんな。……まあ、俺も腹減ったけどよ」
「…うん」
笑い合いながら、三人はゆっくりと立ち上がった。
家の扉を開けると、そこには広がる青空と、すがすがしい朝の空気。
傷つき、泣き、眠った夜を越えて――今、また一歩、3人は前へと進み出すのだった。
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