新たなる夜明け
世界を震撼させた”憎悪の極点王”討伐から始まった超越者達による三つ巴の頂上決戦。
三人の強大すぎる力は、異なる世界を隔てていても余波で地球に大きな影響を及ぼす程であった。
モミ夜の”破壊”の力によって、この世界に数多の混乱と破滅を引き起こしてきた”永遠の王”に関わる”堕淫棲隷武”といった存在が地球上から跡形もなく消え去った。
世界各地に残された”憎悪の極点王”による甚大な被害は、アカテンの”創造”の力により、瞬く間に修復されていった。
”憎悪の極点王”勢力がこの世界からいなくなろうとも、人間同士の思惑として今回の混乱を機に他国への軍事行動を開始したり、”憎悪の極点王”のような存在を台頭させた日本の責任を追及する動きも出始めていたが、それらは啓泉の”平定”する力によって、収まりを見せつつあった。
三者三様の余波が世界に色濃く反映されるものの、結局三つ巴の最終決戦の果てに誰が勝者か分からないまま--三年の月日が流れた。
~~人情商店街~~
”憎悪の極点王”に対抗するために集った有志連合。
その中心的存在となった人情商店街の面々は、三年前の戦いなどどこ吹く風で今日もそれぞれの商いに勤しんでいた。
「……しっかし、あの”憎悪の極点王”を退治したのは良いかもしれないけどよ。まさか、その後すぐに頂上決戦をおっぱじめるとは、強いヤツってのはやる事が違うな!!」
「その影響で復興が進んでいるってのは良い事かもしれないけど……やっぱり、何もかも元通りとはいかんわねぇ~……」
老婆がため息交じりに、そう呟く。
この三年の間に、世界規模で復興が進んでいた。
当然日本もその恩恵にあやかっていたのだが、超越者三名の影響が色濃く反映されたのか、彼らの膨大すぎる力の断片が日本に根付いた結果、現在この国には”神獣”と呼ばれる超常的な存在が闊歩するようになった。
彼らは既存の物理法則を塗り替え、自身の眷族を生み出しながら、自身を信仰する人間達をそれぞれの形で傘下に収め、互いに”生存競争”ともいえる日本列島全てを巻き込んだ大規模な縄張り争いに日夜明け暮れている。
そのような環境の変化だけでなく、”憎悪の極点王”という全世界に深刻な被害を与えるほどの脅威的存在と、それすら倒すほどの力を保持する超越者を三名も輩出した、という看過できない事実もあり、日本は近隣諸国から危険視されるようになり、現在国際社会から半ば孤立した状態になっていた。
現在、外交だけでなく内政に関しても深刻な問題を抱えており、これまで啓泉のような天上貴族達の警護などが主要な任務であり表に出る事がなかった検非違使達が『神獣達の強い影響下に置かれた現状を打開する』という名目のもと、”神狩り”を称して勢力を急激に伸ばし始めていた。
一定の戦果は出ているらしいが、政治・経済・軍事を自分達の支配下に置く強引な手法には異論も出ており、この先彼らの台頭がどのような結果を生み出すのか、予断を許さない状況となっている。
閑話休題。
老婆が再び、大きなため息をつく。
「外人さんの観光客もめっきり減ったし……この先、一体どうなっちゃうのかねぇ~……」
「まぁ、大人である俺達がこんな事言うのも何だが、この先そんなに明るくないかもな~……でも、まだこの国を見捨てない外人だっていてくれるわけだろ?……やり方はともかく、アイツらみたいにな」
中年の男性が苦笑を浮かべながら、目線を前に映す。
その先には、複数の検非違使達から逃げ回る中東風の二人組の青年の姿があった。
「貴様らッ!!また、どさくさに紛れて建国などと称したテロ行為に及ぼうとは良い度胸だ!!今日こそ、我等の力で誅戮してくれるわ!」
検非違使の怒声に対して、拳銃使いの青年も負けじと言い返す。
「うるせー!!何がク〇ニだ!国寄越せオラァッ!!」
「……誰もそんな事言ってないだろ。くだらない事言ってないでさっさと逃げるぞ、シャハル……!」
「へへっ、わ~かってんよ。嵐……そんじゃあ、アデュー♡ケビイシ諸君!」
「き、貴様等ー!!」
猛然と今まで以上の勢いで二人を追い立てる検非違使達。
その光景を見ながら、商店街の面々や常連客からは「今日も懲りずにやってるよ、あの二人」とか「頑張りなよ~!シャハルちゃん、嵐ちゃん!」といった陽気な掛け声が二人へと向けられる。
それを見ながら、先程まで沈んだ表情をしていた老婆も朗らかに笑った。
「そうだね。外人さんのあの二人だってあんだけ頑張ってんだ。世の中がどうなったとしても、この場所で七十年間生まれ育ったアタシも負けてらんないよ!」
「カカッ!その意気だな、ヨネ婆さん!!……そんじゃ、俺もとっとと仕事に戻るとしますかね!」
憎悪による終末は回避したモノの、いまだに混沌の様相を呈する時代。
だが市井では、そのような逆境の数々にめげることなく、緩やかな日々が過ぎていく--。
~~ほのぼの公園~~
かつて、落伍者の拭き溜まりである”ギルティ公園”として有名だったこの場所は、今では市民の憩いの地として開放されていた。
今も一人の活発そうな印象の少女が、後ろを歩く少年に楽し気に話しかける。
「ほら、タケル!早く来ないと置いてっちゃうよ!!」
「そう急かすなよ、アキ。……ったく、昔から中身だけは変わってないくせに……!」
そうぶっきらぼうに言いながらも、チラリとタケルという少年はアキと呼んだ少女を見やる。
三年前にこの公園で幻想的ともいえる灯を見ていたときは、まさに自分達は子供だった。
しかし、そのときに灯に見とれるアキの横顔にドキリ、としてから変に彼女を意識するようになっていたのだ。
かつては男友達のように接していたのに、今ではどことなくぎこちない。
なのに、前を行く幼馴染はそんな自分の葛藤など露知らず能天気に絡んでくる事が、最近のタケルの悩みだった。
(アキの奴、無邪気なくせに色々女っぽくなってきてるし……クソッ、コイツは俺の事をどう思ってんだよ!)
そんな事を考えていた―――そのときだった。
「ちょっとタケル!私に見とれていても良いけど、モタモタしすぎていると本当に置いてっちゃうぞ♡」
「~~~ッ!!う、うっせ~!!自意識過剰だぞ、このブス!俺は幼馴染だからお前に付き合ってやってるだけだっての!」
「なにを~~~!!」
そんなやり取りをする二人の少年少女。
その光景を眺めながら、一人の青年--前田 アキラは感慨深げにうんうん、と頷いていた。
「あの男の子も順調に尻に敷かれそうだな~。……昔の俺とツカサを見ているようだな」
その発言を聞いて、横にいる少女--弥勒寺 ツカサがアキラの頭をコツン、と小突く。
「何言ってんだか!昔のボ……私はあそこまでやんちゃじゃありません!……まったく、つまらない事言っていると、次の仕事に遅れちゃうよ?」
ツカサがふくれながら、そのようにアキラに促す。
現在アキラとツカサは、”神獣”の眷族が引き起こした事件を解決するために『あやかしマイスター』として依頼された場所へと向かっていた。
三年前のあの日。
”憎悪の極点王”を討伐するための仲間になろうとしたモノの、アカテンに断られたアキラはしばらく無力感に囚われる日々を過ごしていた。
だが、そんなどうしようもなかった頃の自分を支えてくれたツカサの献身によって、アキラは厳しい修行の末に彼女の家系である『あやかしマイスター』という退魔の力の目覚める事が出来た。
それ以来、彼女と共にアキラは名うての『あやかしマイスター』のコンビとして、凶悪な魔物達に苦しめられている人々を救うようになり、この時代においては突如現れた超常の存在--”神獣”の眷族と渡り歩けるほどの実力者となっていた。
(そうだ。今の俺には、共に人生を歩いていけるツカサがいるんだ--!!)
そんな気持ちを胸の奥で噛みしめながら、アキラが左手をツカサへと差し出す。
「分かってるよ、ツカサ。……そんじゃ、依頼人を待たせないためにも、なるべく急いで向かうとしようぜ?」
「……うんっ!!」
そう嬉しそうに答えながら、彼女も横にいる大切な人の手を握り返す--。
「クククッ、どこもかしこも甘ったるい空気を撒き散らしているが……流石に横にいるお前ほど、直接的な臭いはばら撒いてないようだなぁ?」
公園のベンチに腰かけているのは、一組の男女だった。
声の主はこんなのどかな公園にいるのが、場違いに思える柄の悪そうな青年。
鍛えているのか引き締まった身体つきをしているのもあり、獰猛な肉食獣を想起させるような印象の持ち主だった。
そんな彼を見た子供達が泣き出すような場面があったのだが、この青年は何のおくびにも出さない。
彼の隣に座っている女性は、パンパンに張りつめたかのように膨らんだ自身の腹部を慈しむように撫でていた手つきをやめ、母性に満ちた表情から一転、青年を軽く睨みつける。
「……私が水泳部を卒業するまで我慢出来た事は認めるし、身重の私を気遣って公園にまで付き合ってくれたことに対しても……まぁ、感謝しないでもないけど……」
そう独りごちながらも、コホン、と一息ついて再び青年に向き合う。
「と、とにかく!アンタがどれだけねだろうと、最初に出てくる栄養満点の母乳は生まれてくるこの子のモノよ……!!」
「クククッ、威勢の良さは腹が膨らんでも相変わらずだな……!!だが、それを決めるのはお前じゃない。主人であるこの俺だ!!」
その気迫を前に、母となる女性はゴクリ、と息をのみながら自身の内側に宿った新しい生命を守るように両手で腹部を抱えるように包む。
「卑劣な……!!アンタには、父親になる者としての自覚がないの!?」
「クククッ。父親になるからこそ、今まで以上に稼ぐために英気を養う必要があると思うがな?」
「ッ!?……クッ!」
自身の理論に対する一部の隙もない完全な答えを前に絶句する元・水泳部の女キャプテン。
だが、このままこの男の要望を許してしまえば、生まれてきたこの子に与えるべきだった貴重な栄養源が奪われることになる……。
(でも、母乳って成人男性にとってあまり身体に良いモノじゃないらしいから、いざ飲まれることになったとしたら、それで腹でもくだせば良いのに……)と彼女が考えていた--そのときである!!
「だが、俺も鬼ではない。生まれてくる我が子を慈しまない親などいないからな。……お前が以前に購入したあの下着を着けるのならば、出産して初めてのミルクは腹の中のガキにくれてやるとしよう……!!」
「ッ!?う、うやむやにして何だかんだつけなかったあの下着を私が?……へ、変態!やっぱりアンタは鬼よ!!」
そんな二人や、公園にいる人達を温かい木漏れ日が照らしていく--。
~~ショッピングモール『TANUKI』・2階男子トイレ~~
20代半ばだろうか。
現在ここでは冴えない風貌の青年が、黙々とモップで床を磨いていた。
彼の名前は、逆浦見 狂介。
三年前、一人でみんなに呼びかけていた裕也をいち早く鼓舞した人間であり--かつて、人情商店街で通り魔行為を引き起こしそうになっていた人物その人だった。
かつて狂介は、自身の人生が上手く行かないのを社会のせいにし、身に着けた特異な能力を持って気に入らないと見做した通行人を刃物で斬りつける凶行に及ぼうとしていた。
だが、そこを嵐とシャハルという中東風の戦士を始めとする人情商店街の者達に食い止められた事によって、誰かの命を奪う事をせずにすんだ。
人から見れば”正常なレール”からは外れた生き方になってしまったかもしれないが……それでも、今の彼の心境は明るい。
(遠い存在だと思っていたあのユウヤだって、最初は何もないところから始まっていたんだ……僕も彼やあのときの中東の二人組みたいに、いつか自分の夢の形を掴み取ってみせる--!!)
そんな事を考えながら、当時の事を思い出す。
それまでの狂介はかつての自分の所業を反省し、今の自分が正真正銘の底辺に落ちぶれたのは自業自得である、と考えようとしていた。
だが、自分と同じような他者を傷つける言動をしておきながら、この国の頂点へ昇りつめた”憎悪の極点王”の台頭を目の当たりにしているうちに、『何であんな奴が許されて、自分だけが裁かれなければならないのか……』という意識が芽生え、そんな事を考える自分自身に激しい自己嫌悪を抱く日々を繰り返していた。
『や、やっちまえ、"HEAPS"!この時代を……駆け抜けろ!!』
だから、”憎悪の極点王”の支配に抗い続けてきたという”HEAPS”の裕也に対して、咄嗟にあの言葉を叫ぼうと思ったきっかけも、王に対するやっかみともいえるような不純な感情なのかもしれない。
けれど、それを皮切りに狂介はこれまで誰にも言えなかった感情を曝け出し、再び自身の人生に向き合う道を選べるようになったのだ。
今は例えどれほど世の中が暗く、自身の境遇が大変だろうとも--狂介の表情は明るい。
「見ていてくれよ、ユウヤとそれに中東の戦士達。……どれだけ時間がかかっても、僕は必ず!君達の背中に追いついてみせる--!!」
そんな熱い決意を胸に宿しながら、狂介はモップを手に猛然と便所を掃除し続ける--!!
~~廃墟『メゾン・ド・珍太』~~
”HEAPS”結成の地として利用したこの場所は、現在誰も使用する者のいない廃墟となっていた。(名前がアレすぎるから仕方がないのかもしれないが)
一抹の寂寥感を漂わせながら、サングラスと帽子で変装した一人の青年--田中 裕也はかつての過去に想いを馳せる。
「ここから、全てが始まったんだな~……今となっては、我ながら無茶な事をしようと思ったもんだぜ……!!」
「本当にそうだよね。……でも、あのとき踏み出す事が出来たから、今のボク達がいるんだ」
物思いにふけっていた裕也に、突如背後から言葉が投げかけられる。
だが、裕也はそれが誰なのか分かっているのか、動じることないまま相手の方へと振り返る。
「よう、本当に久しぶりだな……赤蜂!!」
「久しぶり、裕也君。……いかし、本当に色々変わるモノだね~。裕也君がここまで成功するなんて、ビックリだよ!」
裕也の後に姿を現したのは、同じ”HEAPS”のメンバーである妖怪:赤蜂だった。
久しぶりの仲間に再会できた喜びを前面に押し出した笑顔を見せながら、裕也が赤蜂に応じる。
「いやいや!赤蜂だって正体は言えないかもしれないけど、『遭遇出来ると、絶対に幸せになれる幸運の燈火♡』的な存在として全国レベルで大人気じゃねぇか!!……マイナー妖怪のはずなのに、一丁前に謙遜なんてしてんじゃねーよ、コノヤロー!!」
あれから、三年。
”憎悪の極点王”がいなくなった後の世界でも、裕也と赤蜂は自分達なりのやり方で社会を良くしていけるように活動していた。
その結果、裕也は得意な音楽活動で不動の地位を築き上げ、赤蜂は相変わらず正体を隠しながら全国を回り続け、混迷した時代に生きる人々を照らして希望を与える存在にまでなっていた。
「裕也君って、結構全国ツアーとかしてるでしょ?実は、裕也君が名古屋ライブしたときに、たまたまボクも名古屋にいたから、ちょっと顔出してみたんだよね」
「マジかよ!!言ってくれや!全然、気づかんかったわ~……てゆうか、正体ばれちゃいけない立場のはずなのに、大胆すぎだろ!ちなみにどこらへんの席?」
「あぁ、それなら結局チケットもなくてドームの中に入れなかったから、”音漏れ勢”として参加したからへーき、へーき!」
「顔出し出来てねぇじゃねぇか!?」
そんなやり取りをしながら、裕也と赤蜂はこの三年間で互いにあった色々な出来事を楽し気に語りあう。
そうこうしているうちに、語る事もなくなってくると自然に話題はアカテン達の話になっていた。
「……”憎悪の極点王”を倒した後に、速攻アカテン君達がおっぱじめやがった頂上決戦。……結局、アレってどうなったんだろうな……」
三名の超越者による世界の命運を賭けた三つ巴の闘争。
勝者が誰なのか、決着はどうなったのか、分からぬままに三年の月日だけが流れてしまった。
「まったく、『討伐した暁には藤原からたんまり報酬がもらえる~!!』とかはしゃいでいたくせに、自分達が真っ先に行方くらませるとか……本当に、最後までいい加減な奴らだよ。モミ夜も、アカテン君も」
「ハハッ、確かに結構いい加減かもね~!!……でも、きっとこれは最後なんかじゃないよ、裕也君」
そう言いながら、赤蜂は遠い空を見上げる。
つられたかのように、裕也も上を仰ぎ見ていた。
「どれだけ、遠くに離れていたとしても、やり方が違ったとしても……ボク達は”HEAPS”という絆で繋がっているんだ!!……だから今は会えなくても、きっとアカテンさん達もみんなどこかで元気にやっているに決まっているさ!」
そんな赤蜂の言葉を受けて、裕也も「あぁ、そうだな……!!」と呟く。
「へっ、帰ってきたらアイツら今の俺達を見て絶対腰抜かすぜ!」
「それもあるかもね~。神様みたいな力を得たとはいえ、アカテンさん達って小市民的な部分結構あるもんね!」
「そういうこった!つーわけで、アイツらが今どんな遠いところにいるのか知らねぇけど、こっちに帰ってこれるように、この世界にドデカイ風穴をブチ開けるような強烈なムーブメントを巻き起こしてやろうぜ!!」
「え?……あぁ、う~ん?」
理論の飛躍に若干ついていけていない赤蜂。
だが、裕也はそれに構うことなく言葉を続ける。
「よ~し、そうとなれば明日からの英気を養うために、今日はパ~ッ!!と派手にやるぞ、赤蜂!!」
「えぇっ!?あれから三年は経過してるし、業界のトップとしての貫禄も出てきたけど、裕也君って確かまだ……」
「安心しろ、赤蜂!!本物の酒は無理だけど、俺達には”カクテルパーティー現象”がある!これで、とてつもない”BE-POP”な夜を過ごそうぜ!!」
”カクテルパーティー現象”。
それは、どれだけ騒がしい大勢の中にいても、自分の名前や話題は聞き取る事が出来る、という現象の事である--!!
酔っぱらえる要素も、派手にはしゃげる要素も、微塵もない。
皆無に等しい。
赤蜂は裕也が口にする”BE-POP”の定義が分からなくなり、仕事が忙しすぎて心身ともに限界が来たのかと心配になっていた。
「変なクスリとかやってないか、凄く心配……」
「オイ、何とんでもない事口走ってんだ、このキラービー!!”爆ドラ”に正体晒すぞ!?」
「それは勘弁……でも、もしもそういう事したら、匿名で最寄りの検非違使に裕也君のことを通報しちゃうね……」
「何でだよ!?あっ、むしろ自然な流れか!!」
昔を思い起こさせるような馬鹿なやり取りをする裕也と赤蜂。
本来なら、この場で同じように馬鹿をする仲間達がいた事に、寂しさを感じたりもする。
だが、嘆くことはない。
何故なら、自分達は憎悪で絆を断ち切るのではなく、賑やかな旋律で繋がりあう事を選んだ”HEAPS”という存在なのだから--。
憎悪の連鎖に終わりを告げようとも、人の歴史は形を変えて闘争を繰り返していく。
だが、それでも未来への燈火が消えることはない。
絶対的な権威が崩れ去り、圧倒的な強者が姿を消したとしても、人々が己自身の意思で歩むことを止めない限り--。
必ず、誰の心にも降誕の焔が灯るのだから--!!
~~fin~~




