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迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
イルブロンの街にて

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臨時メンバー加入 ④

オーディールダンジョンの四階から挑戦したいです。


夜になり、教会の講習から帰ってきた兄たちと、沢山買いこんだ荷物の整理でプチパニック状態のティトさんを前に、私は真剣な顔で提案した。


「四階って……危ないだろう?」


兄はチラリと、口いっぱいにピザを頬張っている姉と、目をグルグルと回して荷物の整理をしているティトさんへ視線を向けた。彼らは、いわゆる非戦闘員扱いなのだろう。……いや、そこにもう一人のかわいい妹も入れて。


「アオイ。ティトは魔物を倒すことができる。本人は中層階までなら行けるそうだ」


「えー……そうですか?」


兄と小次郎の疑いの眼が自分に向けられているとは思わないティトさんは、自分の亜空間スペースから発掘した謎の人形に首を傾げている。なんか……年季の入った人形で呪われそう。


「本当みたいよ、お兄ちゃん。あの人、ものすごく魔力が多くて、使える魔法の種類も多いんだって」


ちなみに、私とレオンさんは宿の庭でティトさんの魔法を見せてもらった。火と水だけでも殺傷能力が凄そうだが、氷の魔法はもっとヤバかった。いざとなったとき、興奮して周りが見えないブランと、怯えて対象を真っ直ぐに見ることができない凄腕魔法使い、どっちが自分の守りになるのか疑問は残るが、兄と小次郎以外の戦闘力であることは確か。


「うう~ん。でも、桜のレベルがなぁ」


「いやいや。ちまちまネズミを倒すより、強い魔物を倒したほうがレベルアップできるでしょ? 小次郎のレベルも上がるし」


自分のレベルアップもできると聞いた小次郎の瞳がキラキラと輝きだす。姉は自分が強い魔物が出没する厄介なところに連れて行かれるとわかり、口からピザが零れそう。


「そういえば、サクラは教会の講習を受けて何か変わったか?」


「へ? ……ああそういえば」


やだ、ちゃんと「治癒魔法」の確認をしてきてよ。いざとなったら「治せません」って……ああ、「治癒魔法」ができるティトさんがいるから、いいか。そんな私の薄情な気持ちが見透かされたのか、姉がジトーッとした眼で見てくる。


「……ティトさん!」


「うわっ! は……はい?」


荷物の整理に夢中になっていたティトさんは、突然の姉からの呼びかけにビクンと体を震わせた。そして、恐る恐るこちらを向く。


「あの、「治癒魔法」のレベル5で治せるのってどんな怪我ですか?」


「え? えっとぉ……」


ティトさんは姉の質問に答えるべくこんもりと山になっている自分の荷物を両手でかき分け、一冊の本を探しだした。


「これ……。教会の講習で……もらいませんでした?」


オドオドとティトさんが差し出した本を見て、小次郎が「あっ!」と声を上げる。


「桜さん。これ、これです。神官さんがよく勉強するようにって」


なぜか小次郎の鞄から出てきた緑色の表紙の本。はは~ん、さては勉強用の本だからって小次郎に押し付けたわね?


「お姉ちゃん! これ、ちゃんと読んで。今すぐ読んで!」


「ええーっ。うぇ~ん」


私がグイグイと本を押し付けると、姉は嘘泣きしながらページを開く。まったくもう! さて、私たちはティトさんから教えてもらおう。


「では、ティトさん。お願いします」


「え? ええ?」


はいはい、いいから、いいから。「治癒魔法」のレベル別解説、よろしくお願いしま~す。


















翌朝。


宿の朝食を食べ準備を整えた私たちはオーディールダンジョンに来ていた。正直、初心者や低ランク冒険者でも入れるダンジョンなど、Aランク冒険者パーティーのメンバーであるレオンさんにとっては児戯に等しく緊張感はゼロ。今までは姉のレベル上げの付き添いだった小次郎も、四階からのチャレンジの今日は気合が入っているし、兄も余裕で倒せる魔物ではない階層に表情が厳しい。私もシリアスな顔をしたいのだが、足元をわちゃわちゃと走り回っているブランとシンシャに気が抜けるし、ブチブチ文句を言い続ける姉にイライラするし、真っ青な顔で杖を握りしめているティトさんの精神状態がとっても心配である。


「レオンさん。オーディールダンジョンの四階に出る魔物ってなんですか?」


「そうだなぁ。犬系の魔物も出るが……そもそも四階からは草原エリアに変わる」


「…………へ?」


オーディールダンジョンは塔型のダンジョンで、一階は遺跡みたいな暗い石造りの空間でしたよね? なのに、四階からは草原エリアってなに?

聞いていたかもしれないが、すっかり忘れていた。ダンジョンは不思議空間。外から見たイメージと中に入ってからは、その広さや気候、天候まで何から何まで違う。オーディールダンジョンも中は広いし階層も多く高い。


「四階からは草原エリアで、岩石が多いエリアや森のエリアもあるのね」


「そのエリアに合った魔物が出てくる。四階からは草原エリアに棲息している魔物が出る。猪や馬がでるぞ。ああ、ゴブリンもオークも出るから気を付けろ」


「レオンさん……ゴブリンとかオークとか、二足歩行の人型じゃないですかーっ!」


ひーん、さすがに人型の魔物は倒しにくいよおおぉぉぉっ。


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