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迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
イルブロンの街にて

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臨時メンバー加入 ③

「治癒魔法」のスキルを得た者は、教会にて神官から祝福を受けるべし。


「別に神官が何かしてくれるわけではない。教会の権威付けに利用されているだけだ。でもな、治療院に勤めている者からの講習は受けたほうがいい。いや、受けるべきだ」


レオンさんは険しい顔で姉を見据える。当然、ビビった姉は私の背中に隠れた。ちょっと、妹に庇われてるのは姉としてどうなのよ!


「レオンさん、その講習ってなんですか?」


はいはーいと右手を上げた兄が質問すると、レオンさんはむっつりと黙り顔を横に向けてしまう。


「あれ?」


「俺は治癒士じゃない。おい、お前。説明しろ」


「ひゃあ!」


いきなり指名されたティトさんは飛び上がるほど驚いている。……ううむ、この人ってずっとこんな感じなの? 疲れないのかな?


「えっと……えっと……」


レオンさんに怯えつつ、つっかえながら説明してくれた内容は、簡単に言うと治癒士が人体の説明をしてくれるっていうこと。人の体、怪我を治すには血の流れ、肉の付き方、内臓の位置など人体に詳しいほうが魔法の効きが良いらしい。まぁ、そうでしょうねぇ。止血するにしても血管があることを知らなかったら大変だもん。この世界のほとんどの人は血管とか神経とか、知識がないんだって。


「……お、教えて、くれるところ、ありません……から」


「……」


そうだよ。義務教育がない世界だもの。うう……小次郎の教育、どうしよう。


「とにかく、サクラは今から教会に行き、治癒士の講習の予約を入れてこい。寄付も忘れずに。ああ……神官と言っても俗物もいるからな。アオイも付き添って、決してサクラの顔を晒すな。また、勘違い野郎が湧いて出てくるぞ」


「レオンさん……」


大切な助言ではあるけれど、聞きたくない予言だった。チンピラ冒険者なら対処できるけど、教会の神官が姉に魔の手を伸ばしてきたら、逃亡生活に戻ってしまう。


「はい、わかりました。桜もフードを絶対に外すなよ」


姉は少し不服そうに頬を膨らましたが、大人しくフードを被る。その様子を黙って見ていたティトさんがおずおずと口を開いた。


「あ……あのぅ。僕が認識阻害の魔法をかけましょうか?」


「ん? なんだって?」


認識阻害の魔法をかけたら、どうなるの?


















認識阻害の魔法で平凡地味モブ顔となった姉は、お目付け役の兄と小次郎と一緒に教会へと行き、残された私とレオンさん、ティトさんはこれから必要必需品の買い出し。主にティトさんの分の。


「じゃあ、ティトさんは私たちと同じ宿に今日から泊まるってことで。あと……本当に荷物いいんですか?」


見たところ手ぶらですけど? 今まで利用していた宿は例の金髪チャラ男たちと同室だったらしいので、即退去。溜まっていた宿代は、チャラ男たちの労役から支払うことになった。ティトさんは私たちと同じく被害者の立場なのだ。


「まさか……あのポンコツ冒険者たちに搾取されていたのでは?」


かわいそう……いいように使われた挙句、荷物や財産まで取り上げられていたなんて!


「違うんじゃないか? もしかして空間魔法が使える?」


ティトさんは戸惑いながらも小さく頷いた。「空間魔法」が手ぶらで荷物がないのと、どう繋がるの? こういうときにファンタジー解説役の姉がいないなんて! その姉は「人体理解で治癒力アップなんてお約束~♪」と鼻歌交じりに去っていった。


「キッカたちが持っている魔法鞄と同じことだ。ティトは鞄に付与するのではなく、直接、亜空間に品物を出入りさせることができる」


「……それって珍しいんですか?」


あれでしょ? 漫画とかで何もないところから食べ物出したり武器を出したりする不思議空間のことでしょ?


「魔力がかなり必要になるから、だいたいはキッカたちみたいに鞄に付与して使う。こいつは魔力が桁違いに多いとファビオが言っていた。それで、何かに付与することなく空間魔法を行使できるんだろう」


レオンさん、ファンタジーの説明ありがとうございます。

ティトさんは、その不思議空間に日用品や保存食、奴らに取り上げられないように隠したお金、魔法書、家族の絵などを収納している。


「それでも……食器とか、タオルとか……ないので……」


「そうですね。買いに行きましょう」


私はティトさんの腕を掴んでズンズンと歩きだす。「ひぃぃぃやぁぁぁっ」とティトさんが声なき悲鳴を上げているが無視です。レオンさんも後ろからゆっくりと付いてきてくれる。


「もう、ティトさんに纏わりついていた悪い奴はいないから、これからはちゃんと冒険者活動できるように、私たちも協力しますから、新しくやり直す気持ちでいきましょう!」


「……はい」


正直面倒なことになったとうんざりしていたけど、こんなに優秀な能力を持つ人が搾取されるだけなんてもったいない! ただ、今のままではティトさんはまた別の誰かに搾取されてしまいそう。

しょうがない……レオンさんという保護者がいるうちにティトさんを独り立ちできるよう育てなくては!


「そうと決まれば、明日からのダンジョンアタック、気合を入れていきますよ!」


もういっそ、火力がアップしたんだから、オーディールダンジョンの四階からスタートしてもいいんじゃない?


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