表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
イルブロンの街にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/106

トラブル発生 ⑤

冒険者ギルドの中で堂々と子どもにぶつかり、マウントを取ってくる冒険者パーティーの男たちは、私と小次郎を見下ろしつつ辺りを探るように見回した。これあれでしょ? 私たちの近くにレオンさんがいないか確認しているのよね?


レオンさんは……冒険者ギルドのギルドマスターに耳を引っ張られながらギルドの二階へと消えて行ってしまった。橘家に、「昼ご飯は肉だぞ!」と言い残して。だから、私はお昼ご飯はパスタの気分なんだけどな……。


レオンさんが連行されたのは、Aランク冒険者パーティーのメンバーでありながら、イルブロンの街を訪れていることをギルドに報告しなかったから。しかも、報告しないままにオーディールダンジョンに潜ったり、依頼を受けたりしたから。まぁ、依頼を受けたのは不可抗力だったし、橘家が依頼を受けたことになっているから、ノーカウントのはず。うっかり昨日の引率のギルド職員が「レオンさんに助けてもらった」と零さなかったらよかったのにね。


私たち冒険者は街から街へ移動する場合、それぞれの冒険者ギルドに報告する義務がある。正直、橘家みたいな駆け出し冒険者なんてどうでもいいんだけど……レオンさんたちみたいなAランク冒険者パーティーは別問題。何か強い魔物が出たとか、スタンピードが発生したとか緊急の呼び出しが生じた場合、報告を怠った高ランク冒険者パーティーは討伐作戦に組み込まれず戦力として換算されない。本人たちが危機を感じて作戦に参加したとして、指揮系統にその連絡が届いてない場合、当然、混乱する。緊急事態に対応しているトップが混乱し、作戦に支障が出たら、死人の数に直結する大事だ。


なので、報告義務を怠ったレオンさんは、ギルドマスターから有難い小言をもらいに姿を消したのである。そのせいで、私と小次郎が絡まれているのは誰のせい?


チンピラ冒険者パーティーのリーダー格、金髪細身の男は今日も装飾過多な剣を腰に佩いている。そしてニヤニヤと笑い小次郎を見下ろしているけど、殴っちゃだめかな? 小次郎にわざとぶつかってきたのは、黒髪短髪のゴツイ男。自分の体の大きさがわかってんの? そんなデカイ体で小次郎にぶつかるな。こいつも殴っちゃだめ? もう、二、三発入れてやりたいっ。あともう一人いたはずと男二人の後ろへと目を向ければ、紫髪の小柄な男が猫背をさらに丸くして小さくなっていた。なんだ、こいつ?


「おいおい、聞こえなかったか? ここはガキが遊びに来るところじゃねぇんだよっ」


ガンッと足を床に叩きつけ、イカツイ顔をさらに歪めて小次郎を睨む。


「なによっ、冒険者ギルドには、孤児院の子どもたちも来ているでしょ」


ふんっと鼻を鳴らしツンと顎を上げて男たちを睨むと、怪訝そうに私の顔を眺めペロリと自分の唇を舐めた。き、気持ち悪~い。私と小次郎が絡まれているのに兄が突撃してこないのは、姉がそのトラブルの元であるご尊顔を披露しないよう、兄が姉の頭を抱え込んでいるからだ。たとえ、兄が助けにきてもペイッと吹っ飛ばされる未来しか見えないけどね。


ここで、騒いでいたらレオンさんが気づいてくれるかな? と思ったけど……私たちには頼りになるのがいたじゃない! 

私はニヤリと笑ってビシッと男たちを指差した。


「ブラン、やっておしまい!」


先日のダンジョン前ではできなかったが、今日は遠慮などしない。編みぐるみであるブランたちが実体化して従魔になっているんだから、せいぜいこき使ってやるわよっ!


「フォレスーっ、ブランのフォローを頼む。やり過ぎないように、止めてくれーっ」


兄の悲痛な叫びが聞こえたけど空耳かな? やぁねぇ、ブランがやり過ぎるわけない……あるかも? 新しい玩具だと思ってはしゃいじゃうかも!


「あ……ブラン、ちょっと……待っ……て」


「遅かったかも、菊華ちゃん」


パンパンとお尻についた汚れを手で払った小次郎が同情の眼差しを寄越す。……ええーっ、ブラン、その咥えてるの、金髪チャラ男のケバケバして剣じゃないの?


「ひぃぃぃぃっ、フォレス、シンシャ。ブランを止めて!」


剣を奪われた金髪は足を天井に向け転がっているし、黒髪ゴツイ男は鳩尾を抑えて蹲っている。


「あのね、ブランがまずあの人に頭突きをして、金髪の人の周りを高速で走り回ったあとに、剣を咥えてひっくり返したんだ」


「あ、そう」


これ、正当防衛で許されるよね? こっちは子どもが被害に遭ってんだし。あの二人は調べたら余罪が出そうな悪人面だし。


「ホーッ、ホーッ」


「あ、フォレス。そいつらの頭を突いてんじゃないわよ。ハゲたらどうすんの! シンシャもツンツンしない。あんた、その剣、鞘から抜いてんじゃないの。危ないでしょ!」


従魔なのに、命令を守らない! 私だって小次郎を虐めた奴らを殴りたいのを我慢しているのに、ブランたちが勝手に動いてるぅぅぅぅっ。


「……たぶん、菊華ちゃんの望みを叶えようとしているんじゃないかな?」


なんですと? 私の「あいつら、ぶっ飛ばしたい!」と思った意を汲んで、ブランたちが暴れていると? ううむ、怒りにくいぞ。むしろ、いいぞ、やってしまえ! という気持ちがダダ漏れという。


「なに、見てんだ。魔法でこいつら焼き尽くせ!」


シンシャのツンツン攻撃に業を煮やして、黒髪ゴツイ男が紫髪の魔法使いに命じた。

あれ? あの人「治癒士(ヒーラー)」じゃないの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ