表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
イルブロンの街にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/106

トラブル発生 ③

魔物のスタンピードに襲われた村から避難して、トーリア王国からノイス国、さらにはアーゲン国を通りここフェルト国に辿り着いたのが、私たち橘家の設定です。


ヤバイ、その設定をまるっと忘れてた。そうそう、スタンピードでしたね、スタンピード……魔物が溢れて暴走する災害級にヤバイやつ……え?


「レ、レレレレ、レオンさん? ダンジョンってスタンピードが起きるんですか?」


事態が飲み込めた私は、顔を蒼褪めさせレオンさんの上着を掴んでガックンガックン揺さぶる。ただでさえ魔物があちこちウロついているダンジョン内でスタンピードが起きたら、私たち新米冒険者なんて即死でしょ!


「落ち着け、キッカ。スタンピードの兆候は確認できなかった。あのビッグラットは珍しい逸れ魔物だ。……たぶん」


たぶんってなんだよっ。

しかし、引率のギルド職員は、レオンさんの言葉にはぁーっと胸をなで下ろしていた。ん? 危険はないのかな?


「あのぅ……逸れ魔物ってなんですか?」


はいっと兄が右手を上げて質問した。よしっ、私も知りたかったもん。よくやった、兄よ。


だが、死にかけたギルド職員は、そんなこと聞くの? と怪訝な顔です。しょうがないでしょ、私たちは駆け出しの冒険者、若葉マーク貼りまくりなんだから。


「アオイたちは新人なんだ。いいか、スタンピードはダンジョンや魔素の濃いところで魔物が異常発生し、狂気に駆られ暴走すること。原因は不明だ。今回はダンジョン内の魔物が本来の出没場所から違うところにいただけで、問題はない」


あるでしょ。その人が死にかけて子どもたちが襲われそうになってたんだから。レオンさんは自分が強いから、こういうときにデリカシーがないのだ。しかし、ギルド職員に私たちがただの無知ではないことを説明してくれる配慮はできる、謎の人だ。


「なんで違うフロアにいたんですか?」


「……魔物が道に迷った。他の強い魔物に追い駆けられ逃げてきた。いろいろと理由はあるらしいが、わからん」


こっちも原因は不明かよっ。……しかし、嫌な感じがする。もしかして……これが「勇者」の試練だったりして?


「とにかく、一階でこんな魔物と出くわして運がなかったです。でも、皆さんに助けられてよかったです。みんなのアイテム拾いも手伝ってもらって……本当にありがとうございました」


「「「ありがとうございましたーっ」」」


ギルド職員のあとに、子どもたちもお礼を言ってくれる。まだ幼い二人はもじもじして、かわいい。小次郎も久しぶりに同年代の子たちと話せて楽しそうだわ。


「……じゃあ、帰りましょうか」


出口が目の前だとしても、こんなダンジョンの中にいつまでもいたい訳じゃない。あと、姉の「早くお風呂に入りたい」という視線が鬱陶しい。兄にせがんで「クリーン」をかけてもらったくせに、臭いが取れないと我儘を言いやがって。兄のスペシャル「生活魔法」の「清浄(クリーン)」なのだから消臭もバッチリのはずだ。


こうして、橘家の「オーディール」攻略の初日は終わった。





















姉の入浴も終わり、肉がメインの夕食を終え、大人組はワインを嗜みながらダンジョン挑戦の結果を確認し合うことにした。


「まず、レベルだな。小次郎、頼む」


家長らしく堂々と場を仕切り始めた兄だが、ステータスを視れるのは小次郎なので、あとは座っているだけです。今回、兄たちはレベルが上がってないのはすでにわかっている。


「じゃあ、桜さんを視てみるね」


じっと小次郎に見つめられて、にへらとだらしなく笑う姉の姿に、私の顔はチベスナ状態だ。もう少しで犯罪臭が漂うぞ? 姉よ。


「……うん、レベルが一つ上がっているみたい」


姉のステータスは、レベルが3から4へ。HPが5、MPが10増えた。そして、肝心の「治癒魔法」は……。


「えっと、解毒(小)が付いたよ?」


「(小)とは?」


橘家一同、首を傾げてワインを呷っているレオンさんを見る。教えて、レオンさ~ん。


「ん? 解毒できる毒の強さでは? 今日倒した魔物で説明すると、ミニュラットとか一階に出没する魔物の毒は解毒できる」


レオンさん、ワインをグイーッとして兄が用意した肉を油でカラッと揚げたのをもぐもぐ。

え? それだけ? 


「あのぅ、最後に倒したビッグラットはどうでしょう?」


「無理!」


兄が恐る恐る尋ねたら、レオンさんは即答。そうか……微妙な毒しか解毒できないのか……、ちっ。


「なによ、菊華ちゃんひどいわ。お姉ちゃんだって頑張ってるのにぃ。そんな。ゴミクズを見るような目で見るなんてーっ!」


いい年した女性が「うえ~ん」と大泣きしてテーブルに突っ伏すな!


「桜は泣き上戸だったか……」


兄も残念な子を見る目で姉を眺め、小次郎は見てはいけないと顔を背けた。ちなみにブランたちは編みぐるみに戻ってちょこんとテーブルの上に乗っている。気分だけでも酒盛りに参加させたのだが……もしかしたらブランたちもお酒に酔って泣き上戸だったり、絡み上戸だったりするかもね。


「小次郎もお酒を飲めるようになったら、人に迷惑をかけないようにね」


「うん」


せめて、小次郎の反面教師となって役に立ってください。


「キッカは飲まないのか?」


「う~ん、あまり美味しいとは思わないので」


お酒を飲める年齢に達したとき、お祝いとして兄たちとビールを飲んだけど……苦いだけだった。それ以来、最初の乾杯以外はアルコールは飲みません。


レオンさんが、「お子様か……」という顔をしているが無視です、無視!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ