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迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
安住の地を求める勇者とぬいぐるみ

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レッツ ダンジョン! ⑤

レオンさんが利用したことのある雑貨店で、ダンジョンの地図を買う。


「ギルドで買ったほうがいいのでは?」


こそっとレオンさんの耳に囁くと、レオンさんは頭を振った。


「いや、低層階のフロアは成長してから大分経っている。冒険者もダンジョンの挑戦後は雑貨店に売っていくから、地図自体は余っているんだ。なので、ギルドで買うより信頼できる店で買ったほうが安い」


「あ~、そうですかー」


イケメンが節約してるよ。や、別にいいけど……。


ダンジョンの地図は低層階八階分の一階から三階分までを購入。しかも、ダンジョンの地図って階数が増えればその地図の値段も上がる。上層階の地図が低層階の地図の何十倍もするのに驚いた。


「地図を描くのも命がけだからねぇ」


雑貨店のお婆さんが教えてくれた。地図の制作として、まずはギルドが冒険者に地図制作の依頼を複数パーティーに依頼する。その後、その地図が正しいのか、別の冒険者パーティーに検証してもらう。そのうえで冒険者ギルド職員同行の確認隊が結成され、すべてがクリアになれば、地図として売りに出される。文字通り、汗と涙の結晶です。


「……そう考えると、この値段も妥当なのかな?」


「どうやら、成長して中が変更になったばかりの地図はもっと高いらしいぞ」


では、この地図の値段は既に熟知されまくったあとの地図の価値……、本来はもっとお高かったのね。


「今日は様子見で一階をぐるりと見て回ろう」


レオンさんの号令に私たちは右手を上げて同意した。


「「「おうっ」」」


ブランたちは右手を上げなくてもいいから、もっと普通の従魔らしくしててよーっ。

























いざ、出陣。


ダンジョンを管理するギルド職員に自分のギルドカードを提示して、ブランたちも「従魔ですよ」と堂々と額の魔石を確認してもらい、ダンジョンの中に。


「……暗い?」


はて? 唯一橘家が経験したことのあるダンジョンは、ほんのりと明るかったはずだけど?


「ほら、一番前を歩く奴がカンテラを持って」


ほいとレオンさんから手渡されのは、アンティークっぽいカンテラ。自然に受け取ったけど、コレを持つ人が一番前ってこと? はわわわ、嫌よ、いやーっ!


「お兄ちゃん、パス」


「バカ、菊華。俺は魔物が襲ってきたときに剣で応戦するから、持てないわっ」


うぐぐぐっ、じゃあ同じ理由で小次郎もダメだし、レオンさんもアウト。まさか姉に一番前を歩かせるわけにはいかないから、結局私なのね……。


「ブ、ブラン~。絶対に守ってよ~。勝手にどこかへ行ったらゆるさないんだから~っ」


私の前にゴールデンレトリバーぐらいの大きさになったブランを歩かせる。ちなみにフォレスは通常のフクロウぐらいの大きさで私の上を旋回している。


「菊華ちゃん、シンシャも前に行かせるし、僕が隣にいるから大丈夫だよ」


小次郎が私の顔を見てニコッと笑う。ううっ、子どもに気を使わせちゃったよ……反省。


「大丈夫よ。さぁ、行こう」


私と小次郎の後ろに剣を両手で握った兄とフードを深く被ったままの姉。後ろにレオンさんという布陣で、さあダンジョン探検よ!

……と意気込んだのはいいが、ここのダンジョンの一階は弱い魔物しか出ないの……忘れてた、てへっ。


「あれだな、キッカたちは人の説明をよく聞いて、忘れないようにちゃんて覚えておくことだな」


「は~い」


やや暗い石床を歩きつつ、ひょこりと暗がりから出てくるネズミ型魔物を兄と小次郎がスパッと斬り倒していく。


「ねぇ、ここのフロアの魔物が弱いなら、お姉ちゃんに倒してもらったら?」


「そんな、ヒドイわっ菊華ちゃん!」


見ていた地図から顔を上げて抗議をしてくる姉をサクッと無視する。

何もヒドイことは言ってない。早くレベルを上げて強くなり編みぐるみ隊で唯一動かないリオンを稼働させてほしい。あと……ついでに治癒魔法をもっと使えるようにして、将来の就職に備えてほしいのよ。


「うっうっ、ヒドイわ、みんな。初めて来たダンジョンで魔物を倒せなんて……えいっ」


姉が言うヒドイ魔物討伐とは、ブランやフォレスたちが瀕死の状態にした弱い魔物のトドメを姉が刺すだけである。とんでもない接待討伐だ。


「……サクラは何をしている?」


こてんと首を傾げるイケメン冒険者レオンさんに、私と兄は笑って誤魔化した。レーゲンもレオンさんの肩に乗り大きな欠伸をしている。


「そろそろ、出るぞ。このダンジョンの低層階でアオイたちは魔物を倒しつつ冒険者ランクを上げていけ」


「レオンさん……ある程度魔物を倒したら自分たちのレベルは上がるけど、冒険者ギルドのランクは依頼達成したり、強い魔物を倒したりすることが必要ですよね?」


「言っただろう? ここは成長するダンジョンだ。成長すれば出没する魔物も変わる。ドロップ品も変わる。新しい素材目当てに冒険者たちが押し寄せる。そうして街が潤う。だから、ここの冒険者ギルドはオーディールダンジョンである一定数の魔物を倒す依頼が出ている」


それって、弱くてもギルドが提示する数の魔物を倒したら、依頼達成ってこと?


「なんて、おいしい依頼!」


橘家にとっては願ったり叶ったりの依頼だわ!


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