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迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
安住の地を求める勇者とぬいぐるみ

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これからのこと ⑦

冒険者ギルドのお爺ちゃんに「イルブロンの街へ移動したい」と告げ、移動までの方法とかかるお金、イルブロンの街の治安と宿のランク、出没する魔物から採取できる薬草まで、むちゃくちゃご丁寧に説明してもらえた。


「あ、ありがとうございます。とっても助かりました!」


私がいそいそと情報料を払うためギルドカードを出そうとすると、お爺ちゃんはそっと手で止めた。


「いいんじゃよ。いつも、あの子が迷惑をかけているからねぇ」


お爺ちゃんがスーッと流した視線の先には、橘家に冷たい態度の受付嬢の姿が……。


「え?」


私はお爺ちゃんと受付嬢を交互に見て声を上げた。


「孫じゃよ。もう少し愛想がよければいいんじゃが……。すまないねぇ」


「ああ……いえいえ」


確かに、いつも薬草採取ばかりで絶対零度の眼差しで射抜かれているし、弱い魔物の買い取りには鼻で笑われていますが。


「おまけに、イルブロンの街のお店が詳しく描いてある地図をあげよう」


お爺ちゃんは私の手に、古ぼけた地図を押し付けた。そうして、笑顔で手を振るお爺ちゃんと別れ、目立たないように冒険者ギルドを出る。


「……どうしよう、宿に戻るにはまだ早いよね。どこかでご飯を食べるか、乗合馬車の窓口まで行ってみるか」


ここマクデルからイルブロンまで、乗合馬車は頻繁に行き来をしている。護衛につく冒険者も途切れたことがない。どうやら護衛する依頼としては難しくなく依頼料もそこそこの美味しい仕事らしい。

私は宿を通り過ぎて大通りを真っ直ぐに進んでいくことにした。



















「おかえり~」


兄たちより早く宿に帰ってきていた私は、疲労困憊で帰ってきた兄たちをにこやかに迎えた。私の足元には小さな尻尾をフリフリしたブランがいる。……どうも、シンシャたちと遊びたいらしい。


「……つ、疲れた」


兄がドサッとソファーに身を投げると、姉がペタンとその場に座り込んだ。小次郎だけが困った顔で立っている。


「どうしたのよ、みんな? そんなにヤバい魔物でも出たの?」


いつも薬草採取に行く場所よね? 姉のレベル上げがメインだから、相手はネズミ型魔物では?


「あのね、菊華ちゃん。そのぅ、僕たち、桜さんのレベルを上げようって少し森の中に入ったんだ」


薬草採取している場所は草原だが、近くには森がある。その森には犬型魔物やイノシシ型の魔物もいる。たぶん鹿に似た魔物やオオカミもいるかもしれない。そんな危険な森に入ったのかと思うけど、私たちより年下の冒険者は平気で森に入り魔物を倒しているのだ。


「で、その森で何があったの?」


ダメダメな大人組は無視して、小次郎に確認すると、フォレスがちゃんと飛行して周りを警戒し、弱い魔物とだけぶつかるようにしていたのに、姉が「わぁ~キレイなお花」とか頭がお花畑のことを言い、フォレスが避けた方へ足を進めイノシシ型魔物とバッタリ出会ってしまったそうだ。


「僕が倒せる魔物だけど……桜さんがパニックで走り回ったからイノシシも桜さんを追いかけて……」


姉を助けようと兄も走り出し、小次郎はナイフを手に「どうしよう」とオロオロしてしまったと、


「そのイノシシはどうしたの?」


チラリと二人を見れば、それなりに汚れてはいるが大きな怪我はなさそう。だったらそのイノシシ型魔物は倒したんでしょ?


「うん。フォレスが上から首に一撃したあと、シンシャが足をレイピアで斬って……ヴェルデが喉に噛みついたら倒せた」


……編みぐるみ隊、やるな。フォレスは本来の大きさに戻って攻撃したらしいが、シンシャとヴェルデは小ささを活かして敵の懐に潜り込み奇襲したみたい。


「じゃあ、お兄ちゃんとお姉ちゃんは森の中で魔物に追い駆けられて、走り疲れただけ?」


「だけって言うな!」


いや……だって、そうじゃん。小次郎も疲れているだろうけど、しっかりと立っているし。魔物を倒したのは編みぐるみ隊だし。


「しかも、お姉ちゃんが魔物を倒してないからレベル上げできてないじゃん!」


何しに森に行ったの? なんのために今日、別行動したと思ってんの?


「……菊華ちゃん冷たい……。大丈夫、弱ったイノシシに止めを刺したのはお姉ちゃんだから」


……本当に接待戦闘じゃん。


「いいけど、じゃあレベルは上がったの? リオンは動かすことができた?」


「まだ、試してないんだ。菊華、悪い。メシ……」


「夕飯は屋台で買ってきてあるから。宿の厨房にスープだけもらってくるわ」


私は屍と化している姉の体を跨いで部屋を出て行った。
























食事を終えてお風呂に入った姉は、しょぼしょぼとした顔でベッドへと沈没した。兄も深くソファーに座り込み動く様子がない。そのまま寝落ちしなきゃいいけど。


「小次郎は今日、どうだった? シンシャとヴェルデはちゃんと動いた?」


テーブルの上で編みぐるみたちが小さな姿のまま、わちゃわちゃと遊んでいる。ブランがシンシャとヴェルデにちょっかいを出して、フォレスが呆れて見ているカンジだ。


「うん。シンシャは早く動けて、レイピアで足を狙ってくれるから、相手の動きを止めることができるよ! ヴェルデはほとんど動かないけど、強い相手には喉に噛みついてる」


……ヴェルデは一撃必殺タイプか。


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