43話 魔術ロマンニキ
フォリアが地下室の調査を始めた次の日、当初の予定通り講義を受けていく。
午前に受けたのは「魔術戦闘基礎」。
ペニシラと遭遇し、舌打ちされた。
ペニシラの認識では行く先々に俺がいる、だろうが、中等部から通っていて今更ながらに楽だからと基礎系の講義ばかり受けているペニシラの問題だと思う......。
ちなみに「魔術戦闘基礎」は名前の通り魔術を用いた戦闘のイロハを教えてくれる授業で、魔術と戦闘スタイルが違うっぽい「精霊召喚」に直接は関係ないものの、この世界のベーシックという意味では役に立ちそうな気がした。
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その後の講義は「風魔術習得講座」。
「できたな」
ペニシラはやはり早々にスキルを習得した。
「風属性は男のロマンだぜ」
「お前、それ毎回言ってるな」
「火魔術習得講座」にいた火魔術ロマンニキは風魔術ロマンニキでもあったようだ。
隣でツッコんでいる彼は、よく見ると魔術学院の制服ではないが、武闘学院か何かの人間だろうか。
「ふおぉぉぉおっ」
どの属性も魔力の放出を初回に訓練するようで、皆思い思いに自主練をおこなっているのだが、魔術ロマンニキは気合がすごい。
既に何度もやっているだろうに......。
俺は「火魔術習得講座」で原因不明の気絶をしてから魔力の放出はしていない。だから修練書を読んでいる。実践なくして成長はないというが、知識なくして正しい成長もない。
今は知識を深めることに集中しよう。
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風の次は土だ。
「チッ」
ペニシラは相変わらず舌打ちしてくるし、早々に土魔術を習得して寝ている。
魔術ロマンニキは相変わらず気合を込めた声を上げている。
「土属性は男のロマンだぜ」
ロマン溢れすぎだろ......。
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今日最後の講義は「闇魔術習得講座」。
ペニシラは闇魔術のエキスパートなのでここにはいない。
魔術習得講座を連続で受けている人間にとっては退屈な、初回のガイダンスと魔力放出の訓練法が説明し終わり、自由時間になった。
修練書を読んでいてもいいが......、折角だし彼らに話しかけてみよう。
当然彼らとは魔術ロマンニキと、その友人くんだ。
「ねぇ、そこの黒髪の君、少しいい?」
「いいぜ、話そう」
話しかけると、若干愉快そうな顔になる魔術ロマンニキ。
「お前は昨日の「火魔術習得講座」であの恐ろしいペニシラにちょっかいかけて、ぶちのめされてたやつだろ?気になってたんだ」
「ああ、傑作だった」
2人して不名誉な覚え方をしてる。
「あれは、色々と事情があったんだよ」
「ふーん、ま、いいけど。なんだ、話って?」
「属性魔術習得講座に毎回いるから気になって。ペニシラを知っているってことは中等部からここにいるんだろう?」
「ああ、中等部からいるぜ。俺は魔術学院、こいつは武闘学院の所属だ」
「よろしく」
友人くんが手を伸ばしてくるので握手する。
「魔術学院を卒業したなら何か属性魔術が使えるんだろう?」
「......」
なんで黙る。
そう思っていると、友人くんがくすくす笑いだす。よく見ると友人くんはすごい美少年だな。
この世界で初めて見るレベルの美人だ。
「こいつは属性魔術は使えないんだ」
「使えないと卒業できないんじゃなかったか?スキルレベル3が基準って聞いたが」
「別の基準もあるんだよ」
座学が優秀だと魔術スキルに代替できるとかか?
言っちゃ悪いが、魔術ロマンニキは勉強できなさそうだ。
「こいつは特殊な魔術スキルを持ってるんだ」
「ふーん、ロマンがあるね」
ヨイショってほどじゃないが褒めてみる。
だが、地雷だったようだ。
「「無属性魔術」にロマンなんかねぇよぉ」
ロマンニキは血涙流して主張してくる。
彼が持つのは「無属性魔術」というのか。
「地元のくそジジイに騙されて習得したものの、火魔術みたいに派手じゃない、水属性みたいにクールじゃない、風属性みたいにスマートじゃない、土属性みたいに男らしさがない、光属性みたいに癒しがない、闇属性みたいに厨二じゃない。とにかくなんの印象もない、愛着もないんだよ」
めちゃくちゃ言うな。
「しかもなァ?......」
まだ続くのか......。




