39話 オリアナ助手
午前の講義が終わり、昼休みだ。
「火魔術習得講座」が終わると、ペニシラはいつの間にかいなくなっていた。
この時間の間に、可能ならフォリアに確認したいことがある。
物陰でユニオを消し、研究室の前に生成し直す。
いてくれるとありがたいが、いるかどうか......。
授業はそんなに持っていないと聞いているが。
ノックすると「どうぞ」という声が聞こえた。しかしフォリアの声ではない。
「失礼します」
「何の御用かしら?」
ドアの近くにいたのは見たことのない女性だった。
「フォリア准教授に用があるんですが、今どちらに?」
「今は講義が終わって、ここに戻ってくるはずよ」
迎えに行くのも変だな。
「じゃあ、ここで待たせてもらってもいいですか?」
「どうぞ」
そう、研究室内の椅子を指さされたので、遠慮なく座る。
......手持ち無沙汰だな。
「君はもしかして、オカジマ君?」
「?......はい」
「やっぱりね、先生が話していたのよ。しばらく面倒を見ることになったって」
愛嬌のある笑顔だ。小柄なのもあって小動物のように可愛げのある人だ。
そういえばフォリアには助手がいると言っていたな。
「あなたはフォリア准教授の助手さんですか?」
「ええ、フォリア先生の助手のオリアナよ」
オリアナ助手か。
覚えておこう。今後この人にも世話になることだろう。
「よろしくお願いします」
「うん、よろしくね。オカジマ君」
妙に光属性の強い人だ。
シャルロットも相当だが、彼女を太陽とするなら、オリアナ助手は月光。静かで安らぎある笑顔だ。
癒される。
「どうぞ」
ぼーっとしていると紅茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
飲めないので、気持ちだけいただいておく。
「今は先生の屋敷に住んでるんだって?」
「はい」
「結構散らかってたでしょ。あの人、その辺りズボラだから......」
「あはは」
この研究室が屋敷ほど散らかっていないのはオリアナ助手のおかげなのだろう。
「遠くから1人で来たんでしょう?何か困ったことがあったらいつでも言ってね。お姉さんが力になるから」
善性の塊みたいな人だな。
というか、この世界でいまだに悪人っぽい人を見ていない。皆面倒見の鬼だ。
ペニシラは......面倒くさがりではあるが最終的には勉強を教えてくれるようだし、やはり面倒見がいい括りに入れて大丈夫だろう。
なんだ、この世界楽勝じゃん。すごい俺に都合よく回ってるじゃん。
動けないがな。
「オリアナさんは、いつから助手をしてらっしゃるんですか?」
「正式には今年からね。高等部在学中から研究室に入り浸ってたから、そんな気はしないんだけど」
意外と年が近いのか?
「去年高等部をご卒業されたんですか?」
「うん、そうよ」
この世界って大学とかないの?
高校卒業後、すぐに研究室の助手ってのは聞いたことがないんだが。
わからん。後でその辺りも確認しないと。
などと考えていると、フォリアが研究室に戻ってきた。




