36話 ユニオ、2回目の死
「は?」
ペニシラは想定外のことが起こった顔で、止まっている。
ユニオは血のような赤い液体をあたりに撒き散らしている。
いかん、ここは教室、それも中等部の子供たちがいる場所だ。
こんなスプラッタな状況を見せるのはよろしくない。
ユニオの体を一度消し、再生成させる。
あたりに散った液体も水精にすぐさま掃除させ、何事もなかったようにする。
よし、幸運にも今のスプラッタを見たのはペニシラだけのようだ。
「何してんの?」
質問するが、ペニシラはそれに答えない。
「お前、人間か?」
「これは人間ではないな」
「何?どういうことだ」
説明してもいいが......。
「説明する代わりに勉強を教えてくれ」
「......いいだろう」
おや、今度はあっさり。
何にも興味を抱かない訳じゃないのか。
「お前のやっていることがわかれば対策のしようもあるだろう」
もうやらないって言ったのに......。
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「ふん。精霊使いか。つくづく鬱陶しい奴らだ」
「俺は「精霊使い」じゃなく「精霊召喚」だ。にしても、前に精霊使いと会ったことがあるのか?」
「話したくない」
よほど嫌な目に遭わされたのだろうか?精霊使いへの反応が良くない。
「ペニシラは精霊が見える訳ではないよな?」
「精霊など見えん。ただ魔力の流れを見ているだけだ」
「魔力の流れ?」
普通に見えるものではないはずだ。魔術スキルのレベルがペニシラより高いゼートにも精霊は認識できていなかった。
「私の「魔力眼」の力だ」
「そういうスキルがあるのか?」
「そうだ。血統的なものだがな」
何だ。後天的に習得できるなら魔法陣の研究に使えそうなのに。
「それで、お前の体も精霊で作り出しているのか?」
「ああ」
「道理で洗脳が効かんわけだ。妙に血肉のリアリティに凝っているが、それはお前の趣味か?変態め」
「違う。勝手にそうなっただけだ」
「どうだか」
やはり血の完成度が高すぎるようだ。後でユニオを生成している精霊の調整をした方がいいだろうか。
でもなぁ、ちゃんとリアルじゃないと道ゆく人にまで違和感を与えかねない。
「というか、さっき頭を掴んでいたのは洗脳をかけようとしていたのか」
怖すぎ。
「お前が面倒なことを言うから、私に近づきたくなくなるように少し精神をいじろうとしただけだ」
「やめてくれ」
「どうせ今のお前の体には効かんだろう。面倒なことだ」
俺のスキルの秘密を聞くだけ聞いてトンズラできるならしていた、と言うことだろうか。
「魔術に抵抗しているのかと思って重力による攻撃に切り替えたら、何の抵抗もなく圧死したから驚いた。そうならそうと早く言え」
「そんな無茶な......」
魔術初心者に酷なことを言いなさる。
「で、私は何をすればいいんだ?」
「この講義を受けるサポートをして欲しい」
「こんな授業、高等部の人間なら誰でも理解できるだろう?」
「色々と事情があって、俺は魔術の基礎を何も知らない」
「どんな事情が知らんが、随分な世間知らずだな。どこの田舎者だ」
土神へリアルの座す国、と言いそうになったが、これではその国の人まで馬鹿扱いされそうだ。
......まあ、どうせ伝わらないしいいか。
「魔術のない国、日本ってところだよ」




