28話 最強系師匠
「一旦、お前のスキルのことはなんとなくわかったから、これで問題なく入学させられるだろう」
「そりゃありがたい」
お前弱すぎて無理、とか言われても今更困る。
「異世界転生したけど俺弱すぎ?〜今更出ていけと言われても困る〜」
こんなのは嫌だ。
「まだ検証を続けるならそれでもいいが、どうする?」
「いや、今日はもういいかな。最低限知りたいことは知れたと思う」
魔術と比較することで、真っ当に強いスキルであることは確認できた。
例のトレーニングのせいで変な成長をしているわけでなくてよかった。
より良い運用方法は後で1人でも考えられるだろう。
「それはよかった。これからのお前の生活について話したかったんだ。......場所を変えるか。立ったまま話す理由もない」
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フォリアの研究室に戻った。
さっき来た時は中をじっくりみている暇はなかったのだが、いない間に少し片付いている気がする。
「なんか綺麗になってない?」
「ああ、助手がやってくれたんだろう」
「助手がいるんだ」
いや、まあ研究者が1人でなんでもするわけではないんだろうけど。
「今は......いないな。あ、報告書を持っていくようメモを置いといたんだった」
フォリアが部屋の奥をちら、と見に行ってから言う。
「なんの報告書?」
「万神殿に行って、魔法陣を見つけてきた、というやつだ。魔法陣の記述とか、効果とかはこれから調べて別途論文にするから、まあ、生存報告みたいなものだ」
「生存報告?」
「外部に調査しに行って、そのまま帰ってこない人間もいるからな。特に古い魔法陣を調べようとすると、魔法陣自体の危険性に加え、建物周辺に魔物が繁殖していて、気を抜くと死んでしまう」
危険な仕事なんだな。魔法陣調査が考古学者っぽいアレなら、インディジョーンズ的なニュアンスでいいのだろうか。テーテレッテー、テーテテー。
というか......。
「魔物いるんだ......」
「魔物に遭遇したことがないのか?まあなかなか遭遇する機会もないか。奴らは人里離れた遺跡などにしか生息していない」
ダンジョン的なことなのかな?
いかん、まだ確定してないのにRPGとして理解しようとすると、何かを見落としかねない。
「どんなのがいるの?」
「場所によって色々だ。よくいるのはスライム、ゴブリンだな」
「強いの?」
「そいつらは基本雑魚だな。強い奴は強いし、弱い奴は弱い」
ますますゲームっぽい。
「聞いていいのかわからないんだけど、フォリアってどのくらい強いの?」
前から気になっていたことをフォリアに聞いてみるが、先に反応したのはネイアだった。
「君、フォリア先生のこと知らないの?水魔術師の中では当代最強候補の1人なんだけど」
「オカジマは世間知らずだからな。それに私は候補と言っても下から数えた方が早い」
「そんなことないと思いますが」
フォリアは否定するが、シャルロットはそれをさらに否定する。
「水魔術レベル9というのはやっぱりすごいんだな」
「ただ上げればいいというものでもないが、やはりスキルレベルに応じてできることの幅は広がるからな。手数の多さはそれだけ強みになる。そういう意味で言えば、水しかろくに使えない私は魔術師全体で見れば大したレベルではないんだろう」
天候操作ができるという話だから、水しか、というのは誤差みたいなものではないのだろうか。
「そんなこと言わないでください。先生は強いんですから、自信を持って」
「私は別に強くなりたいわけではないんだが......。魔法陣の研究をする上で必要な自衛能力は十分あるし......」
シャルロットの励ましも必要なかったようだ。魔法陣の研究にしか興味ないのかも知れない。
魔術は道具でしかない感じだ。
ん?待てよ。
ここがRPG世界だとして、最強クラスの師匠ってことは、遠からずフォリアは死んでしまうのでは......?
嫌なお約束が連想されてしまった。




