19話 学園都市アッカロン
学園都市には想像以上にあっさりと入れた。
聞けばフォリアは学園都市で准賢者という資格を持っているらしい。
シャルロットの聖女はあまり関係ないのか、と思ったが、聖女としての力をほとんど使えない段階では知名度などないに等しいらしい。
魔術学園中等部主席というのも、国内外から広く才能ある人間が集まるのは高等部から、という都合上大した意味を持たないのだとか。十分すごい気はするが。
フォリアのおかげで変に怪しまれることもなく学園都市に入れたのはありがたい限りだ。
ここで学園都市のことを簡単に説明しておく。
学園都市には複数の教育機関、研究機関が乱立しており、この世に存在する技能のおよそ80%に対して誰かしら指導できる人間がいる、と言われているらしい。
スキルではなく技能と言っているのは、スキルにならない重要な技能は普通にあるからだ。
例えば歩く技術というのはスキルにならない。だからと言って蔑ろにしていいわけもない。この世界には戦争があり行軍がある以上、歩く技術及び訓練は各国が重要視するものだ。
また、知的活動に関することは大抵スキルにならない。
例えば商売において嘘を見破るスキル、鑑定するスキルというのはあっても、交渉術やビジネスアイデアはスキルにならないのだ。だから商人の教訓として、鑑定する力はあっても売る能力がなく転落していった阿呆の話が寓話として広まっているらしい。
この世界は思ったよりもスキル偏重ではない。いや、スキルだけでなんとかなるほど甘い世界でもない、という感じか。
怖いなぁ。
スキルで全て決まる世界とどっちが怖いかわからないが......。
そもそも戦いが身近にある世界という時点で怖いからどうしようもないな。
話を戻して学園都市は、賢者というのが強い影響力を持つ。
学園都市はどこかの国の一都市ではなく都市国家であり、統治者がいるわけでもない。
完全な合議制だ。民主的だね。
だが、合議に参加できるのは賢者および准賢者のみだ。
学園都市を動かす賢者になるには、何かしらの学術的功績を示し続ける必要がある。
分野はなんだってよく、知恵によって道を開かんとする全てのものに平等に敬意が払われるらしい。
あくまで建前上そうなっているだけで派閥争いも普通にあるとフォリアが言っていた。嫌だねぇ。
フォリアの所属は魔術学院の魔法陣研究科らしく、そこは比較的まともな人が多いのだとか。
わざわざ魔術学院で魔法陣なんて細々としたものを研究するなら、ちゃんと知識欲がないとやっていけないらしい。
ただ、教職の全てが賢者、准賢者というわけではない。初等部中等部にまで賢者の先生を引っ張り出すのは勿体なさすぎる。高等部にも顔を出さない賢者もいるくらいだ。
だから、准賢者の手前の立場の人間や、最初から教師として働いている人間が中等部までの学生を教えているのだ。
シャルロットは聖女のスキルを持っていることやその優秀さもあるが、フロル公国出身者の集まりでフォリアと知り合ったらしい。
出身国の同じ人が存在しえない俺にはできないつながり方だ。




