15話 これってもしかして......
少女に呼ばれた先には、剣を持った神像があった。
俺は動けないので光精と風精で会話に参加している。
「この神と契約できるようです」
「誰ですか?」
まじかこいつみたいな顔をされた。
2人してわざわざ遠くにいる俺を見なくていい。
「知らんのか。斧神ニーブルだぞ」
「世間知らずなもので」
「斧神なんて有名どころじゃないか」
そうなのか。
「しかし斧神が無垢の神なんて面白いですね」
「確かにそうだな」
「ええ、斧神ニーブルは男性ですし、無垢の神という印象はないですね」
うーーーん。
なんだろう。
なんかこんな状況どこかで覚えがある。
このまま契約していいのだろうか。
思い出せ。思い出せ。
「でも契約できる神がいてよかったです。
......斧は、まあ、使ったことがないですが、頑張ります」
少女はそう言って神像に手を伸ばす。
「ちょっと待った」
「なんですか?」
2人とも不思議そうだが、俺はようやく思い出したのだ。
これ、キャラメイクなんじゃね?
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とりあえず斧神との契約を待ってもらい、改めて神像を一通り確認した結果、契約できる神は複数いたことが判明した。
剣神ヨーク
槍神ノーラン
斧神ニーブル
弓神ヒーリアル
火神コロニア
水神レア
風神アルマ
土神へリアル
光神スルケー
闇神オフォアルゴ
なんか、ゲームの初期装備っぽいラインナップだ。
異世界転移というよりゲーム世界転移だったのだろうか。
あいにくこんなゲームは知らない。
念の為2人の名前も聞いてみよう。
契約できる神が複数いるという状況に驚いている2人に声をかける。
「今更なんですが、2人の名前を聞いていいですか?」
「ああ、フォリアだ」
「シャルロットです」
うん。知らないわ。
でもゲーム世界っぽさがすごいんだよなぁ。初期装備を選ぶ感じとか。
どうなんだろうか。
キャラメイクなのだとすれば初期装備は結構重要だろう。
ゲームによって物理最強か魔法最強かは違うし、剣と弓でも戦い方が随分違う。
シャルロットを推定RPG主人公として考えれば、後々パーティーメンバーを入れ替えればどうとでもなるように作られていると思う。最終的には万能主人公として活躍する可能性もある。
だが、初期装備は序盤の進めやすさとかに影響するだろうし、後で契約神を切り替えたりできない可能性もある。特化前提のゲームの可能性だ。
ああでもない、こうでもない、と頭を悩ませているとシャルロットの声がかかる。
「オカジマさんはなんで複数と契約できると思ったんですか?」
なんて言えばいいんだろう。
ゲームっぽかったからとか言えないし、ゲーム世界かどうかも確定していない。
黙っているとシャルロットは勝手に納得したようだ。
「オカジマさん、実はこの万神殿の守護者なんじゃないですか?」
「全然違うけど......」
「......」
え、違うよね。異世界から召喚されて主人公のチュートリアル担当ってなんだよ。
意味わかんねぇだろ。
むしろ俺にチュートリアルをくれよ、神ぃ。
「なんとなくそうじゃないかなって思っただけだよ」
曖昧に答えておく。
「世間知らずなのにすごいですね。
こういうの、地頭、とかっていうんですよね」
シャルロットが感心したようににっこり言うけど、これ褒められてるの?
馬鹿にされてない?
この世界の世間知らずなのは事実だけどさぁ。
「オカジマさんはどの神と契約したらいいと思いますか?」
先ほどまで考えていた話をしようかと思ったが、よく考えてみればこの世界のことを知らない俺がいくら考えても意味がないだろう。
ただ、一般的にこうなんじゃない、ということだけ伝えるにとどめる。
「シャルロットさんが得意なもの、好きなものを選んだ方がいいと思うよ」
重要なのは続けやすさだろう。
いかに強くとも、楽しくないと続ける気が起きない。
この世界を現実として生きるなら、なおのこと重要だ。
「何が得意なの?」
「お料理とか......」
「......」
真剣な顔で言われても......。
じゃあ包丁がよく切れるように剣神?それとも火力調整に便利な火神?おいしい水の水神?
......とか言えばいいんだろうか。
「戦う力を求めてるわけではないの?」
「あ、そうでした」
アホの子なのか?
「お料理は自分の力でできますもんね」
アホの子なのか......。




