【第十九話 雷帝】
【フランス北部 海岸防衛線】
【ヴェークテルン・シュミート視点】
施設を失った俺はすぐさま残存する数千の『人工悪魔部隊』を率いて海岸線へと陣取った。
イギリス軍の野蛮人どもが船で海を渡ってくるというなら好都合だ。ここで迎え撃ち、俺の軍隊の恐ろしさを世界に見せつけてやる。
だが、俺の計算は最初から完全に狂っていたのだと気付かされることになる。
『──沖合の海が凍っています!』
監視兵からの報告を最初は誰も本気で受け止めなかった。俺ですら本気で受け止めなかったよ。
「……今はまだ海が凍るような真冬ではないぞ」
単なる異常気象を疑った。それが開戦から『七時間目』のこと。
俺の部隊が異変の正体を正確に悟ったのは、その一時間後『八時間目』のことだった。
凍結のスピードが異常だった。見渡す限りの海面が、ドーバー海峡から一直線に俺たちのいるフランス海岸へと向かって凍りつき、じわじわと迫ってきていた。
その時俺の頭に最悪な確信が走る。
『アーサー・E・テイラーは生きている』
え? いや、でも、え?
いいやそんなのありえない! 俺は確かに月彦から首を貰った! 上層部に首を差し出し確認して貰った! イギリス本土でアーサーの葬式が行われた情報もしっかりと届いた、ウソなんかじゃねぇ!
じゃあこの氷はなんなんだよ。
じゃあこんな規格外の能力を使えるバケモノが、世界に二人もいるって?
アーサーだとしても、アイツは《アイギス》だ。アイギスを二名以上前線へ配置することは条約違反だろ。待て、もしも『既に死んだと登録されている《アイギス》』にもその条約は適用……されない? だが! だが! まだできることはある!
考える時間が惜しい。
俺は本国へ援軍と重砲の増援を要請した。だが、無能な無能力者上層部の返答は。
「海が凍っている? 死んだアイギスが生きてる? 貴様ら集団幻覚でも見ているのか、馬鹿を言うな」
一蹴されるだけだった。援軍が到着するとしても数時間後。絶対に間に合わない。
なんで?
なんで?
なんで?
頭の中で繰り返し繰り返し自問しながら俺は指示を飛ばすしかなかった。
『十時間目』
沿岸に設置された大砲で迫り来る氷を砕こうとしたが、分厚い氷の壁には傷一つ付かなかった。逃げ道はない。そして、白く染まった海上を覆う濃霧の向こうから、巨大なイギリス軍の軍靴が聞こえ始めた。
『十一時間目』
ついにドーバー海峡の海面が完全に凍結。イギリスとフランスが陸続きに『開通』した。
正面の氷霧の中から姿を現したのは数万にも及ぶイギリス陸軍の影。さらに最悪なことに、俺たちの背後の陸側からは、施設を焼き払ったエドワード・バイロンの『青い炎』が退路を断つように迫ってきていた。
俺は後ろを振り向く。海岸の向こうに見える美しかった街並みは全て燃え盛り、青い炎が数多の兵士の頭に『死』を過らせていた。
俺は前をみる。海辺の向こうは全てが氷で埋め尽くされ、冷たすぎる風が俺の金色の髪を撫でる。
前からは氷。後ろからは炎。
神話級の化け物二体による、完全な挟み撃ち。
……ふざけるなよ。だが、俺にはまだ数千の悪魔部隊がいる!
「全軍、迎撃態勢をとれ!!」
俺は声を張り上げ、配備した能力者たちに号令をかけた。通常の兵士とは違う不死身に近い再生力を持った悪魔たちだ。これだけの数がいればアイギス二名が相手でも時間を稼ぐことはできるはずだ。
──だが。
「……が、はっ!?」
俺の隣で、号令に応えようとした一人の兵士が、突然大量の血を吐いてその場に倒れ伏した。
──は?
「おい、どうした!?」
俺はソイツが四つん這いになる姿を見た。ソイツは劣等民族だ、なんでこんな時に限って使えなくなるんだ? お前のために使ったあらゆる資源はなんのためにある?
「がふっ、ごふっ、ご……ぉ!」
そいつは苦しそうに吐き出しながら倒れてしまう。
あーあ。
あーあ。
「あーあ……つっ、かえねぇな……」
あるドイツ兵士が教えてくれる。
「中佐殿! こちらも……!」
一人、十人、百人。まるでドミノ倒しのように、俺の頼みの綱である人工悪魔部隊の兵士たちが次々と血を吐いていく、肉体を内側から崩壊させて死んでいく、俺の戦力がぐちゃぐちゃのめちゃくちゃのズタズタボロボロに壊れていく。
頭の奥で冷たい事実がフラッシュバックした。彼らに悪魔の血清を投与し、軍隊として完成させたのは今年の夏頃。その前に未完成だった血清の副作用のデータがある、それはヨハネの記録だったがこんな文章があった。
『──初めて成功した人工能力者は、約三ヶ月後に死亡を確認』
嘘だろ。なぜ、なぜよりにもよって今なんだ。数千の軍隊が、戦う前に寿命を迎え命の炎を消していく。
だが、まだだ。俺にはまだ、一番強くて忠実な『最強の右腕』が残っている。
「ブジョワ大尉! お前だけでも迎え撃て!!」
俺は血の海に沈む部隊の中で、唯一背後に控えていた美しいフランス人の青年に向かって叫んだ。
◇
【ヨハネ・ド・ブジョワ視点】
エドワード・バイロンが来ているということは、あの炎の向こうに、あの少女がいるのは確定している。
……戦いたくない。彼女を殺すなんて俺にはできない。けれど、敵に背を向けて逃げれば軍の反逆者として追われる身となり、どちらにせよ生きる道はない。
『どうか、楽しく生きるのを諦めないでください』
そう言って彼女は返してくれたんだ、俺の命を、魂を。それも初対面かつ君をさんざんに痛めつけた俺にだよ? 優しすぎて利用され続けたんじゃないかな君って。
けれど、俺はあの一瞬だけでも『少しは生きててよかったな』と確かに思えた。
だからこそ。
俺は、俺は。君と殺し合う運命を選ぶくらいなら、いっそのこと──。
◇
【ヴェークテルン・シュミート視点】
「ヨハネ!! 何をしている、命令が聞こえないのか!!」
苛立ちと共に振り返った俺の目に映ったのは。
静かに、そして一切の迷いなく、自身のこめかみに拳銃の銃口を押し当てたヨハネの姿だった。彼は何も言わず、ただどこか安堵したような、つい『うお美ッ』と思うほど穏やかで微笑みすら浮かべて。
──パンッ。
乾いた銃声と共に、俺の最強の手札は血飛沫を上げて地面に崩れ落ちた。
「……は?」
俺は、お、おれは、ヨハネの死体を見下ろしたまま、瞬きを繰り返した。
前からは、全てを凍らせる残酷な氷。
後ろは、全てを焼き尽くす死神の炎。
頼みの綱だった軍隊は寿命で自滅。唯一の希望だった最強の部下は理由も分からず無言で自害。盤上から、俺の駒が一つ残らず消滅した。
これこそ完全なる──『詰み』。
「あ」
俺の口から、間の抜けた声が漏れた。
張り詰めていた指揮官としての理性の糸が、ぷつん、と音を立てて切れるのが分かった。
「ナハッ、あはっあ、にゃはッッ」
あーあ。あーあ!
「に、ぁははははははははッッ!!!」
フランスの海岸に俺の狂ったような大爆笑が響き渡った。
腹を抱え、涙を流しながら、俺は狂気の中で笑い続けた。勝てるわけがない。こんなデタラメな神話の暴力に、計算された人間の兵器が勝てるわけがない。
◇
【一方その頃、日本人は】
ヴェークテルン・シュミートがフランスの海岸線で絶望の大爆笑を響かせた、まさにその同じ頃。
かつてヴェークの『人工悪魔施設』があった場所──今やエドワード・バイロンの青い炎によって完全に焼き尽くされ、黒焦げの巨大なクレーターと化した瓦礫の山に、二つの人影があった。
日本軍の軍服を着た二人の若者、月彦と優明である。
優明は黒煙を上げる瓦礫の山を見下ろした。
「うわー……見事に全焼してんじゃん」
隣に立つ月彦も、焼け焦げた鉄骨を靴の先で小突きながらカラカラと笑う。
「マジかー。ヴェークの施設、跡形もないねんな。これイギリスのアイギスがやったん? ヤバいわマジな」
ドーバー海峡の向こうから、地鳴りのような砲撃の音や、数万の軍隊が激突する音がかすかに響いてきている。間違いなく、世界の命運を懸けた大戦争のクライマックスがそこにある。 だが、二人の態度は完全に『台風で部活が休みになった男子高校生』のそれだった。
優明はニパッと笑顔を作る。
「てことはさ、月彦。これ、俺たちの『施設の視察』っていう仕事、完全になくなったってことだよね?」
「あっせや! これスケジュール完全に白紙やんけ! え~なにする~?」
月彦は嬉々として懐から高級な舶来品のカメラを取り出した。
「とりあえず報告用に『施設は全焼してました』って証拠の写真撮るか……。優明、そこに立って」
「はーい。あ、ちょっと待って、整えるから」
優明が軍服の襟と前髪をササッと直すと、月彦は黒煙の上がる焼け跡をバックにしてカメラを構えた。世界の危機も、同盟国の軍隊の全滅も、彼らには微塵も関係ない。
「いくよー。はい、チーズ!」
黒煙が立ち昇り、遠くで大砲が轟く地獄のような風景を背景に。月彦と優明は、満面の笑みで楽しそうに『ダブルピース』を作った。
──カシャッ!
陽気なシャッター音と共に、彼らの気楽なヨーロッパ観光旅行の記念すべき一枚目が、フィルムに焼き付けられた。
◇
【ヴェークテルン・シュミート視点】
あーあ!
「やめだやめ! 詰んだなぁ綺麗にな! 誰かに見せてやりたいぐらい美しい盤面だ!」
やがて、背後から迫るエドワードの『青い炎』の熱気と、それに焼かれる部下たちの悲鳴が大きくなり始めた時。
俺はドカッとその場に座り無言のまま自身の小銃を引き寄せた。ガチャリと弾薬を装填する。腰の拳銃も抜き、丁寧に手入れの確認を始めた。
恐慌状態に陥った部下の兵士が、すがるように俺の横で崩れ落ちる。
「ちゅ、中佐殿! 指令を! 我々に指令をくださいッ!」
俺は手元の銃から視線を外さぬまま、冷たく言い放った。
「祖国のために死ぬ覚悟を整えろ」
「え……?」
「俺は、俺さえ生き延びればいいと考えるデブの無能な無能力者どもとは違う」
拳銃の撃鉄を起こし、冷ややかな目で眼前の氷霧を睨みつけた。
「俺が上に立つことで勝利へ導くために、あらゆる手段を冷徹に、合理的に、使い続けることを誓った」
一通り手入れを終えた俺は立ち上がる。
「勝ち続けなければ意味は無いが、ここで終わりを迎えることで祖国の勝利の道が近づくのならば」
軍服を整えた。髪を軽く整えた。襟首をぎゅっと締め付けるように持ち上げ背筋を伸ばす。
「ああ、ここで果てても文句はない」
俺は崩れゆく部隊の先頭へと歩み出る。その足取りには、一切の迷いも未練もない。あるわけがない、常に覚悟してきたんだ『俺が死ぬべきタイミングで死ぬこと』を。それが今ならば恐れるものなど何もない。
「地獄の窯の蓋を開けたのは俺だ。なら、俺も堕ちて閉ざすのが義理だ」
「中佐、殿……」
俺は小銃を構えた。
「銃を持て。敵前逃亡は許さない」
軍靴が鳴る。イギリス軍の足音が、凍りついたドーバー海峡の向こうから地鳴りのように響いてくる。
よし、死のうか!
──ヴェークテルン・シュミートは誰よりも先に先陣を切り、絶対零度の白い霧と氷の世界へと、たった一人で走り出した。
「おおおおおぉぉぉぉぉッッ!!!」
裂帛の咆哮と共に、ヴェークテルンが自らの能力を限界まで解放する。
バチバチッ!! と空気を割る凄まじい轟音。
彼を中心に神々しいほどの『黄金の雷光』が弾け飛び、薄暗い霧のドーバー海峡が一瞬にして白昼のように照らし出された。
その姿は、まさに天を駆ける『雷帝』。
圧倒的な威厳と覇気を纏ったヴェークテルンの突撃は見る者に『この男なら、神話の軍隊相手に一矢報いるのではないか』と錯覚させるほどの恐ろしい気迫に満ちていた。
──しかし、彼が立ち向かっているのは、数万人のイギリス陸軍の本隊である。
「構えぇっ! 撃てェェッ!!」
氷の向こうからイギリス軍将校の無慈悲な号令が響き渡る。
どれだけ黄金の雷が美しく輝こうが、どれだけ彼が気高く吠えようが、彼が直線で突っ込んだ瞬間。前方に構えられた何千、何万という小銃と重機関銃が一斉に火を噴いた。
嵐のような、物理的な鉛玉の雨に。
「が、ぁ──」
神々しい雷光は敵陣に届くことすらなく。ヴェークテルン・シュミートの体は、誰よりも早く、あっけなくハチの巣にされて踊り、そのままボロ布のように氷の上へと崩れ落ちた。
「前進! 前進せよォ!!」
その血まみれの死体を冷たく踏み越えて、数万のイギリス兵の軍靴がフランスの地を踏み鳴らす。
氷を渡り切ったイギリス陸軍本隊は、沿岸を焼き払っていたエドワード・バイロンの部隊と合流。それを皮切りに、イギリス軍によるフランス進行。
──反攻の電撃戦が、一気に幕を開けたのだった。
◇
【ロンドン中央政府 とある一室】
【フェイビアン・エイムズ視点】
「──報告します! 我が軍の陸軍本隊がドーバー海峡を突破! バイロン大佐の部隊と合流し、フランスへの電撃戦を開始しました! 敵軍はすでに壊滅状態、我々の完全なる勝利です!!」
ロンドン中央政府の司令室に通信兵の歓喜に満ちた声が響き渡った。
長かった大戦が、ついに我々イギリスの勝利で終わる。室内にいた将校たちが手を取り合って喜び、安堵の涙を流す者すらいる。何もかもが我々の計画通りに順調に進んでいた。
だが、僕は静かに両手で顔を覆っていた。
僕の目は、自らの能力によってこの『完全な勝利の先に待つ未来』をはっきりと捉えてしまっていた。
「……あ。そうか」
乾いた声が、僕の唇からこぼれ落ちる。
「我々イギリスが、確実に勝てる盤面を整えきっては……ダメだったんだ」
絶望に沈む頭脳で、この世界が『終わってしまった理由』を一つ一つ数え上げた。
一つ。シェルピェン・ザウェクが極限の窮地に陥らず、生き延びてしまったこと。
二つ。ヴェークテルン・シュミートが戦死したこと。
三つ。ヨハネ・ド・ブジョワが自害したこと。
四つ。小野優明の介入により、日向月彦が強引に日本へ戻されてしまったこと。
「……愚かだった。我々は、戦争に勝てば世界が救われるのだと勘違いしていた」
誰にも聞こえない声で呟きながら自分の未来視の欠陥を呪った。
この世界が『終末』という名の次のステージを迎えるための真のトリガーは、国と国の戦争の勝敗などではなく──全能力者の極限状態での《覚醒》だった。
唯一《覚醒》を観測したのはペネロペ・コスタだけ。
シェルピェンだけが覚醒してもダメだった。 アーサーも、エドワードも、全員が精神と肉体の限界を超えて目覚めなければならなかったんだ。しかし、我々イギリス軍が圧倒的な暴力で盤面を制圧し、彼らを『覚醒する前に』あっさりと殺してしまったことでその機会は永遠に失われてしまった。
窓の外を見る。
「また、ループが始まるというわけですか……ニャルラトホテプ」
僕は、この箱庭を管理する神の顔を思い浮かべながら、静かに目を閉じた。
◇◇◇
【一九四五年十二月三十一日 日本・神戸】
【日向月彦 視点】
そして時は過ぎ去り、一九四五年の大晦日。
ヨーロッパを火の海にした大戦はイギリスの完全勝利で幕を閉じ、遠く離れた極東の島国には、静かで冷たい雪が降っていた。
俺は神戸の山奥にあるとある寺の境内に一人佇んでいた。吐く息は白く、凍えるような寒さの中、もうすぐ鳴り始めるであろう『除夜の鐘』を静かに待っていた。
今回俺は、この世界を監視する『運営側』として立ち回ることを特別に許された。だからこそ、あの地獄のようなヨーロッパ戦線から強引に引き抜かれ、こうして無傷で平和な年越しを迎えることができている。
ザクッ、ザクッ。
雪を踏みしめる軽い足音が近づいてきた。振り返らずとも分かる、小野優明の足音や。
隣に並んだ優明は、ポケットに両手を突っ込んだまま夜空を見上げ、薄く笑った。
「ねぇ聞いてよ、少佐殿。俺ら、今回は特例で『運営側』として動いてたんだけどさ。たった今、上から通達が来たわ」
「……おん、なんや?」
俺の問いに、優明は冗談でも言うような軽い口調で、しかし決定的な言葉を口にした。
「次回は九割解雇だってさ、特権剥奪ですって。『プレイヤー』として地獄を作ってこいってさ」
「そうか」
俺は降ってくる雪から視線を外し、深くため息をついた。
「……うまくいかんかったか」
「うまくいきすぎたのがダメだった」
優明は肩をすくめて、どこか呆れたように笑う。
「イギリスの奴らがパーフェクトゲームなんてやっちゃうから。誰も極限状態に追い込まれなくて、目当ての『全能力者の覚醒』が起きなかった。ああ俺は次回も運営側として遊んでるからお前はまた頑張ってね」
ゴォォォォォン……。
その時、寺の鐘楼から重く低い『除夜の鐘』の音が響き渡った。
一〇八つの煩悩を払う新しい年を迎えるための神聖な音。
──だが、その音の余韻は不自然に間延びし、空間の輪郭がぐにゃりと歪み始めた。
降っていた雪が、空中でピタリと静止する。 まるで映像を逆再生するように、雪が下から上へと昇り始めた。
「じゃあな日向月彦、また会えたらいいね」
「おう、殺したらすまんな」
「なに言ってんの負けるわけないじゃん俺が」
優明の体が、足元からノイズのようにチカチカと崩れ始めていた。俺の体も同様だ。感覚が薄れ視界が真っ白な光に包まれていく。
除夜の鐘の音も、冷たい雪の感触も、すべてが光の中に消し飛んだ。俺の意識は世界の理の底へと沈み、やがて、新たな時間の始まりへと強制的に再構築されていく。
──こうして、時はまた一九三◯年の一月一日へと巻き戻った。




