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底辺と呼ばれた魔術師が、最強のロリっ娘魔術師を育てることになりました。  作者: 南郷 兼史


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57/60

第五十七話 意味深長

*


 耐え難い吐き気と共に目を覚ます。

 胃酸を飲み込んでもさらにせりあがってくる。胃がやられていると十中八九こんな状態だ。

 乱暴に吐瀉物を受ける壺を掴み、とめどなく吐き出す。

 昨日よりはマシだが、それでも気持ち悪い……。とにかく水が欲しい……。


「……? ディマ、起きた?」

「あぁ……最悪だ……」


 返事をする気力もない。単語で喋るのが限界だ。

 辛そうな僕を見て察したのか、ジャーダがアンティークな茶器に紅茶を入れて差し出してきた。

 なぜ紅茶なんだ……とは思ったが、そんなことを言ってられない。水分であれば何でもいい。

 出された紅茶を味わいもせず一気飲みする。

 だが、なんとなく鼻に抜ける感じが甘草と似ていた。嫌いなものならすぐ分かる。


「美味しいでしょ?」

「僕が嫌いって知ってて飲ませただろ……」

「嫌いだったっけ? ごめんにゃあ」

「ただただ気持ち悪い……」

「でも、治りは早くなるから……ね? 万能のハーブだから」


 ジャーダめ……僕が元気であれば滅多刺しにしていたところだった。

 しかし、毒ってそんなに抜けないものなのか。相当棘を刺されていたんだろうな……。


 出血していたと思われる頭の部分を触る。

 ……特に何か巻かれているわけではなさそうだ。軟膏も塗られていない。


「どうしたの?」

「いや……頭から血が大量に流れていたはずなんだが……」

「頭は怪我してなかったけどなぁ。幻覚じゃない?」

「じゃあ、あの叫び声も――」


 全く誰だか思い出せないが、聞こえのある声であったのは確かだ。

 ヒイラギモドキがそんな幻覚を見せてどうするんだ……。逃がそうとしたら自分が吸い取れる養分が少なくなるだろうに。



「ん……? どんな叫び声さ」


 急に顔をしかめてジャーダが聞いてきた。

 そんなに大事なことなのか? 

 別に知られてまずいことじゃないけど、あんな顔をされるとちょっと怖いな。


「『ディマ、逃げろ』って」



「……へぇ。()()()()()()()()()()()()――」



 消してなかった……? どうしてその言葉が出てきたのか見当が付かない。

 ジャーダは何を知っているのか?


「……極悪人だよ。なんでそんなことするのかなぁ」

「……何の話をしているんだ?」

「んー? ひとりごとだよ。あれは、今の統率者様(ドゥクトル)が洗礼を受けた時の忌まわしい事件だったねぇ」

「全然意味が分からないぞ」

「意味が分からなくて当然でしょ。ディマが4歳の時に起こったことだからね」

「なんでその話を今したんだ?」

「えー、内緒! 聞きたいなら僕以外に話を振ってごらん? ぜーったい誰も言わないだろうけどね」


 空笑いをしながらジャーダが一通り話すと、最後に一つだけ強調して付けくわえた。



「そうそう、メルクリオだけには言っちゃダメだよ? ある意味当事者だし、()()()()()()()()()()()()()()()()


 ……余計にこんがらがってきた。病人が聞くような内容ではない。

 一体何やらかしたんだ? アイツのことだからいろいろやってるだろうけど……。

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