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底辺と呼ばれた魔術師が、最強のロリっ娘魔術師を育てることになりました。  作者: 南郷 兼史


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第五十六話 雑談

*


 ……気付いたら一眠りしていた。

 夜は深まり、蝋がパチパチと燃え解ける音しか聞こえなくなっていた。

 ジャーダは調合台の上で藁にくるまって寝ている。なんだか申し訳ない気持ちになるな。


「……起きたか」


 メルクリオは相変わらず机の上に寄っかかっている。

 ずっと煙管吸っているけど飽きないものなのか……?


「……寝ないのか?」

「さっきまで寝ていた。確かめたいことがあるから待っていたが、案外早く起きたな」

「夢のことでも聞きたいんだろうけど、大して面白くないぞ」

「ふーん、興味深い」



 灰を窓から落とし、煙管をローブの中にしまうとベットの側へと寄ってきた。

 

「どこをどうやったら興味深いって言えるんだよ……。話聞いてた?」

()()()がこんなにも近くにいたら、そりゃ興味深いと言いたくもなるだろう」

「はぁ……笑うなよ?」


「メルクリオに殺された」なんて当人に言ったら、さぞかし笑われることだろう。

 僕だって笑っちゃうよ。殺意があったら別だろうけどな。


「メルクリオがな、僕を滅茶苦茶に殺していたんだよ」

「ほう? 俺がディマを殺すって? いいねぇ、一度は殺してみたいよ」


 夢の時ほどではないが、ぎらついた目付きではあった。

 この際殺されたってかまわないんだけど、あれはちょっと嫌だな……。


「はぁ……じゃあなんで僕を育てたんだよ……」

「敵を殺すにはまず味方に成り済ますことだ。当たり前だろう」

「外道かよ。そこまでするくらいだったら母体にいる時に殺してくれ」

「……洒落にならない冗談だな」


 メルクリオはため息をつくと、不服そうな表情を浮かべながらベットへと近づいてきた。



「……夢の俺はどうだった? かっこよく振舞っていたか?」

「なんか液体飲んでラリってたぞ。混血の血啜りながら心臓食らってたな」

「それ以外は?」

「いや……特には」

「……あぁ、()()()()()()()()()()()


 髪を指でクルクル巻きながら、視線を逸らして小さく呟いた。

 ほぼ同時に雲に覆われていた月が顔を見せ、優しい光がメルクリオの透き通るような碧色の瞳が煌めかせる。

 それこそ、宝石のように。

 美しいものほどトゲがあるのがこの世の摂理――。どんな秘密があるんだか。


 

「多少薬をキメなきゃお前を育てることなんて不可能さ。可愛いもんだ」

「えぇ……そんなに悪さしたつもりはなかったけど」

「まぁ、俺の怖さが分かってもらえればそれでいい。そんなこともあるってことさ」

「あったら困るんだけどな……」


 メルクリオは軽く笑うと、不意にしなやかな指で髪を撫でてきた。

 反射的にぞくっと身震いする。ランポみたいに撫でられるといろんな意味で怖いんだよ。

 ……だが、悪くはない。子供の時は良く撫でられていたからな。


「……何で触るんだよ」

「なんとなく、だな。他意はない」

「……別にいいんだけどさ、ちょっとまるくなった? ジャーダとも話してたし」

「あれは必要経費だ。()()()()()()()()()()()()


 わざとらしく最後の言葉を言った時だけ視線が不自然に動いた。

 暗に伝えたいのか、はたまた嘘が下手なのか……。メルクリオは流暢すぎる時もあるから全然分からないんだよな。



「どうせすぐに分かるだろうがな……」


 そう言い残して、メルクリオは部屋から去っていった。

 あの豪奢な宝飾の付いた髪留めを机に残したまま――

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