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底辺と呼ばれた魔術師が、最強のロリっ娘魔術師を育てることになりました。  作者: 南郷 兼史


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第二十七話 煙管

 メルクリオはしきりに辺りを見回している。

 相手がこんな雑な手を使ってくるはずがないと疑っているようだ。


「礼を言っても無視かよ……。いつものことだからいいけどさ。それより、この偽装鷹はどうする? 溶けた部分以外は――」

「偽装じゃない、間違いなく本物だ。この苗もオーロが使っている」


 その言葉にグランディは明らかに動揺していた。内容よりも、言葉を発したことに。

「はっ……へぇ……。俺は初めて見たぞ」

「おそらく、オスクリタが作ったものを改造したのだろう。……アルナシオンめ」


 バキバキッ、と魔鷹を踏みつけて砕いてしまった。

 その目には怒りと失意のようなものが見える。

 意図は分からない。だが、触れるべきではないとグランディは察した。


「……まぁ、材料になる部分だけ拾ってから帰るか。なぁ、メルクリオは――」



 ――そこに、メルクリオはいなかった。

 正確には、メルクリオとして成していた者はいなかった。

 ただ、おびただしい量の水銀が地面に流れているのみ。

 

「なるほどね。通りで喋ったわけだ(・・・・・・・・・)


*


「……魔鷹の消失確認。あの戦闘スタイルを見る限り、アルナシオン派の誰かがやったとしか思えない。雑すぎる」

 煙草を吹かしながらランポが推測する。

 ちなみに、ジャーダとアンヴィは呑気そうに追いかけっこをして遊んでいる。

 本気になったジャーダは……一瞬で視界から消えるほど速い。手加減しているようだけど、楽しんでいるからいいのかな。


「あの触手……デュンケルとアルナシオン派は繋がっているという証拠でもあるな」

「そういえば、アンヴィの父親も使っていた。気味悪いとは思っていたが」

「黒かったか?」

「あぁ、黒かった」

「触手には2パターンあることが確認されている。黒いのは攻撃と士気を下げるために、緑のは拷問と陵辱のために使うらしい」

「うわぁ……趣味悪いな。その拷問だけは勘弁だ」


 アルナシオンは一体何のプレイが好きなんだよ……。オスクリタより酷い奴だ。

 そう思いながら僕が死ぬ瞬間のことを考えている。嫌だな、どっちの派閥が処刑するんだろう……。


「ともかく、一旦危機は去った。殺されないように準備しておけよ」

 ランポは火種を残しつつ燃えカスを捨て、シャグを火皿に詰めた。

 そして、吹かしながら煙の出を調整している。

「……そんなに煙草ってうまいのか? 嗅いでいる感じだとそんなに良く思えないんだが」

「じゃあ、吸ってみる?」


 今吸っている黒の木目調のボディの煙管をそのまま渡してきた。

 少しうろたえたが、悪意はなさそうに見えたので試しに吸ってみる。


「――っ!? げほっげほっ……あ、熱っ……」

「そんな強く吸ったのか? 火傷するぞ」

「それ、早く言ってよ……」


 思いっきり肺に煙が入り込み、思わずむせ込んだ。

 味は……コーヒーと雑草を混ぜて薄めた味のようである。若干後味は甘い。

「煙管は口で吸うんだぞ? 肺に入れたらむせるに決まってるだろう」

「そんなこと言われても知らないよ……。まぁ、僕には向いてないことが分かった」


 煙管を返すと、すぐに吹かし始める。火種は消えやすいからな。



「ディマー! おへやであそびたい!」

 いきなりアンヴィがギュっと脚を抱いてきた。

 毎回頭の位置が気になってしまう……が、触れないでおこう。

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