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第十九話 傲慢

扉を開け、2人は驚愕した。扉の先にはリディがシャマールに鎌を振り下ろそうとしていたからだ。レイヴィアは慌てて2人の間に入り、ナイフで鎌を受け止める

「リディさん!どうしてここに?というか何してるんですか!?」

「邪魔しないで!こいつが!こいつが全部悪いのよ!」

レイヴィアが何度声をかけても、まるで聞こえていないようだった

雷封弾(サンダードミネイター)!」

レイヴィアはリディの顔の横すれすれに発砲した。顔の横を弾丸が掠めていき、驚いたリディはようやく攻撃の手を止めレイヴィアとの間に距離を取った

「......どうして邪魔をするの!?あなた達なら分かるでしょう!?彼もアイシスを苦しめたって!」

「どういうことですか?」

恐る恐るレイヴンが尋ねる。その問いに対しシャマールがこう答えた

「だから言っただろう。リディには気を付けろと」

そう言ってため息をついた。いまだ独り言を呟いているリディを無視し、シャマールはレイヴィアに拘束を解くように言う。レイヴィアはそれに従いシャマールの拘束を解いた

「......ヴィア!どうして拘束を解いたの!?彼を自由にさせたら復讐が完遂できないわ!」

「待ってください!そもそも最初からお父さんは復讐の対象じゃなかったじゃないですか!」

リディがレイヴィアの肩を掴む。刺された箇所が痛むのかレイヴィアは顔を歪ませた

「違う!違うのよ!アイシスは、シャマールを恨んでいるわ!私には分かる。だって、だって()()()()()()は彼をとても恨んでいたんだもの!!シャマールだけじゃない!マドカも、クラウディアのことも!アイシスは恨んでいたわ、殺したい程にね!」

あまりの迫力に、2人は言葉を失った。そんな中、シャマールはいたって冷静にリディの話を聞いていた

「......いい加減にしないか、リディ!それはお前の理想のアイシスだろう!?彼女はそんな人じゃない!!」

「私の理想?そんな訳ないじゃない!いい加減なこと言わないで!!私が、私こそが彼女の最大の理解者なのよ!?」

リディはさらに妄想を加速させていく。もはや誰であっても彼女を止めることはできない

「......リディ」

レイヴィアが彼女を呼ぶ。アイシスによく似たその声はリディの暴走を一時的と言えど止めることができた

「何?アイシス。あなたもそう思っているわよね?シャマールのことが死ぬほど憎いわよね!?」

「......ええ、そうね。憎いわ......とても憎い」

「だったら――」

「リディさん、あなたの事が何よりも憎いわ!!」

そう言ってレイヴィアはリディの胸元にナイフを突き立てた

「......え?あ...どう、して?レイ、ヴィア?」

「お母さんを一番苦しめていたのはあなただったんですね」

リディが息を飲む

「そんな訳、ないじゃない。だって――」

「アイシスはお前の望む姿を演じてただけなんだよ。いい加減認めろ。お前にとってアイシスは特別だったかもしれないが、アイシスにとってお前は友人の1人に過ぎないんだよ」

リディが力なく座り込む。彼女の目には絶望の色が浮かんでいる

「そんな、うそ......嘘よ。アイシスは優しくて、綺麗で、私の憧れで......それで、それで!いや、嫌よ!そんなの認めない!......死ね。私のアイシスを否定する奴は皆死ね!!」

そう言ってリディが鎌を振り下ろす

雷刻射(サンダータグショット)

レイヴィアが放った弾丸がリディの胸に命中した。そのままリディの懐に潜り込み弾が当たった箇所をナイフで斬り裂く

「あああああああああああ!!!!」

リディは咆哮を上げ、その場に倒れ込んだまま動かなくなった

「大丈夫か!?」

シャマールがレイヴィアに駆け寄る

「へーき。それより、クラウディアさんが会議室で寝てるからお願いしてもいい?少し疲れちゃった」

「分かった。あとのことは心配するな。俺が何とかしておくさ。今はゆっくり休みな」

それを聞いて安心したのかレイヴィアは穏やかな笑みを浮かべた

「......行こう、姉さん」

レイヴンはレイヴィアを担いだまま静かに地下を後にした

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