第十七話 再会
『調査記録』 最強な双子の弟
フランセン姉弟の弟の方。彼は15歳という若さで才能を開花させた。同年代、ましてや幹部クラスでないと彼以上に頭の切れる者はいない。また、実は姉よりも血の気が多い。
レイヴン・フランセン
性別は男、魔法属性は氷。元サルバート連邦軍中尉であり、現在は指名手配犯。年齢は18歳。
言わずと知れたアイシス・フランセンとシャマール・レドモンドの息子。
父親譲りの銀髪とほんのり青みがかった緑の瞳の少年。シャマール譲りの美貌とアイシス譲りの頭脳を持つ。表情の変化に乏しく基本的に無表情だが、姉レイヴィアといる時は喜怒哀楽がはっきりと見て取れる。
階段の先には扉があった。シャマールは緊張しているのか一度深呼吸し、ゆっくりと扉を開けた
「久しぶり、お父さん」
「久しぶり、父さん」
待っていた2人がほぼ同時にシャマールに声をかける
「ヴィア、レイ。久しぶり、元気にしてたかい?」
「まぁ、ぼちぼち?それなりに元気にやってるよ。それより、入ったら?」
扉の前で立ち尽くしているシャマールに、レイヴィアが入るよう促す
「あ...ああ、失礼させてもらうよ」
室内に入り2人と机を挟んで向かい合わせに座る。後ろめたさがあるのか、シャマールは2人と目を合わせようとせず、どこか落ち着かない様子だ。そんなシャマールに構わずレイヴンが、なぜ会いに来たのか問う
「それで、なぜ父さんは僕らに会いに来たんですか?」
レイヴンは疑うような目をシャマールに向ける
「疑うのも無理はないと思うが、これだけは信じて欲しい。今日は2人を軍に連れ戻すために来たわけじゃない。その証拠にここに来ることは誰にも伝えてない」
シャマールがそう弁明しても、レイヴンは疑いの目を向け続けている
「そんなの、どうやって信じろって――「分かった」
レイヴンの言葉を遮るようにレイヴィアが言う
「ちょっと姉さん!?なんで......」
「レイ、あなたの気持ちも分かってる。でも、お父さんはそんなくだらない嘘をつくような人じゃないでしょう?」
「......」
不満げな表情を浮かべてはいるが、一応納得してくれたらしく、レイヴンはそれ以上突っかかってはこなかった
「それで?お父さんは何しに来たの?ただ私達の顔を見に来て元気にしてるかどうか確認しに来た。ってわけじゃないでしょう?」
「......お前たちは本当に、アイシスの復讐を成し遂げるつもりなのか?」
シャマールが恐る恐る尋ねる。その問いにレイヴィアは迷うことなくこう答えた
「もちろん。ここまでやったのよ、もう引き返せない」
レイヴィアは曇りなき眼でシャマールを真っ直ぐ見つめる
「そうか...でも、もう充分なんじゃないか?これ以上犠牲者を出す必要も、お前たちが犠牲になる必要もない。3人で亡命して、海を渡ってどこか遠い国で暮らそうじゃないか」
シャマールは2人にそう提案した。が、2人が首を縦に振ることはなかった
「......とても、魅力的な提案だね。でも、ごめん。その案に乗ることはできない。さっき姉さんが言ってたけど、僕らはもう引き返せないとこまで来てしまったから。それに今更やめたら、ここまで助けてくれたリディさんに申し訳ないよ」
それを聞き、シャマールは悲しそうな笑みを浮かべる
「......そうか、それが2人が選んだ道なら、俺は何も言えないな。大丈夫だ、きっと2人なら上手くやれる。じゃあ、俺は帰る。今日はこの提案をしたかっただけなんだ」
そう言ってシャマールは席を立つ。帰り際、シャマールは2人にこう言い残した
「リディには気を付けろ。あいつのことを信用し過ぎるな。いいか?これは警告だ」
それを聞いた2人の目の色が変わる
「ちょっと、それってどういう......」
「それじゃあまた。次に会えるのを楽しみにしてるぞ」
レイヴィアが言い終わる前にシャマールは出て行ってしまった。ただの戯言のようにも思えるその言葉が、2人の心に引っかかっていた




