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第十四話 近況報告

『調査記録』 情報屋の主

サルバート連邦各地に”非公認”の情報屋は存在する。もちろん国に公認された情報屋もあるが、そちらを利用する場合、その情報をどのように使うのか開示しなくてはならない。それが厳しい人にとって、非公認の情報屋はうってつけだろう。また、非公認の情報屋は法律上では違法なため、表面上でバーやカフェなどを経営し、カモフラージュしている

中でもサルバート連邦の首都『ロークモラン』の外れにある『砂嵐』というバーは、『値段は高いが質が良い』のだとか。


ナタリー・カレラス

性別は女、魔法属性は火。非公認のバー(情報屋)『砂嵐』の主。年齢は51歳。

元フランセン王国軍の軍医で、国が滅んでからはロークモランでバーに扮した情報屋を経営しており、かなり好評だ。意外とちゃっかりしており依頼料を上乗せする事もあるが、確かな情報しか渡さないため、客に文句は言わせない。

性格としては、面倒見が良い姉御肌なため、レイヴィアから「おばあちゃんみたい」と言われてしまい、本人は内心かなりショックを受けていた。

アイシスとは軍医時代から縁があり、年は離れているが実の姉妹のように仲が良かった。フランセン王国軍から解放してくれたアイシスに恩義を感じており、またその恩を返せなかったことを後悔している。

2人が逃走してから早1ヶ月が経った。未だに見つかったという情報は出ていない。そんな中リディは、定例会議のためにサルバート連邦を訪れていた。会議は順調に進み2時間ほどで終了した。リディが帰り支度をしていると、すれ違いざまにシャマールからメモの切れ端を渡された。そこには『植物園で待ってる』と短く書かれていた。少し悩んだ末、リディは向かうことにした

「また呼び出してなんの用?」

シャマールを見つけるなり、リディがぶっきらぼうに言う

「単刀直入に聞こう。2人の逃走にお前は関わっているのか?」

シャマールが鋭い視線を向ける

「......さあ?どっちかしらね」

「まあ、どちらでも構わない。1つ頼みがあるんだ」

「......何?聞くだけ聞いてあげるわ」

リディは訝しむようにシャマールを見る

「2人に会わせて欲しい」

「何を言うかと思えば、そんなこと?他の幹部にでも頼めばいいじゃない」

リディはシャマールを鼻で笑う

「......秘密裏に会いたいんだ。出来れば誰にも、特に幹部の皆にはばれたくない」

「ふーん。まあ、いいわ。確かに私は2人の居場所を知ってる。案内してあげることも可能よ。だけど、会うかどうかは2人に決めてもらう。それでいいわね?」

「ああ、構わないよ」

それを聞き、リディは気を良くしたのかフッと微笑んだ

「じゃあ、また明日。露店街道で会いましょう。これが罠でないことを祈っているわ」

そう言い残し、リディは植物園を後にした


その日の夕方、リディは砂嵐を訪ねた。裏口から中に入ると、レイヴィアとレイヴンが出迎えた。ナタリーはどうやら仕事で席を外しているようだ

「久しぶりね、2人とも。調子はどう?」

「久しぶりです、リディさん!めっちゃ元気ですよ!」

そう言ってレイヴィアはリディに抱き着いた。その後ろから、少し申し訳なさそうにレイヴンが覗いている

「お久しぶりです、リディさん。色々と手助けしてくれてありがとうございます」

「良いのよ。少しでも役に立てたなら嬉しいわ」

そう言ってリディは2人の頭を撫でた

「さて、近況報告と行きましょうか」

3人は椅子に腰掛けた

「ナタリーから聞いたわ。ヴィア、怪我は大丈夫なの?」

リディが心配そうにレイヴィアに尋ねる。その質問にレイヴィアは、なんともないかのようにこう言った

「大丈夫ですよ~。少しずつだけど治ってきてるし!」

「それは良かったわ」

3人は軽い雑談をしながら、ここ1ヶ月で起きた出来事を話し合う

「うぅ~、頭こんがらがってきた。1回これまでの話、まとめません?」

「それもそうね。一度整理しましょうか」

そう言ってリディがメモ帳にこれまでの話をまとめ始めた

「まずは、軍務長官は2人いたってところかしら」

それに続くようにレイヴンが

「でもその内の1人、マドカ・シノノメはすでに死亡。これはかなり大きい収穫ですね」

それを聞き、レイヴィアが得意げな表情を見せる。続けてリディが

「そして、総帥もそれなりに怪我を負っている、と」

「総帥閣下に関しては、それなりの時間が経ってるから治ってそうではありますけどね」

レイヴンがそう一言付け加える

「それもそうね。これはあまり当てにならなそうかも。まあいいわ、次に行きましょう。黒幕は参謀総長か軍務長官アスカ・シノノメである可能性が高い、と」

「黒幕は多分、参謀総長だと思います。本人が言ってたし。まあ、どっちにせよ2人とも殺しますけど」

レイヴィアは真剣な表情でそう言った

「それが確実ね。最後にあなた達の捜索状況だけど、ペトゥロス帝国(うち)を含め何か国かに捜索の協力要請が来たわ。かなり本格的に捜索してるみたい。しばらくは外に出ない方が身のためね」

リディはそう言って真剣な顔で2人を見る。2人はコクリと頷いた

「それくらいかしら。他になにかある?」

「う~ん。情報とは違うけど、幹部ってやっぱり強いんだなって思いました」

少し俯きながらレイヴィアが言う

「正直、今の私達じゃ実力不足だと思う。だからリディさん、たまにでいいので私達を鍛えてくれませんか?」

「それは構わないのだけど、正直私もそこまで強くないのよ。そうね、ナタリーに頼めばいいわ。ああ見えて彼女、結構強いのよ?そうだわ、ついでだから今後の計画も話し合いましょうか」

「少し待ってて、ナタリーがいつ帰るか聞いてくる」と言い、リディは部屋を出て行った。数分でリディが戻って来た

「『シャミア』ちゃんに聞いてみたのだけど、『いつ帰るか分からない』と言われてしまったわ。時間も時間だし今日は帰ることにするわね。今後の計画については明日話し合いましょう」

シャミアとは2人を案内してくれた店員だ。ナタリーの娘にあたるらしい

「そうですか、ではまた明日。お気を付けて」

「あ、そうだ。シャマールが秘密裏にあなた達に会いたいと言っていたのだけど、どうする?」

「お父さんが?」

2人は顔を見合わせる。2人は少し話し合い、レイヴィアが覚悟を決めたようにこう言った

「会います!」

「......え?」

その答えを予想していなかったのか、リディが戸惑ったように声を漏らす

「わ、罠の可能性もあるのよ?本当に、会うの?」

その問いに間髪入れず、レイヴィアが答える

「お父さんはそんな卑怯なことをする人じゃない。だから、きっと大丈夫です」

「...そ、そう」

リディがたじろぐ。2人はリディの様子がおかしいことに気づき、心配そうに彼女を見る

「どうしたんですか?リディさん」

「いいえ、なんでもないわ。じゃあ、明日連れてくるわね。それじゃあ、私は帰るわ。ナタリーによろしく言っておいてちょうだい」

そう言って足早に部屋を出て行った。その様子を見て、2人は確信したようにお互いを見ていた

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