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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
五章

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第249話 強敵エレメントヒュドラ

「……酷い」


 シアンは口元に手を当てると、エルフの里の惨状にショックを受ける。


 建物は壊れ、さまざまな物が散乱している。


 燃えている建物や氷漬けになっている木々、風で切り裂かれた壁や、岩で押し潰された家がありその悲惨さを物語っている。


 離れた場所ではエレメントヒュドラが建物に首を突っ込み何やら物色している。人の気配はなく、生存者がいないのは明らかだった。


「酷すぎる……どうしてこんな……」


 青ざめ絶望するシアン。


『エレメントヒュドラが欲しているのは膨大な魔力。エルフの里にはそれがあったのだろう』


 ダキーニの言葉にピンとくる。ここには大量の触媒と魔導具が置かれていた。


 エレメンタルヒュドラはその臭いを辿ってここに引き寄せられたのだろう。


「シアン、大丈夫か?」


 ふらつく彼女の肩を抱く。


「これが落ち着いていられますかっ! 同胞が食われたんですよっ!」


 シアンは目に涙を浮かべるとそう叫んだ。


 その声に反応し、エレメントヒュドラが顔を上げる。


 五頭の首はそれぞれ赤・青・土・緑・白色をしていた。こちらに興味を持ち、獲物を狙うように十の瞳が俺たちを威圧してくる。


「お前が、エルフの里をこんなふうにしたのか?」


『GURURURURUU』


 涎を垂れ流し敵意を向けてくる。それだけで返答には十分だ。


「許さない!」


『クラウス、落ち着けっ!』


 俺は太陽剣を抜くと、地を蹴りエレメンタルヒュドラに不意打ちを加えた。


 ーーキンッーー


 直前で、炎を纏った首が間に入り攻撃を受ける。


 これまで、ほとんどのモンスターを両断してきた太陽剣だが、エレメントヒュドラの首に傷をつける程度に止まった。


「それなら、首が落ちるまで攻撃し続けてやるっ!」


 怒りに身を任せ、相手がついてこられない速度で飛び回り、いくつかの首に傷をつけていく。


「いけるっ!」


 こいつらに俺の動きを捉えることはできない。これなら時間をかければ倒すことが可能だ。


『GORURURUURURU‼︎』


 次の瞬間、白い首のエレメントヒュドラが叫ぶと、全体が輝きあっという間に俺が付けた傷が塞がってしまった。


「回復魔法まで使えるのか……」


 ダメージを与えた側から回復となると決め手がなくなってしまう。


 止まっている俺に、氷を纏った首と岩を纏った首が動くと氷と岩の魔法が射出される。完全な挟み撃ちに一瞬対処が遅れた。


 次の瞬間、白い光がそれらを掻き消した。


「ダキーニ。助かったよ」


『愚か者! 油断しているからだ!』


 どうやら、ダキーニの咆哮波で打ち消してくれたらしい。


「とにかく、あの回復魔法が厄介すぎる」


 いくらダメージを与えても回復されてしまうとどうしようもない。


 どうにか白い首が回復魔法を使うのを妨害する必要がある。


「その役目、私に任せてください!」


 シアンは胸に手を当てるとそう言った。


「精霊石で抵抗を減らしてやれば私の魅了で押さえ込むことができるはず。その間にクラウスさんが他の首を倒してください」


「でも、それをするにはあれに接近しないといけないんだぞ?」


 シアンの防御力ではかすっただけでも即死してしまう。


『兎人族の娘よ、我に乗ることを許可してやろう』


「ダキーニ?」


『重鈍な身体を持つあやつの攻撃など我に当たるはずもない』


 自分がシアンを白い首まで運ぶと言い出した。


「お願いしますっ!」


 他に手もない。


「ああもうっ! わかったよ!」


 俺を引き止める皆の気持ちがよく分かった。


 何か間違えば死ぬという状況がわかっているのに送り出すのは不安しかない。


「言っとくけど、まだシアンには言いたいことが山程あるんだからな? 絶対に死ぬんじゃないぞ?」


「ええ、私もクラウスさんには伝えたいことがあるので、死にません」


 俺の言葉に彼女は生き生きとした表情で返事をする。


 俺たちは二手に分かれるとエレメントヒュドラの気を引き始めた。

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