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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
五章

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第229話 調査報告

「なるほど、トリリアン地域でそんな現象が起きていたのね」


 俺たちが見てきたものについて報告をすると、エレオノーラさんは深刻な表情を浮かべた。


「スイレーンについては確かに報告が上がっているわ。これまでは気にしていなかったけど、水害の原因と考えて間違いなさそうね」


「問題はどうしてスイレーンが減ったのかという点と、グリーンムカデが異常成長したかです」


「グリーンムカデは小型の虫系モンスターを食糧にしているはずです。草食系モンスターではないですよ?」


 セリアがグリーンムカデの生態について説明をする。


『うむ、我も知っておるぞ。あの生き物は自分より小柄な生物を毒で動けなくして食べている。スイレーンを食べているのは見たことがない』


 セリアの言葉にダキーニが頷く。


「詳しいな」


 俺がボソリと呟くと、セリアはこちらを向いて言う。


「生理的に受け付けない存在なので」


 天敵だから調べたのだという。幼少のころ、セリアに虫系モンスターのトラウマを与えてしまったのは俺だが、申し訳ないことをしたと思う。


「そういえば、あの時セリア何か言いかけてなかったっけ?」


 ふと思い出すと、俺は彼女が何を言おうとしていたのか気になった。


「何でしょう? あまりにも悍ましい光景を見てしまったので、記憶が曖昧なんですが?」


 質問をするも、セリアは覚えていない様子だ。まあ、今は報告の最中なので後で思い出したらでいいか……。


「それよりも、今後どうするかについて話しましょう!」


 横道にそれそうになったところで、シアンが本題に戻す。


「だが、今わかっていることはグリーンムカデが異常発生しているということくらいだろ?」


 ガリウスさんが状況について確認をする。


「グリーンムカデは通常の個体よりも巨大化していたわ。その原因も調べないと……」


 メリッサがそう言うのだが、


『おそらくは瘴気を吸ったからだろうな』


 ダキーニが俺に原因について話してきた。


『かつて、過去に邪なる神と聖なる神がこの地の上空で争ったことがある。その際、邪なる神は傷を負い、その血が森に降り注いだのだ』


 皆が話し合いをするのを見ながら、俺はダキーニの語りに耳を傾ける。


『そして、その血を浴びた土地は瘴気を発するようになってしまった』


 神話における、邪神と女神の戦いにあたるくだりだ。女神ミューズからに聞いていた話と一致する部分がある。


『瘴気を吸った邪精霊や肥大化したモンスターがこの地に災害をもたらす』


「だとしても、そう都合よく瘴気なんて発生するんだろうか?」


 皆が会議を続ける間、俺はダキーニに小声で話し掛けた。


『おそらくは、これまであの地に発生していた瘴気をスイレーンが吸っていたのだろう』


 ダキーニは続けて言う。


『我はグリーンムカデの身体に瘴気の臭いを感じた。スイレーンが減少したことにより発生する瘴気を抑えきれず、それを吸ったグリーンムカデが異常成長したのであろう』


 それならば辻褄が合う。ダキーニの説が正しいとすれば、後はスイレーンが減少した原因を突き止めれば解決する。


「もしかすると、秘境や魔境に強力なモンスターが現れるのって?」


 ふと疑問に思ったので口にする。


『うむ、モンスターが瘴気をさらに取り込むと強力な個体になるからだな』


 やたらと詳しい小虎に俺は感心する。各地で発生していることの原因も瘴気らしい。


 女神ミューズからは他国の秘境にいるモンスターも討伐して欲しいと頼まれている。今回の件もそれに当たるだろう。


「ひとまず、グリーンムカデの討伐隊を編成しなければならないわね」


 これ以上被害が拡大するのはまずいと考えたエレオノーラさんはそういった。


「そちらの部隊に関しては狼人族で請け負おう。狩りといえば虎人族も猫人族も嫌とは言わないだろう」


 ガリウスさんがそう言った。


「獣人族はそれぞれが役割分担をしているの。狩りや戦は狼人族・虎人族・猫人族が担当ね」


 メリッサがサイラス内での部族の役割分担について教えてくれる。


「問題は、スイレーンですがどうしましょう?」


 モンスターの駆除に関しては目処がついた。


 ガリウスさんは早速編成をするために出て行ったので、残ったメンバーで考えなければならない。


「スイレーンの種は倉庫にしまってあるわ。だけど、あれは発芽させるのに時間がかかるのよ」


『スイレーンは魔力や瘴気を吸い取り成長するという特性がある。魔力濃度が豊富な土地でなければそう簡単に育つものではない』


 エレオノーラさんの言葉を補足するようにダキーニが告げる。


「ダキーニ、お前なら何とかできないのか?」


 俺はこっそりとダキーニに話し掛けた。これまでの言動からして、森について詳しいことがわかる。


 それなら何らかの対策を打てるのではないか?


『スイレーンの種子に波長を合わせて力を注ぎ込むことができればあるいは……』


 その言葉を聞いた俺は、あるアイデアが浮かぶ。


 これまで試したことはないのだが、理屈の上では可能なのではないかと考えた。


「ひとまず、周辺の集落に警告を出して避難をさせるしか……」


 エレオノーラさんとシアンを中心に獣人を避難させる方法について話し合いをしているのだが……。


「もしかすると、何とかできるかもしれません」


 俺は彼女たちに向けてそう言うのだった。

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