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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
五章

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第209話 国境沿いのホテルに到着

「今日はここまでだね」


 予想外な事態こそあったものの、俺たちは無事に国境に到着すると宿に馬車を停めた。


「お疲れ様、キャロル」


「お疲れ様です、キャロルさん」


 メリッサとセリアがキャロルを労う。一日中馬車を動かしたので大変そうだった。


「後は身分証の確認が済んだらサイラスに入国できるわ」


 宿に到着する前に、詰め所に立ち寄り身分証を提示してある。俺もメリッサも貴族なので、簡単な確認で通れるはず。明日の朝には問題なく出発できるだろう。


 馬車から荷物を荷物を下ろし、受付でチェックインを済ませる。


 この宿は貴族御用達の宿で、人気も高いので予約するのが大変らしい。


 今回はシルバーフォード伯爵家の名前で最上階のスイートルームを予約しているのだという。


「凄い宿ですね!」


 セリアは物珍しそうに周囲をキョロキョロと見る。


 天井にはクリスタル製のシャンデリアが飾られており、魔導具の光が降り注いでいる。あれひとつで一体いくらかかっているのかが気になった。


「ここなら、妙な輩に絡まれる心配もないし、ベッドも柔らかいからゆっくり休むことができるわよ」


 国境ともなると様々な人間が集まる。中にはタチの悪い者や犯罪者もいるので、金をかけてでもこういう場所に泊まった方が快適にすごすことができる。


 だが、自然な様子をみせるメリッサとキャロルに対し、こういう場所に寝泊まりしたことがない俺とセリアは若干落ち着かなかったりする。


「クラウス、何をソワソワしている?」


 そんな俺を見咎めたキャロルが首を傾げる。


「普段は誰かしら側にいるからさ、従魔と離れて物足りないというか……」


 いつも周囲に従魔が飛び回っているので静かすぎて逆に落ち着かない。


「わかります。屋敷では常にフェニちゃんたちが側にいましたからね」


 どうやらセリアも同じ思いだったらしく、苦笑いを浮かべた。


「部屋はクラウスが一人と、私たちは三人部屋を予約してあるけど、そんな状態で平気なの?」


 旅行のメンバーが男一人に女三人だったので、こうなることはわかっていた。俺はメリッサの言葉に頷くのだが……。


「兄さん、寂しくなったらお邪魔していいですか?」


 セリアはそういうと不安そうな表情を浮かべる。


「それは構わないが……」


 普段ならよいが、ここにはメリッサもいる。


「まだ半日しか経ってないのにホームシックだなんて情けない」


 彼女は呆れた表情でセリアを咎めた。


「し、仕方ないじゃないですか! 旅先ではいつも兄さんと一緒だったんですから!」


 王都に向かう際も同じ部屋に泊まったし、夜不安になりベッドに潜り込んでくることもあった。


 一見するとしっかりして見えるセリアもまだまだ兄離れができていないのだ。


「メリッサ、この荷物部屋に運んでいい?」


 そんなやりとりをしている間にも、キャロルはテキパキと動き、木箱を持ち上げていた。


「それ、シャーロットからもらった化粧用品が入ってるので慎重にお願いね」


 そういえば出発前にそのような荷物を積み込んでたと思ったが、化粧品だったらしい。


「そんな物を旅先まで持ってきたのか?」


 他のタイミングで受け渡しすれば良いのにと俺が考えていると……。


「この前のパーティーでシャーロットの肌のきめ細かさが話題になったの。それで融通してもらう約束してたんだけどね、予定がなかなか合わなくて今日になったのよ」


 俺は事情を聞いて納得した。


「確かに、シャーロットさんって綺麗ですもんね。どんな化粧品なのか私も興味があります」


「この後、お湯で汗を流したら試すつもりなの。セリアも一緒にやりましょう」

 セリアの不安は吹き飛び、メリッサと仲良く話をしている。お洒落について語るセリアはどこか楽しそうだった。


「それじゃあ、夕飯の時間まで自由に過ごすってことで」


 三人が部屋へと向かうのを見送ると……。


「困ったな、本気で何をしていいかわからないぞ?」


 一人部屋を当てがわれ、話し相手すらいない現状でどうして良いかわからず、俺は首を傾げるのだった。

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