第208話 姿が見えないロック
【クラウスたちがサイラスに向かってから半日後】
「皆さーん。そろそろ屋敷に戻りますよーーー!」
シャーロットはクラウスから預かった従魔を集めご飯を与えようと考えていた。
ボイル伯爵家では従魔にもきちんとした躾を行っている。
人間と同じようにルールを設け、やっては駄目なことは駄目と教育を施す。
人類とモンスターが共存できるかどうか、テイマーという立場が確立されるかという評価を下される状況だったので、その辺りが厳しいのだ。
『ピピィ!!』『キュピ!!』
だが、それは従魔を締め付けるためではなく全員が幸せになるためのもので、事実、ボイル伯爵家に棲むモンスターたちは窮屈に感じていなかった。
『…………コクゥ!』『…………♪♪♪』
「今日は皆さんの歓迎会ということで御馳走を用意してますからね」
そんな環境で育ったシャーロットは従魔に優しく笑い掛けるのだが…………。
「あら? ロックさんがいらっしゃらないですね?」
どの従魔もシャーロットに懐いているので、呼べば来るはずなのだが一向に姿を現さない。
「誰か、プチゴーレムのロックさんを見かけませんでしたか?」
不思議に思ったシャーロットは使用人に確認してみるが誰もが首を横に振った。
「変……ですね……?」
シャーロットは口元に手を当てると不思議そうな表情を浮かべ、庭を歩き回りロックを探す。
ロックの臆病な性格は彼女も把握しており、もしかすると岩の間に挟まって出られなくなっているのではないかと想像した。
『キュキュキュキュキュ?』
「あら、スクワール。そこにいたのですね?」
普段、屋敷で過ごしている間は自分の肩にいるジュエルビーストの従魔が今日は新しい仲間がきたことではしゃいでいたのは目撃している。
「あなた、ロックさんを知りませんか?」
テイマーはパスを通して従魔とある程度意識の疎通をすることが可能。ロックのことを気に入っているスクワールならばどこにいるか知っているかもしれない。シャーロットはそう考えるのだが……。
『キュキュキュキュ?』
スクワールは首を傾げると、地面にある物に夢中になってしまう。
「そろそろ日が暮れるので屋敷に入れたいんですけど……って、スクワールそれ……?」
頬に手を当て悩んでいたシャーロットだが、スクワールの目の前に転がっている球体に気付き表情をこわばらせた。
その球体はロックの身体についていた鉱石と色が同じだったからだ。
「もしかして…………食べっ……!」
彼女は血の気が引くと呆然と立ち尽くすのだった。




