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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
五章

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第207話 いざサイラスへ出発!

「それじゃあ、いいこにしてるんだぞ?」


 俺は膝をつくと従魔たちに声を掛ける。


『キュピピィ!』『ピピッ!』『…………♪』『…………コクッ』『…………(震)』


 ここはボイル伯爵家の庭で、俺とセリアはこれから旅行に出かけることになる。


 従魔を連れていくわけにもいかず、こうしてボイル伯爵家に預けにきたというわけだ。


「皆、シャーロット様のいうことをちゃんと聞くんですよ?」


 セリアも従魔たちに言い含めていた。従魔たちも彼女の言うことには絶対従うので、これで大丈夫だろう。


 従魔たちは俺の時よりもキリッとした表情を浮かべ頷いていた。


「しかし、本当によかったのか?」


 俺はシャーロットに声を掛けた。


「スカーレットもおりますし、当家の使用人は従魔にも慣れているので大丈夫ですよ」


 ダグラスさんが「任せておけ」というから甘えてしまったのだが、流石に従魔六匹も面倒見てもらうのは心苦しくもある。


「それより、せっかくのサイラス旅行なのですから、楽しんできてくださいね」

 後ろ髪引かれる思いの俺を後押しするつもりなのか、シャーロットはそんな言葉を掛けて笑って見せた。


「早速、仲良くなったみたいですね」


 庭を見ると、ボイル家の従魔と俺の従魔が交流を始めている。


 ネージュはスカーレットの頭に乗り昼寝を始めているし、コク&リコは庭の岩陰で寝ているし、フェニやパープルは他の従魔に積極的に話し掛けている。


『…………(逃亡)』『キュキュキュ』


 目の前をものすごい勢いでロックが走り抜けていった。スクワールが後を追い、二匹はあっという間に姿が見えなくなる。


「どうやら、スクワールはロックさんのことが気に入ったようですね」


 表情こそ変わらないが、ロックは自己最高速度を出していた。おそらく必死に逃げているに違いない。


「いや……あれは……」


 スクワールはロックの身体についている鉱石に興味を持っているに違いない。そう言おうとするのだが……。


「ん?」


 心の底から仲が良いと信じているシャーロットの笑顔に黙り込む。


「いや、何でもない」


 ロックには戻ったら労いの言葉を掛けてやろう。そう考えていると……。


「クラウス様に一つお願いしてもよろしいでしょうか?」


「ん、何だ?」


 見送りに来てくれたロレインが神妙な面持ちで顔を近付けてくる。何やら疲労が溜まっている様子。


「もしうちのギルドマスターに会うことがあれば、こちらの手紙を渡してください」


 俺は彼女から手紙を受け取ると、そういえばタバサさんがまだ戻っていないことを思い出した。


 タバサさんはエレオノーラさんやノックスさんとともにサイラスに向かってしまい、そろそろ二ヶ月が経つ。その間、錬金術師ギルドの雑務を取り仕切っているのはロレインだ。


「あの……クズ」


 ロレインの口から彼女らしからぬ言葉が漏れる。本人は無意識での発言らしく、表情一つ動かさない。


「わ、わかった、渡しておくよ」


 俺は内心で冷や汗をかきながらもロレインにそう返事をした。


「ロレインさんは何と?」


 セリアが彼女の唇を見ていたのか俺に聞いてきた。


「お前は知らないほうがいい」


 セリアが首を傾げるが、妹の耳にあのような言葉を入れるわけにはいかない。


「あ、いましたね。クラウス」


 何かと思えば、オリビア王女が姿を現し、その場にいる皆が彼女を見て固まる。


「セリアさんでしたね? 編入試験合格おめでとう。こうして直接祝いの言葉を言えて嬉しいわ」


「め、めめめめ、滅相もございません!」


 国のトップから声を掛けられて、旅行気分で浮かれていたセリアは真っ青な顔をした。


「あわわわわ、お姫様。本物だよ⁉︎」


「ルシア、失礼ですよ⁉︎」


 ルシアは慌てふためくと、あちらこちらに視線をやり結局自分の口に手をやり無言を貫き始めた。


「非公式の場ですから、そんなにかしこまる必要はありません」


 そんなルシアにオリビア王女は微笑みかけた。


「オリビア様。本日は御機嫌麗しゅう存じ上げます」


 シャーロットは普段通り、完璧な淑女の姿勢を保っている。彼女が取り乱す場面など……数度は見たことがあったな。


 俺がよからぬことを考えたいたのがわかったのか、シャーロットがこちらに意識を向ける気配を感じる。


「オリビア様、もしかして見送りに来てくださったのですか?」


 出発時間を聞かれたので、時間と場所を答えておいたのだがまさか見送りにくるとは思わなかったからだ。


「それもありますが、どうせサイラスに行くのなら、親書を届けて欲しいと父上から言われたのですよ」


 キングス四世の指示できたらしい。確かに、サイラスのエレオノーラさんに会う約束もあるのでちょうどいいのだろう。


「ええ、大丈夫ですよ」


 俺は彼女から親書を受け取るとマジックバッグに仕舞った。


「さて、クラウス。貴方にとって初の国外訪問になるわけですが」


 出発前に心構えを与えてくれるのかと思い、直立の姿勢をとった。


「仕事のことは私に任せて、家族を大事にして旅行を目一杯楽しんでくるのですよ」


 彼女は俺たちが気持ち良く旅行に行けるようにそう命令する。


「その命令承ります」


 俺は敬礼をすると彼女の命令を遵守すると誓う。


「失礼、メリッサ様が到着しました」


 ちょうど時間になったからか、メリッサが到着する。


「メリッサ様に渡す物がありますので運び込んでおいてください」


 シャーロットが執事にそう言うと、彼は用意してあった木箱を馬車へと積み込んだ。


「それじゃあ、皆。良い子にしてるんだぞ?」


 そろそろ出発なので最後に全員の顔を見るのだが……。


『ピィ!』『キュピ』『…………♪』『…………コクッ!』


 ロックの姿が見えないが今もスクワールから逃げているのだろう。最後に姿を見たかったのだが残念だ。


「クラウス行くわよ」


 ルシアやロレインと挨拶をしたメリッサが呼ぶので、俺たちは彼女が待つ馬車へと乗り込むのだった。

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