召喚2 ホワイト公爵家での日々1〜まだ俺にも希望は……あ‥〜
遂に主人公・春間還は、召喚の間から出ることができた。
そして、ホワイト公爵家の者たちと出会うことになる。
彼は、この世界のことを知り何を思ったのか。
オリジナルファンタジー第3話。
*今回から登場する執事の見た目は、白髪の老執事。
身長は180cm、翠眼、優しい顔、70歳。
少年は、目の前にある大きな扉を開こうと必死になる
「はあぁ〜もうダメだぁ〜」
バタン!
そんなことを言い俺は床に倒れ込んだ。
「クソ‥冷てぇな…」ここは石で出来ている。
当たり前のことだ。
だがそれすらも考えられない程、俺は疲れていた。必死だった。
「‥そうか俺…死ぬのか……こんなところで…こんな人生で何も出来ないまま」
いや違う俺は、何も出来なかったんじゃない、今まで何もしてこなかっただけだ。
そんな事とっくにわかっていたはずなのに
ぽろ……ぽろ‥「‥くうっ…うぅなんで泣いてんだよ」
「何も‥謝罪すらできてないくせに…」
もうこの世界にはいない家族のことを思い浮かべる
実は兄兄俺妹妹弟の6兄弟で、父に母の大家族だ。
その真ん中だったからなのか、こんな中途半端な人間になってしまった。
自分の意思とは裏腹に、視界が滲み、溢れ出す
何も出来なかった自分の悔しさに、少しの間涙が溢れ続けた
「もう……つかれたな」
眠ろうとすると、ギィィと聞き覚えのない音がした
すでに諦めたはずなのに、
音に呼応し、力を込め立ち上がる
「‥まさか…そんなわけ……」
言動と行動が一致することなく、扉へ駆け寄る
この大きな扉を、ただがむしゃらに押す
「開けぇぇぇ!」確実に今まで生きてきた中で、一番の意気込み、全力だっただろう
ギィィィィ……!…バン!あいた‥開いた!
「‥ついに…出れた!出られたんだ!……」
「生きててよかったぁぁ…」
俺は、喜びと安心のあまり、周りが見えていなかった
当然、この扉の前に人がいたことも。
そこには、長い銀色の髪にクリクリとした眼
白色のワンピースを纏う、可愛らしい少女がいた。
「ビックリしたぁーあなたはいったい誰?なんでここから出てきたの?」
少女は、至極真っ当な質問をする
俺は正直に
「あぁ俺は春間だ。気づいた時にはここにいて、自分でも何が何だか…」召喚の間を指差しながら
「ハルマ?へぇもしかして召喚が成功してたのかな?」
「その‥俺からも聞いていいか?君は誰でここはいったい何処なんだ!」
こちらからも聞きたいことをこの少女に問いただす
「う〜んとねぇなんて言えばいいんだろう。ここはジハン王国の東側の地域になるんだけど…あっ‥ちなみにここは四大公爵家のホワイト家でねー……」
要約すると、この少女の名前はクリス(11才)というらしい
それにジハン王国?四大公爵家?全く聞き覚えのない単語を聞いたことで、俺はここが異世界なのだと確信した
ぐぅ〜俺はとても飢えていて変なことを言ってしまった。
「実は俺二日間は何も口にしてなくて、そのぉ‥できれば食べ物を恵んでくれませんかねぇ?」へらぁ
引き攣った笑いで今年の冬に成人(18)にもなる男が、女性(しかも年下)にこんなことを言うのは流石に酷かったようだ。
「えぇ‥いいわよ…」クリスは苦笑いをしながら返事をして、食糧庫に案内してくれるらしい。
こ…心苦しい限りです
「あっあそこが食糧庫よ」そうクリスが口にすると
その時、この長い廊下の前から
「あれは…執事さん?」一人の老執事?がやってくる。
ッドカ!?俺は瞬きをする‥目の前には床?何が起こったのかわからない。その刹那の瞬間に俺は取り押さえられていた。
「ご無事ですか!クリスお嬢‥様?」
気づいた時にはもう遅かったようだ
「もう!何してるのよ!その人は……」タタッ‥
あれ?…もう一人誰かが来たような……
「だい…‥ょうぶ‥で‥か!せ…じん‥ま!」
ダメだ…意識が‥なくなって………………
数分前‥
ダダダッ!「ハァァァァァ!」私アリア・ホワイトは現在王城から東に200キロ程のホワイト家へ、走りで向かっています。(時速90キロ)
そして2時間走り続けてやっと着けそうです。
あははは?
そんなことを考えているうちにホワイト公爵家領地に到着。早速、最速(90キロ)で召喚の間を見に行く。
「えっ!まさか!?クリスか!」
アリアが来た時、召喚の間は開いていた。
「くそ!こうなったら、アレをやるしかない!」
アリアは神力を目に込めて、クリスの体から漏れ出ていた神力を辿って小走りで廊下を進む。
「もう!何してるのよ!その人は狂信徒じゃないってぇ〜」そのようなクリスの声が聞こえ、視界に入る。
執事に取り押さえられている少し癖のある黒髪の、少年も。
「すぐにその方を離しなさい!その方は異世界からやってきたお方です!」
焦りながら、執事とクリスに言葉を発する。
「この方が例の…クリス様どうして知らせてくださらなかったのですか?」
「言おうとしたわよ!でも急にあなたが手を出すから!」
そんな会話をし、執事が少年を離すと、
「大丈夫ですか!聖人様!」アリアが声を掛けるが、
彼はとうに意識を失っていた。
アリア含む三人は、少年を一階の空き部屋へ連れて行き、ベッドに丁寧に寝かせた。
「はぁ…これからどうしましょう」
そして、波乱の一日が過ぎる。
……パチッ「知らない天井だ…本当に異世界に来たんだな‥」俺はそんなことを言いながら、ベッドから起き上がって、この部屋を出た。
なに!…扉の前には、黒髪ショート青眼クール系美人メイドがいるではないか!
「お目覚めになりましたか?聖人様。性急ですが、食卓まで来ていただくことは出来ますでしょうか?」
俺は元気に答える。「はい!勿論です!」
美人メイドさんを目の当たりにし、ついついテンションが上がってしまった。
あれっそういえば俺の服装変わってないか?
病衣?を着ていた。
歩きながら問いかける
「あの…」
「私のことは、ヘレンとお呼びください。」
どう呼べばいいか、迷っているのに気づいたようだ。
さすが本物のメイドさんだ!あと美人だ!
「はい‥ヘレンさん。俺が寝ている間に服変えましたか?」
「はいそうですね。服のお着替えと、お身体には治癒を施してあります。」まさか‥!
ヘレンさんあなたが!?
「どちらも私ではありませんが。」
はは‥ですよねー分かってました。
ヘレンさんと俺が楽しく?話している間に食卓に到着した。
キィィィィ扉を開け、食卓の席に座る ストンッ
そこには、先日お世話になったクリスと、クリスに似ている(?)長い金色の髪、瞳をもつ美しい女性が、
さらには、俺を取り押さえた'dark suit‥否…white suit'(イケボ)を身に纏う高身長の老執事まで。
俺が老執事を見ていた(べ‥べつにビビってなんかないんだからね?)のに気づいた(?)女性が、
「先日のことは誠に申し訳ございませんでした。私はアリアと申します。失礼ながらあなた様のお名前をお聞きしたいのですが。」
それを聞いていたクリスが、「…ハルマ?だよね?」
対して俺は頷きながら、「俺の名前は春間還実は、ハルマは名字でカエルが本名なんだ。」そう答えると、
「カエル?ゲコゲコ?」とクリスが不思議そうな顔をした。
「そうなんだよ。あの両生類の蛙と同じ名前なんだよなぁ〜」
この名前のせいで何度いじられたことか。
なので俺はいつも名字で答えるようにしていた
だがクリスは
「わたし蛙大好きだよ。可愛い名前だね。これからカエルって呼んでいい?」
それを聞いて俺は
「ありがとうクリス、勿論だ!」
喜びを隠せず、笑顔になっていた。
クリスと二人で会話をしていると
「改めて謝罪させてください。ハルマ・カエル様。」
『この度は‥本当に申し訳ありませんでした!』
アリアさんと執事さん、クリスにヘレンさんまでもが、真剣な面差しで謝罪をしてきた。
「大丈夫ですもう気にしてません。それに俺に謝罪なんかいいですよ‥」
「それよりも…この世界について教えてほしいなぁ〜なんつって!」少し照れながら答える。
そう、本当にもう俺がここに召喚されたことなど気にしていない。
「ふふ‥そうですね…心遣いありがとうございます。ではこの世界、聖人召喚について私なりに説明させていただきますね。」
彼女は笑顔で答えた。
俺はむしろあの召喚の間で、こんな自分自身を見つめ直せたことに、感謝すらしたい気分だった。
この気持ちは決して嘘じゃない。
…アリアさんから、この世界について説明される
「初めに私たちがいる星についてですが、ガイアスと呼ばれています。ガイアスには、主に人類(獣人なども含む)が住んでいる四つの大陸、地図で表すと西からフリカ大陸、ラシア大陸、アメルカ大陸、メルリカ大陸、そして北と南には人類が暮らすには適していない神大陸、魔大陸の二つが存在します。」
う〜んじゃあここは何大陸なんだろう?
あと明らかに神大陸と魔大陸がやばいことだけは分かる。
「ここは何大陸なんですか?」
「はい、ここはラシア大陸ですね。西から2番目の大陸で、その大陸を縦に分け右に聖王国、左にジハン王国という感じです。さらにジハン王国を東西南北に分けると、ホワイト公爵家の領地は東にあることになります。」
ふむふむ‥俺がいるのは、ラシア大陸のジハン王国の東側か。
さらに東に行けば聖王国があるから、国境(?)になる。
じゃあホワイト家ってかなり重要な位置にあるよな?
「北にはレッド公爵家、西はブラック公爵家、南のブルー公爵家、中心に王家・王城があります。」
へぇしかも公爵家は四つもあるのか、ファンタジー系を読む俺からしたら珍しいな。
それでも、中心に王都があるのは定番だし、守りも盤石だろうし、安心だな!
「この世界の大まかな地理については大丈夫でしょうか?」
おっと!つい考え込んでしまい心配させたようだ。
「大丈夫ですよ、地理はだいたい分かりましたから。それにさっきから聖人召喚(?)ってのが実は気になって仕方ないんです!」
聖人召喚とか言う、何故か厨二心を燻るような響きに興奮を抑えきれない。
あっいやっ!別に厨二病ではないんだからねっ!(焦)
「‥そうでしたか…では聖人召喚の話をしましょうかまず聖人召喚とは数十年から数百年に一度召喚の間を活用して、異なる世界からこの世界を良い方向へ導く可能性の高い人物を呼び寄せる儀式のことです」
「今回の聖人召喚は王家からの命で四大公爵家で行われ、唯一ホワイト家は失敗したんです」
えっ!失敗?
「なので‥ハルマ様が召喚の間にいたことは、本来ありえないことで、私たちにも何故召喚されたのか分からないのです」
だから俺‥召喚の間に閉じ込められたのか
でもなんで扉が開いたんだ?
「じゃあなんで急に扉が開いたんですかね?」
疑問をぶつけると
「わたしが開けたんだよ」
クリスが?確かに扉の前にいたし‥
でも俺が全力で押しても開かなかったのに?
「あのとびらね、公爵家の直系じゃないと開けられないようになってるんだよ」
そうだったのか!?
「俺‥クリスに助けられたんだな でもそんな事どうやって…」
「召喚の間には公爵家直系の神力でないと、開けられない鍵のようなものがあるんです。」
「あぁ‥神力と言うのは奇跡‥いわゆるそちらの世界でいう魔法のようなものを行使したり、生命を維持するのに必要なこの世界の誰もが保有している力のことです。」
魔法じゃなく奇跡…それに神力か‥
「俺にもその神力ってのがあるんですか?」
「少し待っていてくださいね……では見てみます!」
見る?これも神力の効果かな?
もし神力が多かったら凄いのか?これは楽しみだ!
「こっ…こんなことって!……」
きっ‥キター!この展開はチート系のヤツだ!
「…ハルマ様の神力なのですが………」こい!こい!
「全くありません……」
はあ…はあぁぁぁ!?
全く?全くないってなんだ?つまり俺の神力は
0って事かあぁぁぁ!!……終わった…
「私も驚きました!まさか器すらないとは、やはり私たちが召喚したわけでは無いようです。
召喚の間で召喚された方達は通常、こちらの世界に来る際、唯一神様から神力の器と天啓などを授かるはずですから」
っはあ‥天啓?天啓なんてのがあるのか?
まだ俺にも希望はあ……
「ハルマ様に神力が無いということは、勿論天啓も無いでしょう」
‥る……
「‥う‥…嘘だ……」
「天啓は神力を使用するものがほとんどですから」
お……追い討ちを…かけないでくれ(ガクッ)
「ははは…安心してくださいホワイト家はハルマ様の身分を保証します。ハルマ様の身に危険が及ばないように今までの事は、世間に公表しません。」
「ですがホワイト家では、客人として扱い世間にバレないようにクリスの執事見習いとしても暮らしてもらおうと思っているんです。如何でしょうか?」
「は…はい……もうそれでいいです…」落ち込んだまま俺は軽く返事をして
「で…では…朝食にしましょうか?」
朝食を食べ始める。
主にパン、スープ、果物の豪華な朝食!
3日ぶりの食事にジーンと来てしまった…うまい…うまい……
‥ふふふっハルマ様は悪い方では無いようですね
「昼食や大浴場も凄かったな…」
昼食の後、黒の執事服を貰ったがコレを着るのは、元引きこもりとしては恥ずかしいな‥はは
夜になり今朝目覚めた部屋で自分の荷物を確認する
空のペットボトルと、現金少々、それに
「あれっ!本が無い?召喚前に落としたのか…」
「‥白と黒の鈴もない?なんで銀の鈴があるんだ?」
絶対におかしいが、召喚されるほうがおかしいのだからこれ以上考えるのは無意味‥か
ポイッ チリン
でも、なんかホワイト家に違和感を感じるんだよな?
「まぁいっか?もう寝よ」
これからどうなるのかをつい考えながら寝てしまう
こっちの世界では…ちゃんと生きれるか……な…zzz
……「これで……つい…に…せ…い…を……!…」
「…わ…‥し…あな…を‥わす…ま…せ……」
続く…………
彼は懐かしいような悲しいような夢を見た。




