20.二度目の町
★☆★ おっさんデブータ視点 ★☆★
よくわからないうちに、あと数日だけアデラと暮らすことになった。
多分だけど、こういう時には逆らっちゃいけない。
なぜ怒っているのかわからないのに、謝るなんて相手を馬鹿にしてるしな。つまりは謝罪と反省は態度で示すしかない。それが正しいのだ。
不細工でデブなオッサンと一緒にいるのは辛かろうと思うんだけど、本人がそうしたいというのなら避けられない。
俺の方は別に構わないしな。ちょいと面倒だけど。
幸運なことに台所と納屋はほとんど無事だったので、食料は豊富だし、売れる物もかなり残っていた。
まずは武器、これをかき集めて町まで運ぼう。
丸太を振り回した関係で、弓はほとんどが折れて使い物になりそうにない。
でも槍は穂先が無事だったし、柄が綺麗に残っている物も多い。剣なんて、鞘ごと捨てられた物のほうが多いぐらいだ。
よっぽど焦って逃げ出したんだろうね。
二人で武器を山ほど背負って山を下り始めたころには、アデラの機嫌はかなり戻っていた。
わかってる、まだ軽口なんて叩いちゃいけないぞ。
まずはしっかり働くこと、それが大切だ!
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
この男、本当に人の心があるのかしら?
何も言わずに私の、自分の家を焼いた元凶の言葉に従って、てきぱきと働くデブータを見ていると、なんだか少し心配になってくる。
ああ、もう! 深く考えるのはやめよう。
まずは物を売りに行く。それで私の考えが合っているのか間違っているのか、それがはっきりするはずだ。
今日は武器屋。
「私が一人で入るわ。デブータ、あなたは外で待っていてくれない?」
「わかった、任せる」
任せてくれるのは良いけれど、正直ちょっと拍子抜けする。
おっといけない、ここからは真面目にいかないと。
女が物を売りに行けば足元を見られて買い叩かれる。これが基本形。
でもすぐ後ろに男の影があればどうなる? また女が物の価値をしっかり押さえていれば?
「こんにちは、武器を売りに来たんだけど、見て貰って良いですか?」
「いらっしゃい。ああ、いいぞ、見せてくれ」
やっぱり挨拶するじゃないの。よし、ここからが勝負だ!
「これで全部じゃないの。連れに運んでもらってるから、それも持ってくるわね」
そう言い残して、デブータの持ってきた武器を店の中に運んでいく。
一往復、二往復、三往復……、よし、顔色が少し変わったわね。
うん、値段はデブータが一人で対応した時よりかなり高めだ。でもごめんね、私はそれじゃ満足しないのよ。
「この剣なんか、エスパ鋼なのにその値段? それなら露店で売った方が良さそうね」
「待て、それなら……」
「もう一声……」
私は商人ではないけれど、武器や備品、食料の売買は、騎士見習の時に散々やらされたのだ。ただの女と思って貰っちゃ困るわ。
結果、デブータが売っていた金額の二倍以上で売ることができた。まだ吊り上げられたと思うけど、今は時間も限られているしこのぐらいにしておきましょう。
「凄腕だな」
人食い鬼さん、もっと褒めてくれても良いのよ?




