17.終わりの始まり
★☆★ プラチナブロンドの女騎士アデラ視点 ★☆★
私が人食い鬼に助けられ山小屋に連れ込まれてから、一月以上が過ぎていた。
まだ体力は元に元通りにはなっていないけど、傷はすっかり癒えている。
あの酷い匂いのする薬のお陰だろう。傷跡が残りそうだったのに、今では目立たないどころか、どこを怪我していたのすらわからないぐらいだ。
あの凍り付きそうなくらい冷たかった湖も暖かみを増し、その周囲のお花畑も色とりどりに咲き誇っている。
心配していた豚貴族の追手は、あれからまったく姿を見せない。
もうしばらくすれば、ここを出ていくことになるんだろうな。
ああ、髪の編み方……教えてもらわないと。
パカンッ! パカンッ!
デブータが薪を割る音が、相変らず能天気に山の中でこだましている。
これが平和の終わりを告げる音だったなんて、私はまったく想像もしていなかった。
★☆★ デブで不細工のおっさんデブータ視点 ★☆★
適当に切って乾かした木をパカパカ割っていたら、麓の方から物々しい一段が登ってくるのが見えた。
ちょっと待て。鎧はまあわかる。剣だって持っているだろう。クマだって出るしな。
でも長槍! その上に弓がいっぱい!
なんなの! あれ、なんなの!
まさか俺が目当てってことはないよな、喧嘩なんかしたことないし。
しかしその集団はわき目もふらずに、槍を構えて俺の方に詰め掛けてくる。
後ろを振り返る。うん、何もいない、山小屋があるだけだ。
てことは……やっぱり俺? 俺が目標なの?
ええ~、なんで~~!
俺がパニックになっていると、ついに矢が飛んできた。
うわ、先に火がついてる! やばい! あいつらヤバいぞ!
話し合い……の前に、まずはあいつらを止めないと!
俺は近くにあった丸太を抱えて、集団を目掛けて走った。
…………。
……。
★☆★ 豚貴族の追手隊長視点 ★☆★
女騎士を捕まえるのは容易い。
しかし相手は人食い鬼。まずはあいつを討伐しない事には話にならない。
今の人数じゃ無理だ。それに武器。あいつは剣一本で戦える相手じゃない。
どうせ豚貴族の金だ。湯水のように金を使って、強いと噂の傭兵や冒険者を集め、鋭い槍や強力な弓矢も揃えた。
人食い鬼を討伐したとなると英雄だ。面白いほどに腕自慢たちが集まってくる。
見ていろよ、人食い鬼め! 人間の恐ろしさを教えてやる!
迫りくる大軍! 果たして二人の運命は!
デブータさん、やっておしまいなさい! 応援してくださる皆さん、ぜひとも★感想と評価★をお願いいたします!




