16.野獣狩り#2
★☆★ 引き続き、おっさんデブータ視点 ★☆★
血抜きが終わったらハラワタを抜いて土に埋め、次の狩場へ移動する。
アデラを見ると……なんだか機嫌が悪そうだ。こういう時は放っておくしかない。下手に声をかけたらモラハラ一直線だからな。
えっとここの罠は……、ありゃりゃ、噛みちぎられてる。これはクマか何かが間違って掛かっちゃったか。
壊れた罠は取り除き、新しいロープを出して罠を仕掛け直す。
次は、と。おお! 大物がかかってる! やったぜ、今日は大猟だ!
血抜きしてハラワタを取り出すところで、俺はふと手を止めた
「そう言えばアデラ、肝は好きか?」
「あ? いや、あまり得意ではないな」
俺もどちらかというとパサパサしてて嫌いなんだよね、好きな人は好きみたいだけど。食べるのは怪我した時ぐらいだ。
アデラが要らないなら、一緒にポイッだな。
今日の獲物は合わせてイノシシ三頭。しかも三頭とも大物だ。
あまりの重さに、歩くたびに背負子がギシギシ軋む。
大猟はいいけど、皮剥ぐの面倒くせえ。
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
痛い思いまでしてついてきたのに、一体何なのよ、もう!
最後まで剣を抜くことなんてなく、使ったのはナタとナイフだけ。冒険者と言えば、剣一本で猛獣と戦うものなんじゃないのかしら。
想像していた冒険者の狩りとは違いすぎる。
罠にかかって暴れ回るイノシシを、サクッと急所に一撃で仕留める手際は認めるけれど、でもそれだけ。
頭にきて、ついつい「レバーなんて好きじゃない」なんて言っちゃったら、ポイッて捨てられちゃうし……。
ああぁぁぁっ! つやつやでピンクのレバーが……!
はぁ……、もう帰ろう……。
もう絶対、デブータの狩りになんかついていかないんだから!
その翌日、再び狩りに行くデブータを山小屋で見送った私に、人食い鬼はとんでもないお土産を持ち帰ってきた。
「な、なんですか、その大熊はっ!」
「ああ、なんか出て来た。さすがに激戦で危なかったぞ」
その戦いの激しさを物語るように、彼の衣服のところどころにクマの爪痕が残されている。
なんで私がいないところで戦ってるんですかっ!
私は、おそらく捨てられてしまったであろう、宝物のような熊の胆に涙した。
★☆★ 伯爵家三男クロード視点 ★☆★
町を出て、再びアデラを求めてさまよううちに、いつしか海辺にやってきていた。
北海の冷たい荒波が、岩だらけの磯に打ち付けられる。
目の前には果てしなく広がる海。振り返ると、どこまでも続く緑の平原。
「ああ、アデラ……」
ここは間違いなく辺境。
しかしアデラがいる辺境とは、百八十度方角が違っていたことに、その時の僕はまったく気づいていなかった。
クロード……果たしてアデラと出会える日はやってくるのか?
クロードまだまだいける、頑張れ!と応援してくださる皆さん、ぜひとも★感想と評価★をお願いいたします!




