59話 魔法が使えない俺と温泉
ホットスプラを歩き回って、俺らは一応情報を聞いてた。
この宗教がこの町に来たのは、つい最近の出来事みたいで、瞬く間に信者数を増やしたと。んで、観光に来た人たちもこの町の居心地の良さから帰れないらしいよ?
そんなにいいところなんだなあ。
確かに、所々変なモニュメントとか石造とかはあるけど、雰囲気はいいし、宗教色を抜けば良い景色の街だし、町のみんなは張り付いた笑顔で楽しそうには感じるし、辛い現実に向き合いたくない人にはもってこいかもしれないね。
でも、話しても話してもミシアだの、ミシェアだの、天国への階段だの、天地創造だの意味わからん事ばっかりで、頭痛くなってくるわ。
ニナなんかもう頭回らなさ過ぎて、人形みたいになってるよ。
「ゴシュジンサマ、ニナ、シュウキョウ、ミシア」
「しっかりしろー、温泉浸ってリラックスしようなー」
「私、もうこの町から出たくなってきました・・・」
「そう?みんな楽しそうでいいんじゃないかな?あ、住みたくはないけど!」
とりあえず、暗くなってきたし温泉宿があればそこに泊まって、明日に備えようかな。
◇◆◇
あー、いいなー温泉って。ただのお湯に浸かるだけだと思ってたけど、なんだろう、頭の先からつま先までエネルギーが循環して、至る所から毒素が抜かれる気分だよ。
しかも、外風呂の景色は良いし、身も心も溶けていきそうだなあ。
1人だったらね。
「ざぶーん!!!おおおお!!温泉たのしいのです!!!」
「ニナさん、飛び込んだり泳いだら駄目ですよー。あ、たくやさん後で背中流しますね」
「ふひー、温泉っていいねー。たくやくん!胸ばっかり見ないで恥ずかしいよ」
「いや、見せてきてるのミュラじゃん。あとアンジェ、俺自分で身体洗うから・・・」
少し広めの露天風呂に男1の女3。一人で温泉に入ろうと思ってたのに、この宿混浴しかないらしいよ?おかしいよそれ。
まあ、眼福じゃないと言えばウソになるけど、ゆっくりするどころか心拍数が上がってのぼせそうだよ。そりゃそうでしょ、女性陣タオル巻いてるとはいえ、裸なんだしさ。
胸とか太ももとかを自然に目で追っちゃう自分が恥ずかしいね。
もう、アンジェとミュラがずっと俺に胸を押し付けてくるから、マジで温泉よりも身体が熱くなってくるわ!
「アンジェさ~、思ったより胸大きいんだね~」
「や、全然私なんかそんなに・・・ミュラさんの方が断然大きいじゃないですか!羨ましいですよ~」
「えーそうかなあ?んーちょっと触りっこしない?」
あのさー、俺に柔らかいもん押し付けながら、そんな話しないで欲しいんだけど・・・
いや、これはご褒美って捉えるべき?それとも試練?あー、頭が回らなくなってきたよ。
「きゃ!ミュラさん!あ、止めてください・・・」
「いいじゃん減るもんじゃないんだから!うわー柔らかいね~、私よりは少ないけどこれはこれで触り心地が・・・」
「むー、じゃあ私もミュラさんのー!」
あ、やばい本当に。おかしくなりそうマジで。
目の前で胸触りっこする光景見せられて、平常を保てって方がどうにかしてるでしょ。
いやー!どうしよう。見てたいんだけどここらか逃げたいの狭間で右往左往してるよ!
「たくやさんは、私とミュラさんどっちの胸が良いと思いますか!?」
「たくやくん!正直に答えて!どっちがいい!?」
「は!?何言って・・・」
いや、なんで俺に優劣決めさせるの!?無理なんだけど!?
「たくやさん!さあ!!」
「たくやくん!!どっちの!!」
「やめろ!!胸押し付けてくるな!!!」
大?小?形?感触?いやいやいや無理だって本当に!決められないって!!
「たくやさん!」
「たくやくん!!」
「ご主人様ー!!」
ニナ!ナイス!!これで話題が・・・は?
ニナ?タオルは?
「ニナさん!タオルないですよ!」
「ちょっとニナちゃん!そんなこっちに飛び込んできたりしたら・・・」
「ちょ!ま!ニナ!!はぶ!!!!」
俺はニナの飛び込みアタックによって、温泉に沈み。そのまま微睡に沈んでいく。
ああ、これが幸せなのかなぁ・・・いや違うでしょ。




