60話 魔法が使えない俺と不穏な空気
うーん?ここ何処?あれ、俺って温泉入ってて・・・
「あ、目が覚めましたか?」
「アンジェ?ここって・・・」
目を覚ましたら、目の前にはアンジェの顔。どうやら温泉で俺は気絶したらしいね。
しかも、俺膝枕されてない?道理で頭の下が柔らかいわけだ。海の時以来かも。
しかも、風が吹いてるあたり、屋外?いやでもそんな感じでも・・・
「ここはお部屋ですよ。あ、身体拭いてちゃんと服着せましたから大丈夫ですよ?」
「そっか・・・ありが、は!?」
まって、服着せたって・・・確かに服着てるけど!!え?ってことは・・・
「恥ずかしかったですけど、ちゃんと着せましたから・・・」
「えっと・・・見た?俺の」
「・・・」
うわ!うわ!!はっず!!!師匠ならまだしも、俺と同じくらいの女性に裸!特に愚息を見せるとか!!!いや!ほんとに!!クッソ恥ずかしいって!!!
顔赤らめないでよ!!うわー・・・自分の事とかどうでもいいと思ってたけど、ごめん。やっぱ辛ぇわ。
まあでも、見られたからには仕方がない。心を整えるか。
「あ、ねえねえ、ニナとミュラは?」
「あ、2人なら・・・」
ん?風?部屋で?ってことは・・・
「2人とも何やってるの?」
風上を見たら、ニナとミュラの姿があったんだけど、後ろ向いて尻尾をグルグル回して風を俺に送っていた。え、なんかすげえ。
「ご主人様ごめんなさいなのです。ニナのせいで気絶したのです。お詫びにご主人様の身体を冷やしてるのです」
「あ、私は楽しいから尻尾回してるだけ!」
「そっかー、まあ、ありがとね」
2人に感謝の言葉を伝えたけど、途端に温泉の事を思い出して、また身体が熱くなってきた。ちょっと外で頭冷やそうかな。
「ちょっと俺外行って夜風浴びてくるよ。あ、ついでにお手洗い行くから、3人とも休んでて」
そういって、宿の外に出ていく俺だったと。
◇◆◇
ふう、やっと一人になれたよ。ちょっと落ち着くなあ。
しかもなんだろう、温泉の後に外出るのって結構気持ちがいいもんなんだね。気持ちが整うっていうかさ?ちょうどいい体温になるっていうか、そんな感じ?
あー、王都にも温泉あればいいのになあ。かといって、信者だらけのここに温泉入りに来たくもないし。
・・・なんだあれ?ちょっと神経集中っと。
男が縛られた女担いで歩いてないか?しかも、女性は芋虫みたいに暴れてるよ。
これまずくない?『縮地』!
急いで男の方に向かった俺に、少し筋肉質の男が俺を見て驚いてる。驚きたいのはこっちなんだけど。
「ねえ、何やってるの?」
「ん?君は外から来た少年かな?入信したいって言ってた。この女はさ、俺達の神・ミシア様と信者を馬鹿にしたんだよ。許せねえよなあ!」
「ちょっと!落ち着いて!」
かなり男は気が立ってるみたいだね、ちょっと気を静めないと・・・
縛られて担がれてる女は、こっちを見ながら泣きながらこっちにヘルプを訴えかけてくる感じ。口は布で巻かれて喋れなくなってるよ。かわいそー。
あれこの人、町の前で助けた女性たちの一人じゃね?
「まあまあ、確かに許されないことだけど、これからその人どうするの?」
「ああ、悪いな少年。でな、この反信女をこれからミシア様の生贄にするんだよ。男全員で浄化し回った後にな。んで、最後にこの女の心臓を天に帰すのさ。少年も手伝ってくれるか?」
は?えっぐ!何それ!要は女回した後に殺すってことでしょ?頭おかしいだろこいつら!これ、助けないとえらい目にあうぞ!
「あー、そうだね。助けようかな」
「ありがとう少年!とりあえず・・・」
「いや、勘違いすんなよ」
「あ?ごば!!?」
おもっきし男をぶん殴って気絶させて、倒れた女の紐を解いたら、思いっきり俺に抱きついて泣いちゃったよ。ちょーっと静かにしてほしいなあ。
とりあえずどういう状況か聞かないと。
「ねえ、何があったの?」




