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236話 魔法が使えない俺と真の能力

「何年前かは忘れたけど、こいつここら辺うろちょろしてたからとっ捕まえたんだよ。エルフなんていい研究材料だろう?そしたらさぁ、こいつすげーんだよ、傷はすぐ無くなるわ、魔力は異常に高いわ。そして一番の目玉は死なないってことかな?こいつ死なないんだよ。刺しても切っても潰しても引き裂いても貫通させても捻じ切っても何しても死ななくってさ、もうおかしくておかしくて。笑っちゃうよ。それでね、コイツで魔力増強石作れないかなーって思ったら、ビンゴ。君たち知ってるかもしれないけど、あれ作るのって人間使わないとダメじゃない?でも、コイツは違う。魔力が高いからかなんなのかは知らないけど、コイツを使うと人間を使わなくても量産出来るようになっちゃってさぁ。君たちも見ただろ?森のテロス達。んま、ここまで漕ぎ着けたのはつい最近なんだけど。最初はただ暇つぶしの痛ぶるだけのおもちゃだったけど、まさかここまで貢献してくれるとは思わなかったよ。でも少し残念かな。最初の頃は鳴き声喚き声、苦痛に歪んだ顔、体の反応、ピーピーピーピーとどれも素晴らしかったんだけど、もう何も感じないみたいに本物の人形になっちゃったよ。ほら、見てみて?腹に刺してもピクリとも動かないでしょ?壊れちゃったのかなぁ」

「もういいやめろ!!!」


レミリアの絶叫が、室内に響き渡る。



・・・



・・・え、やば。


つまりこのカス、妹を長年痛ぶりまくったうえ、魔導玉の素材として利用してたわけだ。


はー、これは酷いね、邪悪って言葉がこれほど似合うやつもいねーわ。


正直、聞いてるだけで手が出そうになったね。


それにしても、死なないだって?


なんか前にあった、賢者の石にもそういう事があったけど、あれは賢者の石に内包された人間のエネルギーを、宿主の自己再生に使ってただけだったし・・・


もしかして


フィーリスの中の、刻桀石の影響でそうなってるとか?


確かそれって、時間を司るとかなんとか言ってたっけ。


じゃあ早い話、フィーリスが死なないのって、時間が巻き戻って前の状態に戻ってるって事なんじゃ?


そう考えるとゾッとするね。


無限に苦痛を味合わされるって、こりゃ精神イカれても仕方ないわ。


しかし、だ。


テロスに雷を放ったのがフィーリスだとして、現在は精神崩壊しているわけで。


では、この状態でどうやって魔法を放ったのか?って話。


この状態で意識があるのか、それても無意識なのか、それは定かじゃないね。



てか、そんな事考えてる場合じゃないし!


うわ!もうレミリアが突っ込んでるわ!


「よくもよくもよくも!!!!」

「ん?君誰?」


風の魔法に覆われた短剣を手に、レミリアはイジャの元へと単身突っ込む。


標的となったイジャだが、彼女のことなんか興味がないと言わんばかりに呆れた顔をする。


「はぁ、身の程をわきまえてよ。力の差も分からないなんてね」


突如現れる楕円形のワープゾーン。


楕円の空間はイジャに向かうや否や、彼を飲み込み姿を消し去る。


「またワープかよあいつ。芸がねえなぁっと」


イジャとレミリアの動向を俯瞰しつつ、鎖に繋がれた動かないフィーリスの元へと俺は駆け寄る。


体の周りには、周囲とは比べ物にならない程の光の球が集まり、森のとは違い消える事がない。


剣で鎖を全て破壊し、彼女を救出。


そして、彼女の体を支える。


「冷っ!」


全身がまるで、冷凍保存されていたかのように冷たい。


本当に生きてんのか?これ。



一方で唐突にレミリアの背後に現れるイジャは、2本の短剣を携え強襲を仕掛ける。


頭上から降り注ぐ2本の刃。


それをレミリアは


「見えているぞ」


振り返り、短剣で弾き返す。


「・・・は?」


一瞬だけ驚いた表情を見せるも、イジャはまたワープゾーンへと姿を隠す。


だが


「そこだ」


レミリアは俺がいる方向へと移動すると、短剣を空中で振りかぶる。


その攻撃が狙ったかのようにイジャは出現し、彼の背中を斬りつける。


「ば!?な!?なんだと!?!?」


背面から血飛沫を飛ばすイジャは戦慄していた。


顔は歪み、現実から目を背けようとしているこの絶望的な顔。


「エルフの中でも私は、魔力探知能力が特に秀でている。貴様の魔力の流れで、どこにいるのか筒抜けだぞ」

「な、な・・・、なんだとぉ!?」


レミリアは怒りを露わにしながらも、平常心を保ち冷静を失わない。


彼女の眼光は、冷や汗をかくイジャを突き刺す。


そう、恐らく奴は生まれて初めて出会ったのだ。


無敵だと思っていた自身の能力への天敵。


唯一不利な相手。


「魔王の幹部を舐めるなよ小娘」

「貴様こそ相手を下に見過ぎたな」


イジャは再びワープゾーンへと入っていく。


レミリアの周りを出ては入り、出ては入りを繰り返し、彼女を翻弄させる手段に出た。


俺的には、正直無意味な行動にしか見えない。


結局のところ、いくらそんなことをしても、レミリアには全てバレているからだ。


ワープゾーンからワープゾーンへと移る最中に、イジャは多方面からレミリアに短剣を投げつける。


それを繰り返すうちに、レミリアの周りは短剣で囲まれ、逃げ道はない。


「・・・舐めてるのはどっちだ」


瞬間


レミリアの身体は風に覆われ、彼女を中心としてちょっとした竜巻が発生。


それにより、イジャから投げられた短剣は全て吹き飛ばされる。


それどころか、レミリアを襲ってきていた短剣の数々は、彼女が作り出した風により短剣を操り始めた。


すげー。


「そこだろう?」


ジャグリングのように操られた短剣達は、イジャがいるであろう場所に向かって一斉に飛んでいく。


ワープゾーンから出てきたイジャ。


短剣の群れは彼を襲い、針千本に・・・




「ははっ、もういい」


空気が一変する。


奴を襲う短剣は、イジャの目の前で全て停止し、次々にひしゃげていく。


カランカランと地面に落ち、その空間から短剣は跡形もなく消滅。


なんだ?


雰囲気が変わったぞ?


「は、ハハっ!アハハヒヒッ!ハハ!!」


ケタケタと笑う幹部。


何かの糸が切れたかのように、大声で笑い始める。


「な、何がおかしいんだ」

「あーはぁ、いやー、ごめんごめん。僕はね、たくや君以外は基本下に見てたんだけど、吹っ切れたよ。君も強い、褒めてあげる」


なんだコイツ?いきなりレミリアを褒め始めて。


なんか気持ち悪りぃ。


「敬意を評して、見せてあげようか。僕の能力」

「負け惜しみも大概に・・・」



ぐらっ


視界が歪む。


空間が捻れる。


天地が逆転する。


地面が波打つ。


それだけじゃない、この場所全てが捻れ、周りの全てが歪む。


「うぇっ!なんだこれ!気持ち悪っ!」

「く、空間が曲がっている・・・?」


俺の視線の先にいたレミリアは、逆立ちをしているように綺麗に反転していて、一方のイジャは壁に立っているよう横から身体が伸びる。


幻覚・・・とかじゃねえよな?


この部屋そのものが曲がり、捻れ、歪んでいる?


「前、たくや君に邪魔されたから見せる事ができなかった。これが僕の能力、『空間掌握』。僕の周りの空間は、全て僕の思い通りに動く。

つまり」


瞬きの瞬間、ある程度の距離を取っていたレミリアとイジャは、目と鼻の先に立っていた。


ハッとしたレミリア顔短剣を振る。


その時にはもう、イジャは彼女背後に立つ。


レミリアは天井から地面に向かって立つ。


「この空間は、僕の思い通りになる」


つまり、イジャの本当の能力は、空間操作?


じゃあ、ワープはその能力の一部って事か。


えっと、・・・無敵過ぎでは?


「世迷言を!」


レミリアは風の槍を出し、後ろにいるイジャに向かって振おうとする。


しかし、槍の先端はぐにゃぐにゃに曲がってしまっていた。


「さあ、僕の空間で遊ぼうか」




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